「走る」「ジャンプ」は絶対NG! グリーン上での振る舞いに注意しなければならないワケ

カップインした後、うれしさのあまりグリーン上でジャンプをしてしまった経験がある初心者ゴルファーは少なくないかもしれません。一般的に、グリーン上で走ることやジャンプをすることは禁止されています。では、なぜグリーン上では慎重な行動が求められるのでしょうか。

グリーンはとても繊細で傷みやすい

 グリーンとは、コースの中で芝が最も短く刈られた区域を指し、ターゲットとなるカップが設けられています。別名「パッティンググリーン」とも呼ばれ、各ホールの最後にストロークを行う重要な区域です。

2004年マスターズで初のメジャー制覇を成し遂げ、喜びのあまりジャンプしてしまったフィル・ミケルソン。さすがにこれを咎める人はいないでしょうが…… 写真:Getty Images

 日本のゴルフ場は、主に高麗芝(コウライシバ)とベント芝という、2種類を用いてグリーンが構成されています。高麗芝とは、別名・姫高麗芝(ヒメコウライシバ)とも呼ばれる日本芝の一つ。高麗芝が使われているグリーンを高麗グリーンと呼び、手で触るとガサガサした印象を受けます。

 高麗芝は暑さに強い反面、寒さに弱く、冬場は枯れて茶色っぽくなります。葉が硬く太いため、高麗芝を使ったグリーンは、芝目が強い(ボールの転がりへの影響が出やすい)という特徴があります。

 一方のベント芝は、高麗芝よりもグリーン上での転がりが速く、現在では日本のゴルフ場の大半で使用されています。もともと暑さに弱く寒さに強いことが特徴でしたが、暑さにも耐えられるよう品種改良が進み、1年を通して美しい緑色の芝を維持することができるようになりました。

 そんな2種類が存在するグリーンですが、走って移動することは禁止されています。一般的にゴルフ場では「プレーファスト」が求められるので、駆け足でボールがある地点まで移動することも多々りますが、なぜグリーン上だけは走ることが許されないのでしょうか?

 ゴルフ場を運営する、株式会社アコーディア・ゴルフの担当者は、以下のように話します。

「グリーンは非常に繊細です。刈り込みを一番短くしているため、走る、ジャンプをするなどの強い衝撃があると、すぐに傷んでしまいます。グリーンを傷めてしまうと、他のお客さまが良い状態のグリーンでプレーができなくなってしまいますので、弊社としても控えていただくようお願いしています」

 このようにグリーンは繊細なため、走ったりジャンプをすることによって芝を傷めてしまう恐れがあります。では、グリーンを傷めてしまうと、具体的にはどのようなことが起こるのでしょうか?

 ゴルフ場の経営コンサルティングを行う飯島敏郎氏(株式会社TPC代表取締役社長)は以下のように話します。

「マスターズの解説者も言っていましたが、フットプリント(足跡)がカップの周辺につくと、パットのラインが変わってしまいます。グリーンはデリケートに整備されているので、多少の衝撃でも凹凸ができやすいのです。グリーンは当然ながら自分たちだけでなく後続の組も使用します。ゴルフ場が提供しているクオリティーと同等のまま、グリーンを去っていくのがエチケットです」

 グリーン上で走らないことはもちろんですが、同伴者のパットのラインを知らないうちに踏んでしまうことがあるので注意が必要です。

マナー違反を見つけたらマスター室に連絡を

 また、前の組がグリーン上を走る、ジャンプするなどの芝を傷つけるような行動を取っていた場合は、直接注意するのではなく、ゴルフ場のマスター室に連絡したほうが良いと、前出の飯島氏は話します。

「昨今では、直接注意をしてトラブルになるケースも多いので、マスター室に連絡して状況を説明するのが無難です。ゴルフカートにはマスター室へつながるトランシーバーが付いていることが大半なので、注意したほうが良い旨を伝えます。これは、打ち込みをされたときなどにも有効なので、覚えておくと良いでしょう」

 このように、グリーンを傷めるような行為を前の組がしていたとしても、直接注意するのではなく、マスター室に連絡して間接的に注意してもらうのが無難です。グリーンは繊細な区域である上に後続の組も使用するので、傷めることがないよう慎重に行動することを心掛けましょう。

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日本ゴルフ場ではおなじみの2グリーンレイアウト 写真:AC
品種改良や高いメンテナンス技術によって夏でもベント芝の生育が可能になった
喜びのあまりジャンプしてしまったフィル・ミケルソン 写真:Getty Images

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