正しい方法ですぐに直せば2~3日で元通りになる
ピッチマークとはグリーンに向かって打ったショットがグリーン上に落下したときにできるくぼみのことです。ボールマークと呼ばれることもあります。
初心者は高弾道のボールがグリーンに直接落下することがほとんどありませんから、自分のショットでピッチマークがつくことはあまりないかもしれません。

ただ、同伴競技者がつけたピッチマークを見る機会はあるでしょうし、最近はピッチマークを直さないゴルファーも多いですから、グリーンのあちこちがくぼんでいる光景を見たことがあると思います。
ピッチマークはショットを打った本人が修復するのがマナーですが、ベテランゴルファーはキャディつきプレーが主流の時代にゴルフを始めた方が多く、当時はキャディさんがピッチマークを直してくれていましたから、自分で直さないことが習慣化してしまっている残念なゴルファーもいます。
今はセルフプレーが主流の時代ですから、打った本人が修復しなければピッチマークがついたままになります。
マナーのいい人はグリーン上についているピッチマークを片っ端から修復していますが、そういう人が1人いるくらいでは追いつかないほどピッチマークが残っているゴルフ場もあります。
ピッチマークを修復するのと放置するのとではグリーンのコンディションはどのように変わってくるのでしょうか。コース管理の専門家に聞いてみました。
「ピッチマークがついた直後に正しい方法で直せば、時期にもよりますけど、春の芝が元気な時期なら2~3日で元通りになります」
「夏場は芝が弱ってきて散水もしますからグリーンが柔らかくなり、ピッチマークも大きいのがボコンとつきますけど、上手に直せば1週間くらいで回復します」
ピッチマークの正しい直し方は、グリーンフォークで周囲の土の盛り上がりをかき寄せるように集め、最後にパターヘッドで上から押さえて平らに戻します。
正しくない直し方の代表例は、ピッチマークのへこみをグリーンフォークで下から持ち上げ、芝の根っこを切ってしまうことです。
インターネット上に画像や動画の解説がたくさんありますから、ご存じない方はこの機会にぜひ覚えてください。
1日放っておくと芝が傷んで百円玉くらいの裸地ができる
ピッチマークを正しい方法で直さなかったり、放置したりすると、回復にかなりの時間がかかるそうです。

「ピッチマークを1日放っておくと、中は潰されて傷んでいるし、根が切られて乾燥します。そうすると百円玉くらいの大きさの裸地ができてしまいます」
「夏場に裸地ができると、周りから芝が侵入してきて元通りになるのは秋の10月ごろになります。それくらい最初の処置が大事だということです」
ピッチマークを自分で修復しないゴルファーが増えているということは、ゴルフ場がピッチマークを修復しているのでしょうか?
「午後にカップ切りを行なうゴルフ場は、そのときにピッチマークの修復もやっているところが多いですね。あとはアルバイトを雇ってピッチマークの修復だけやってもらうゴルフ場もあります」
「ただ、スタッフが少ないゴルフ場は手が回りませんから、カップ切りのときもピッチマークを直すヒマがなく、ピッチマークがついたままグリーンを刈っているところもあります」
「そうすると裸地の大きさが百円玉ではなく五百円玉になってしまうんですよ。ピッチマークは地面にボールがめり込んで後ろの土が盛り上がるじゃないですか。それを平らにすれば夏場でも百円玉で済みますけど、盛り上がったところも芝刈り機で削ってしまうと五百円玉になります」
「グリーンのコンディションがいいゴルフ場でプレーしたければ、自分のつけたピッチマークはすぐに直したほうがいいですよね」
芝は生き物であることを認識し、芝に負担をかけたら必ず修復することがゴルフを楽しむためのマナーと言えそうです。