- ゴルフのニュース|総合ゴルフ情報サイト
- 記事一覧
- ゴルフの豆知識
- 芝生の敵は暑さだけじゃない!? 今夏のコースコンディションをゴルフ場に聞いてみた
近年の暑さはゴルフ場の芝にとっても大敵。今年も例年通りの暑さになりそうだが、ゴルフ場のコンディションはどうなるのか? ゴルフ場関係者に聞いてみました。
近年の日本の夏は芝の生育にとって非常に厳しい環境
夏の訪れにはまだ早いですが、日中の最高気温が25度を超える夏日や30度を超える真夏日が増えてきました。地域によっては35度を超える猛暑日もすでに記録されています。
日中の最高気温が上がると、夜間も気温が下がらず、最低気温が25度以上の熱帯夜も増えてきます。このような報道を見るたびにゴルフ場のコース管理担当者は頭を抱えます。
多くのゴルフ場のグリーンで採用されているベント芝は元々、海外の寒冷地から輸入されてきた洋芝で、日本の暑い夏に耐えられる品種ではありませんでした。
そのため、ベント芝を導入したゴルフ場は、その隣に夏用のグリーンを設置し、季節によって2種類のグリーンを使い分けるという日本独自の営業スタイルを行なってきました。春秋冬は洋芝のベントグリーンを使用し、夏は日本芝のコウライグリーンを使用する時代が長く続いていました。
しかしながら、コウライグリーンは芝の葉が太いのでボールが滑らかに転がらないという弱点がありありました。
また、ゴルフ場はグリーンに近づくにつれてターゲットが小さくなり、ショットの難易度が高まるのが本来のあるべき姿ですが、グリーンが2つあるとハザードを作りづらく、ミスショットにリスクが生じないのでゲーム性を損なっていると指摘する人もいました。
したがって、ベント芝を品種改良することで日本の夏の暑さにも耐えられるように研究が行われ、暑さに強い品種が開発されました。
ベントとコウライの2グリーンだったゴルフ場は、まずコウライグリーンをベントグリーンに張り替えてベント2グリーンに改造し、1年を通して良好なコンディションが保てることを確認した後、ベント1グリーンに改造する動きが広まりました。
それが2000年代前半までは順調に推移していたのですが、2010年代に入ってから日本全体の気候が大きく変化し、猛暑や集中豪雨などが頻繁に発生するようになりました。品種改良によって芝の耐久性は高まったのですが、気象条件がそれ以上に厳しくなっているのです。
結果的に1グリーンのゴルフ場は芝の健康状態を維持するのに毎年苦労するようになりました。2022年も同様の気象パターンが早くも見られますから、今夏のコースコンディションが心配になります。
肥料の経費削減を余儀なくされているゴルフ場も多い
ゴルフ場関係者に話を聞くと、気象条件が厳しくなっていることに加え、コース管理の経費削減を余儀なくされていることもコンディション悪化に拍車をかけているそうです。
「親会社や上司からコース管理の経費を減らしなさいという指令が出ると、芝の育成に必要な肥料の経費も減らさなければなりません」
「肥料には有機肥料と化成肥料の2種類があります。高価な肥料は成分がよくてジワジワと効くようにコーティングされていますから、効き目が長いんですね。安価な肥料は成分がよくなかったり、成分がすぐに出てしまったりします」
「そうすると、芝が夜露や朝露で濡れたときに肥料成分がしみ出し、それが日中の太陽にさらされると、肥料焼けという症状が発生することがあります」
「安い肥料に換えて肥料焼けが発生すると、肥料を撒かないという選択をするしかなくなります。肥料を撒かないと芝が栄養失調になりますから色が悪くなります。芝の密度も減りますから、見た目がどんどん貧相になります」
どうやら昨今のゴルフ場は、厳しい気象条件と経費削減によってコースコンディションを万全の状態に整えることがかなり難しくなっているようです。
これはコース管理にお金をかければ解決するという単純な問題ではなく、猛暑日が何日も続いたり、平年の1カ月分の雨量が1日で降ったりすると、芝の健康状態は一気に損なわれます。
ゴルフ場はコースコンディションの悪化を大々的に公表することはありませんから、ゴルファーはゴルフ場予約サイトのコメント欄などでコンディションの情報を集めながらコース選びをしなければならない季節に差しかかっています。
最新の記事
pick up
ranking