同伴者に使うボールを宣言
ゴルフボールには、ブランド名やナンバーが記載されており、色と合わせて自分のボールを判別します。しかし、ラウンド中に誤って同伴者の球や放置されていたロストボールなど、他のボールを打ってしまった場合、これを「誤球」と呼びます。

誤球をしてしまうと、トータルのスコアで勝敗を決めるストロークプレーの場合は2罰打が課せられ、改めて自分のボールでプレーし直さなければいけません。ちなみに、ホールごとの打数で勝敗を決めるマッチプレーの場合、誤球したホールはその時点で負けとなります。
特に、初心者ゴルファーは、プレーファストを意識するあまりに焦ってしまい、ボールの確認を怠った結果、他人のボールを誤って打ってしまうことも少なくありません。
もし、グリーン上でボールを拾い上げるときに気づいたとして、プライベートのラウンドの場合、進行のこともあり、なかなか2打目地点に戻ってやり直しとはいかないでしょう。それだけに「誤球」には十分注意しなければいけません。
では、誤球を防ぐためには、どのような方法があるのでしょうか? ゴルフ場の経営やコンサルティングを行う飯島敏郎氏(株式会社TPC代表取締役社長)は、以下のように話します。
「一般的には、ラウンドの開始時に『今日1日、よろしくお願いします』と帽子のツバに手を添えてあいさつをし、『タイトリストの◯番です』などと同伴者に使用するボールを宣言したあとで、アドレスを構え、ティーオフするのがスマートなルーティンです。このルーティンを行うことで、同伴者に自分の使用しているボールの特徴を伝えることができるため、誤球のリスクを減らすことができます」
起こりうるトラブルを事前に防ぐことは、マナーとして大切なことでもあると飯島氏は言います。
「ゴルフは1人で楽しむスポーツではありません。みんなが気持ちよくプレーできるようにしていくのが暗黙のルールなので、トラブルを未然に防ぐ対策は必要です。まずは、経験豊富なゴルファーが率先してボールの特徴を宣言すれば、自然とそういう流れができてくると思います」
毎週ラウンドをしていて、お互いにボールの特徴を理解しているようであれば、わざわざ宣言をする必要もないかもしれませんが、コンペや接待ゴルフなどでは、宣言をしておくことがマナー的な観点からも無難と言えそうです。
ボールにマーキングをする方法も
他にも誤球を防ぐ方法として、ボールに「マーキング」をするという方法があります。例えば、ボールに印字されたメーカー名と数字の間にマジックで点を打ったり、星やハートマークを書き込んで他のボールと差別化をします。
特徴的なマークを書き込んでおけば、ボールのメーカーやブランドに関係なく瞬時に自分のボールであると判断することができます。
また、同じマーキングで統一せず、何パターンかに分けておくのも有効です。OBをしている可能性があり「暫定球」を打つ場合は、最初に打った本球と間違えないように区別する必要があります。
そのため、1球目は「星マーク」、2球目は「〇」といったように分けておくと、ボール探しの際に本球と暫定球の判断がしやすくなります。
ゴルフ規則でも「プレーヤーはプレーしようとする球に識別マークを付けるべきである」とあり、ボールへのマーキングは、誤球を防ぐために推奨されている行為です。
もし、本球と暫定球がほとんど同じ方向に飛んでいき、1球がOB、もう1球がセーフだった場合、どちらか見分けがつかない状態だと、セーフのほうを暫定球として扱わなければなりません。つまり、本当は1打目がセーフで2打目として打てたはずのものも、4打目としてプレーしなければならないということになります。そう考えると、マーキングをすることは余計な打数を加えずに済むための自衛手段と言えるかもしれません。
このように、誤球を防ぐためには、さまざまな対策があります。ラウンド中はどうしてもプレーに熱中しすぎてしまい、周りが見えなくなってしまうこともあるでしょう。
しかし、ゴルフは1人でプレーするものではなく、複数人でプレーすることが前提なので、同伴者を不快にさせてしまうことがないように気を配ることも大切なことです。事前に対策をして誤球のリスクを軽減し、プレーに集中しやすい環境を整えましょう。