「怖い」感情が大きくなるとイップスを自覚する?
トッププロゴルファーから生まれた「イップス」は、ゴルフに限らずスポーツ全般で使われるようになっています。日本イップス協会という団体もあり、トップアスリートや医療従事者も日々研究改善に取り組むほどになりました。
ゴルファーの間では「アマチュアはイップスにならない」、「誰にでも発症する可能性はある」など、様々な意見があります。

少なくともゴルフにおける「イップス」は、ゴルファー自身の自己判断を基準にした方が望ましいと思います。なぜなら、周りから見ればパター絶好調のトッププロが「実はあの時イップスだった」と語ったり、逆に周りから「イップスじゃない?」と見られても本人に自覚がなければ症状が出なくなることもあるからです。
あくまで統計的な話でいうと、ビギナーは「うまくいった経験がない」ため「イップス」を自覚することは非常に少ないようです。こんな背景から「ヘタなゴルファーはイップスにならない」と上級者たちはいいますが、本人が「怖い」と自覚しパターやショット、アプローチが打てなくなってしまったら、改善もしくは治療するレベルになっていると考えるべきです。
「怖い」と感じる理由や原因を知れば「イップス」は治る?
「イップス」時の「怖い」という感情を消すのは簡単ではありません。
レジェンドゴルファーであるベン・ホーガン選手ですら、晩年はパターイップスに悩まされ、1メートルのパットを5メートル打ってしまいギャラリーからすすり泣く声が聞かれたそうです。トッププロの場合は、スイング技術を完全にリニューアルして、メンタルをリフレッシュすることで「復活」や「新生」してきた歴史があります。

アマチュアの場合、「成績」や「賞金」、「生活」ではなく、「プライド」が揺らいでしまうことに「怖さ」を感じてしまうケースが多いようです。
イップスになってしまったアマチュアでも、プロのようにイチからパッティングを見直し普通にストロークできるようになった場合もあれば、ダウンスイングが降りてこないショットイップスがグリップの握り方だけで解決することもあります。様々な方法の中から探していけば解決策はあるようです。
また、スイングを変えなくてもクラブを買い換えたり、スコアをつけるのを辞めただけで見違えるように回復することもあります。
何をやってもうまくいく絶好調な時でも、「ゴルフは波があるのが当たり前」、「アマチュアの趣味だから」ぐらいの気持ちでプレーして、自分を追い詰めないように誘導しておくと「イップス」から遠ざかれるようです。
それでも「イップス」は、個々で発症理由や改善方法も異なるので「難病」であることは確かです。
【解説】筒 康博(つつ・やすひろ)
伝説のプロコーチ・後藤修に師事。世界中の新旧スイング方法を学び、プロアマ問わず8万人以上にアドバイスを経験。スイング解析やクラブ計測にも精通。ゴルフメディアに多数露出するほか、「インドアゴルフレンジKz亀戸」ヘッドコーチ、WEBマガジン「FITTING」編集長を務める。