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- 「ティーマークが斜めに傾いているから直しておこう」は絶対ダメ!! 真っすぐじゃないことがある理由と無断で動かすリスクとは?
基本的にはコースに対して真っすぐアドレスできるように設置されているティーマークですが、場合によって斜めになっていることがあります。
ティーマークを勝手に動かす人がいる
先日プレーしたゴルフ場では、いくつかのティーイングエリアにこんな立て札が設置されていました。
「ティーマークを移動しないでください。重大な打球事故の確率が高くなります」
このような立て札が設置されているということは、過去にティーマークを移動したゴルファーがいて、それが原因で重大な打球事故が発生したか、発生しそうになったことがあるということです。
そのゴルフ場は老舗の河川敷コースで、アウトコースの出だし数ホールとインコースの途中のホールが河川敷の遊歩道と隣接しています。遊歩道には犬の散歩で歩いている人や、ジョギングで走っている人がいます。
ゴルフ場と遊歩道の間には、ボールが場外に飛び出さないように高い防球ネットが設置されています。ティーイングエリアの右斜め前(あるいは左斜め前)にも防球ネットが張ってあります。

ただ、正直に言うとティーイングエリアのすぐ前に防球ネットがあるのでティーショットは打ちづらいです。「ティーショットの打球が防球ネットに当たった場合は無罰で打ち直しできる」というローカルルールが設定されていて、同伴者は実際にボールが当たり打ち直しました。打ち直しのショットは幸いにもフェアウェイに飛びましたが、2球目も3球目も防球ネットに当たったら、ティーマークを動かしたくなる人もいるでしょう。
でも、防球ネットの位置や高さは“場外ファウル”が絶対に発生しないように計算されています。ティーマークを移動すると計算が狂ってしまいます。ティーショットが打ちづらいからといって、ティーマークを勝手に動かしていいわけがありません。
ティーマークの向きを直す行為も重大事故につながる危険性
ゴルフを始めたばかりの人は「ティーマークって、そんなに簡単に移動できるの?」と思うかもしれませんが、ビックリするほど簡単に移動できます。ティーマークは鉄製のパイプで地面に埋め込んであるだけなので、真上に持ち上げればスポッと抜けます。それを別の場所にズボッと突き刺せば移動することができます。
プロゴルフトーナメントを視聴していると、「このホールはティーイングエリアを初日よりも30ヤード前に出しましたから、今日は(パー5で)2オンを狙う選手が多くなると思います」と解説者がコメントすることがあります。ティーマークの位置を動かすことで、ホールの難易度を変えることができます。
一般営業のゴルフ場でも、ティーマークの位置を動かすことがあります。これはホールの難易度を変えるためというよりも、主に芝生の保護のためです。同じティーイングエリアを長期間使用していると、パー3ホールは地面がディボット跡だらけになります。そうするとティーアップできる場所が限られてきますし、見た目も悪くなりますから、数週間ごとにティーマークの位置を変えるのが一般的です。
ゴルフ場がティーマークを設置する際、フェアウェイ方向ではなく、意図的に斜めに向けることがあります。これにも理由があって、フェアウェイに向けるとミスショットが隣接する民家に飛び込んでしまうことがあるのです。それを避けるため民家と逆方向にボールが飛ぶように誘導しています。
そういった事情を知らずに、「このホールのティーマークは斜めになっているから、真っすぐに直しておこう」と直してしまうのも、ゴルフ場にとっては大きな迷惑です。民家にボールが飛び込んでお叱りを受け、謝りに行かなければならなくなります。
ティーマークの位置や向きは、周囲の安全を守るために、意図的に設置されています。そもそもプレーヤーがティーマークを動かしていいというルールはありませんから、決められたポジションからティーショットを打つのが鉄則です。
保井友秀(やすい・ともひで)
1974年生まれ。出版社勤務、ゴルフ雑誌編集部勤務を経て、2015年にフリーライターとしての活動を開始。2015年から2018年までPGAツアー日本語版サイトの原稿執筆および編集を担当。現在はゴルフ雑誌やウェブサイトなどで記事を執筆している。
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