50歳になった福嶋晃子も! 全米シニア女子OPに予選から10人の日本勢 米国に戦いの場を求める理由 | e!Golf(イーゴルフ)|総合ゴルフ情報サイト

50歳になった福嶋晃子も! 全米シニア女子OPに予選から10人の日本勢 米国に戦いの場を求める理由

8月24~27日に行われる「全米シニア女子オープン」に、90年代、2年連続の賞金女王など日本女子ツアーに君臨した福嶋晃子ら、10人の日本勢が出場する。全米各地で行われる予選に日本選手が大挙して挑戦するのはなぜなのだろうか。

福嶋晃子はカリフォルニア州での予選をトップで通過

◆米国女子プロゴルフ<全米シニア女子オープン 8月24~27日 ウェーバリーCC(オレゴン州) 6104ヤード・パー72>

 ゴルフは生涯スポーツ。8月24~27日に行われる「全米シニア女子オープン」は、そんな言葉をあらためて思わせる大会になりそうだ。

日本女子ゴルフ界のレジェンド、福嶋晃子が世界の舞台に復帰する 写真:Getty Images
日本女子ゴルフ界のレジェンド、福嶋晃子が世界の舞台に復帰する 写真:Getty Images

 今年が5回目の開催となる同大会の参加資格は、大会初日の8月24日以前に50歳になっている女性であること。予選からならハンディキャップインデックス7.4以下のアマチュアとプロなら挑戦できる。全米16カ所で行われたこの予選を64人が突破。大会歴代優勝者などのシード選手など本戦出場権を持つ者と合わせて120人が激突する。

 特筆すべきは、予選通過者の中に10人の日本勢がいること。6月末に50歳の誕生日を迎えた福嶋晃子がカリフォルニア州での予選をトップで通過し、初出場を決めている。年齢を重ねても、若い選手たちを驚かせる飛距離を誇る福嶋が、世界を相手にどんなプレーを見せてくれるのか。

 2018年の第1回大会から出場を続けている斉藤裕子もアリゾナ州の予選を通過。レギュラーツアーへの挑戦も続けている鬼澤信子、大竹エイカ、45歳から出場できる日本のシニア、レジェンズツアーでプレーする下條江理子、白戸由香、祖父江歩、久保樹乃、小倉由子も参戦する。さらに60歳となった大ベテラン、島袋美幸が予選から勝ち上がっているのも興味深い。

 1980年に始まった全米シニアオープン(男子)に遅れること38年。2018年に行われた第1回大会では、ローラ・デービース(英)が10打差で圧勝した。1987年全米女子オープンで、岡本綾子、ジョアン・カーナー(米)の大先輩2人とのプレーオフを制し、世界の注目を集めたデービースは、2015年に世界ゴルフ殿堂入りを果たしている。だが、その後も、、メジャーなど限られた試合ではあるが米欧両ツアーでのプレーを続けており、その強さが光った。59歳の現在もツアー出場は続けており、まだまだ元気いっぱいだ。

“遅咲き”の斉藤裕子は第1回で5位など好成績を収め続ける

 第1回大会には、JLPGA会長の小林浩美と斉藤裕子が日本から参戦した。第1回大会とあって、米女子ツアーでプレーしていた頃の実績で本戦から出場した小林は予選落ち。予選を勝ち抜いて本戦に駒を進めた斉藤は、5位に入って存在感を見せつけた。

 1967年生まれの斉藤は日本ツアー2勝だが、初優勝は36歳8カ月と“遅咲き”。その裏には、アニカ・ソレンスタム(スウェーデン)や宮里藍なども学んだ「54ビジョン」がある。これを提唱するピア・ニールセンが日本で講演したのを聞いて心酔。アリゾナ州フェニックスの本拠地に行き、レッスンを受けて臨んだシーズンに結果を出した。

 今でも折に触れてアリゾナに行って練習している斎藤は、第1回から毎年、全米シニア女子オープン出場を続けている。2019年19位、コロナ禍で大会が中止となった20年を乗り越えて21年には自己ベストの4位。22年は22位となったが、今年もなじみが深いアリゾナの予選から本戦切符をつかんだ。

 年々、この大会に予選から挑む日本選手は増えている。毎年、本戦に出場して結果を出している斉藤を見て、大会出場を目標に精進する40代の選手も少なくない。

 米国でも男子に比べ女子のシニアの試合は少ないが、45歳からの日本のレジェンズも今年はたったの3試合しかない。鬼澤や大竹のようにレギュラーツアーでプレーするチャンスを求め続けている選手や、ステップ・アップ・ツアーでプレーする選手も多い。一方で、目標を求める声は多い。そんな中で、全米シニア女子オープンでの斉藤の活躍は、ミドルエイジの選手たちの気持ちを高揚させている。その結果が10人の本戦出場につながったのは間違いない。

 ちなみに、同じ予選会場から欠場者が出れば本戦に出られる補欠にも2人、日本勢がいる。1人は現在、ティーチングプロとして活動している松本有香子、もう1人は21年の本戦に出場しているアマチュアの中田朱美カヤットだ。

 日本シニアオープンは1991年に始まり、今年32回大会を迎えるが、日本シニア女子オープンはまだない。米国も日本も、女子のゴルフ人口が男子に比べて少ないという事情はある。それでも、年々増えているこの大会への日本からの参加選手を見るたび、活躍の場を求め、目標を持って努力を続ける女性ゴルファーが多いことがよく分かる。

 できるだけ長く競技ゴルフの場で戦い続けたい。そんな女性ゴルファーの思いが詰まった大会が持つ意味は大きい。日本から出場する選手たちだけでなく、世界のベテラン女性ゴルファーたちのプレーにも注目だ。

取材・文/小川淳子
ゴルフジャーナリスト。1988年東京スポーツ入社。10年間ゴルフ担当記者として日米欧のトーナメントを取材する。1999年4月よりフリーランスとしてゴルフ雑誌やネットメディアなどに幅広く寄稿。

【写真】フォロースルーが高~い! 20代の福嶋晃子、他を圧倒した豪快スイング

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1999年、米ツアー参戦初年度の福嶋晃子 写真:Getty Images
1999年、米ツアー参戦初年度の福嶋晃子 写真:Getty Images
日本女子ゴルフ界のレジェンド、福嶋晃子が世界の舞台に復帰する 写真:Getty Images

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