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- 「作れば儲かる」は幻想? インドアゴルフレンジ経営のリアルな収支事情
コロナ禍以降、急増したインドアゴルフ練習場。手軽さや快適さで利用者を集める一方、「本当に儲かっているのか」という疑問の声もあります。拡大を続ける市場の“収益構造”を現場に聞きました。
インドアレンジは単価が安いと収入が見合わなくなる
コロナ禍をきっかけに、都市部を中心にインドアゴルフ練習場、いわゆるインドアレンジが一気に増えました。予約制で待ち時間がなく、他人の視線を気にせずに練習できる環境や、月額定額で通える仕組みなどが支持され、従来の打ちっぱなしとは異なる選択肢として定着しつつあります。
施設数の増加だけを見ると、「伸びている市場」という印象を持つ人も多いかもしれません。では実際に、このビジネスは儲かっているのでしょうか。インドアレンジの経営に携わるゴルフ関係者に聞いてみました。
「儲かるかどうかは、ランニングコストとキャパシティーと中身で大きく変わります。個人的な印象としては、打席数が少なくて高単価を設定できる施設は儲かりますが、打席数が多くて単価が安い施設は、コストと収入が見合わなくなる可能性が高いと思います」
インドアレンジは一見すると同じような施設に見えても、どのような形態で運営するかによって収支の構造は大きく異なります。

たとえば、打席数を絞った小規模な施設で、マンツーマンのプライベートレッスンを中心に据える場合、単価を高く設定できるため比較的安定しやすいといいます。
一方で、打席数を増やし、グループレッスンや一般利用を中心にした大規模な施設になると、事情は変わってきます。シミュレーションマシンは1台あたり数百万円単位の投資が必要で、台数が増えれば初期費用もランニングコストもふくらみます。
「シミュレーションマシンが6~8台になってくると、家賃が高い都市部では、光熱費も含めてコストが合わなくなります」
利用料金を下げれば集客はしやすくなりますが、そのぶん収益は圧迫されます。規模を拡大するほど有利になるという単純な構造ではないことが分かります。
インドアレンジを設置できる“天高”の物件は限られている
さらに、インドアレンジには立地の制約があります。ゴルフクラブを振るためには十分な天井高、いわゆる「天高」が必要で、その条件を満たす物件は限られています。
仮に条件を満たさない物件を借りて改装する場合、天井を壊して高さを確保し、退去時には元に戻すといった追加コストが発生します。こうした制約が、参入のハードルを押し上げています。
では、そうした条件をクリアすれば安定的に運営できるのかというと、もう一つの要素があります。それが「立地と客層の相性」です。
あるインドアレンジは「その街に合った施設だったから続いている」というように、引退後の時間を持て余した客層が日常的に利用することで、安定した運営が可能になっているといいます。
現役世代の富裕層を中心に集客する場合、単価は上げやすいものの利用者の入れ替わりが激しく、継続的な集客のために広告やイベントが欠かせなくなります。
こうした要素を踏まえると、インドアレンジは「作れば儲かる」というタイプのビジネスではないことが見えてきます。関係者も「儲かるかと言われると微妙」と率直に語ります。
一方で、需要そのものがなくなるわけではありません。車を持たない生活スタイルを選ぶ世代にとって、街中で気軽にゴルフの練習ができる環境は魅力的です。
24時間営業や無人運営といった仕組みによって、以前よりも利用しやすい価格帯の施設も増えてきました。利便性という点では、インドアレンジは今後も一定の支持を集め続けると考えられます。
ただし、施設が増えるということは、それだけ競争が激しくなるということでもあります。参入のハードルがある一方で、新規出店が続けば、いずれは選ばれる施設とそうでない施設に分かれていきます。
インドアレンジは、ゴルファーにとって便利な施設であることは確かですが、ビジネスとしての収益性や安定性は、立地や運営の工夫によって大きく左右されます。「儲かるかどうか」はひと言では答えにくく、環境や条件によって変わり続けるものなのかもしれません。
文・保井友秀(やすい・ともひで)
1974年生まれ。出版社勤務、ゴルフ雑誌編集部勤務を経て、2015年にフリーライターとしての活動を開始。2015年から2018年までPGAツアー日本語版サイトの原稿執筆および編集を担当。現在はゴルフ雑誌やウェブサイトなどで記事を執筆している。
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