用具規則の適合性が確認されていない球のこと
ゴルフショップでボールを購入する際、新品ボールで手頃な商品を探していると、非公認球という言葉が目に入ることがあります。
非公認ということは公認ではないということですから、あまり好ましくないような印象を受けますが、いったいどういう商品なのでしょうか?

これは用具規則の審査を通じて、その適合性が確認されている球ではない商品です。
ゴルフボールをはじめ、ゴルフクラブなどの用具はヘッドの大きさやシャフトの長さ、クラブフェースの溝の深さなどが規則によって決められており、R&A(ロイヤル・アンド・エンシェント・ゴルフクラブ・オブ・セントアンドリュース)とUSGA(全米ゴルフ協会)の2団体が審査を行っています。
R&Aは全英オープンやAIG女子オープン(全英女子オープン、渋野日向子選手が2019年に海外メジャー制覇を達成した試合)の主催者で、スコットランドのセントアンドリュースに本部があるゴルフの世界的な総本山です。
USGAは全米オープンや全米女子オープン(笹生優花選手が2021年に海外メジャー制覇を達成した試合)の主催者で、米国のゴルフ統轄団体です。
この2団体がゴルフ用具規則を含むすべてのゴルフ規則を制定しています。
ゴルフボールに関しての用具規則には次のような条件があります。
◆通則……球は伝統と慣習に大幅に反する形状と構造のものであってはならない。球の材質と構造は規則の目的と意図に反するものであってはならない。
◆重さ……球の重量は1.620オンス(45.93グラム)以下でなければならない。
◆大きさ……球の直径は1.680インチ(42.67ミリメートル)以上でなければならない。
◆球体としての対称性……球は球対称な球の特性とは異なる特性を持たせるようにデザインされたり、製造されたり、意図的に手を加えられたものであってはならない。
◆初速……球の初速は、球の初速標準に説明されている条件下で規定された上限(R&AとUSGAのテスト内規)を超えてはならない。
◆標準総合距離……球のキャリーとロールを合わせた飛距離は、「標準総合距離(R&AとUSGAのテスト内規)で定められた条件の下で、R&AとUSGAによって承認された機器でテストされたときにその既定された距離を超えてはならない。
少し難しい説明になりましたが、非公認球の多くは高反発でボールを飛ばす構造になっており、初速が規定された上限を超えています。
プライベートなラウンドで使用するのは問題なし
なぜ非公認球が発売されているかと言いますと、近年はプロゴルファーとアマチュアゴルファーの飛距離差が大きくなり、ナイスショットが続いてもパー4のグリーンに2打で届かなかったり、パー5のグリーンに3打で届かなかったりする人が増えています。

そうするとゴルフの面白さが半減してしまいますから、公式競技に出場しないアマチュアゴルファー向けにもっと飛距離が出るボールやクラブがあってもいいんじゃないかと、あえてルール不適合モデルを開発するメーカーがあります。
高反発構造の商品はボールだけでなくドライバーも数多く発売されています。
公式競技というのは、JGA(日本ゴルフ協会)主催の日本オープンや日本女子オープンと、その出場権をかけたすべての競技、そしてJGAの規則に準じて開催されるゴルフ場の主催競技です。
会社のコンペは公式競技ではありませんから、非公認球を使用しても問題ありません。
ただ、コンペでドラコン(特定のホールでドライバーが最も遠くまで飛んだ人を表彰するアトラクション)を実施する場合、非公認球を使用するとズルイと言われる可能性はあります。
高反発ボールが威力を発揮するのはフェースのセンターに近い位置に当たった場合ですから、まずはフェースの真ん中付近にボールが当たる確率を高め、その上で非公認球と適合球を打ち比べてみると面白いと思います。