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- お手本は菅沼菜々! 「ラインに乗ったと思ったのにカップ際で切れちゃった…」をなくすラインの読み方
多くのツアープロのコーチとして活躍している石井忍氏が、“ここはスゴイ”と思った選手やプレーを独自の視点で分析します。独自の視点で分析する。今回注目したのは、国内女子ツアー「NEC軽井沢72ゴルフ」で初優勝を挙げた菅沼菜々。
アップライトなスイング、高いトップが特徴の菅沼菜々
8月11~13日まで、「軽井沢72ゴルフトーナメント」が長野県の軽井沢72ゴルフ北コースで開催されました。優勝したのは菅沼菜々選手です。神谷そら選手をプレーオフで下し、涙のプロ初勝利を挙げました。
3日間競技の今大会、プレーオフに進んだ2人のスコアは通算16アンダーでした。4日間競技なら、20アンダーに匹敵する好スコアです。
国内女子ツアーに限らず、世界のツアーを見渡すと、以前に比べて今年は優勝スコアが20アンダー以下という試合が増えたように感じます。理由として考えられるのは、ゴルフギアの進化や弾道測定器の普及、また以前よりも簡単に情報収集できるようになって練習やトレーニング、スイングを効率的に磨けるようになったことなど。
それぞれ進化してきたこれらの要素がリンクし始めたことが、「20アンダー以下」が急増した大きな理由のように感じます。私は、今シーズンを「20アンダー元年」と勝手に呼んでいるんです(笑)。
さて、優勝した菅沼選手は、アップライトなスイング、高いトップが特徴ですよね。スタッツを見てみると、トータルドライビング11位、ボールストライキング11位とショット力が高いことが分かります。
また、パーオン率17位(69.6798)に対し、パーオンホールの平均バーディ数9位(1.7642)と、パッティングの巧さも魅力の選手といえるでしょう。
ミドルパットはカップ周りの曲がり具合をイメージ
そんな菅沼選手のパッティングで興味深いシーンがありました。今大会のプレーオフ2ホール目。残り127ヤードのセカンドショットをピン左上1.5メートルにつけて迎えたバーディーパット。ウィニングパットを打つ前の素振りです。
菅沼選手は、カップから50センチくらいの所に立ち、ラインを確認して素振りをします。続いて、ボール側に一歩下がり、カップまで1メートルくらいの所で再びラインを見て素振り。最後に、もう一歩下がってボールの位置立ち、ラインを確認します。ラインを三分割してチェックして臨んだこのパットを沈め、菅沼選手は優勝を決めました。
ラウンド中に「ラインに乗ったと思ったのに、カップ周りで切れてしまった」とか、反対に「切れずにカップ横を抜けてしまった」という経験をしたことがないでしょうか?
ボールのスピードが遅くなるカップ間際は、傾斜の影響を大きく受けることになります。菅沼選手は、ラインを三分割してチェックしていましたが、カップ際の傾斜だけでも見ておくといいでしょう。特にミドルパットなどでは、ボールの位置からラインをチェックするだけでなく、カップ周りの曲がり具合をイメージしておくと効果的。カップインの確率が高くなるはずです。
菅沼 菜々(すがぬま・なな)
2000年2月10日生まれ、東京都出身。18年プロテスト合格。20-21年シーズンは賞金ランキング47位で初のシードを獲得。22年シーズンは、メルセデス・ランキング8位と躍進。23年「NEC軽井沢72ゴルフ」では、神谷そらとのプレーオフを制して悲願の初優勝を挙げる。あいおいニッセイ同和損保所属。
石井 忍(いしい・しのぶ)
1974年生まれ、千葉県出身。日本大学ゴルフ部を経て1998年プロ転向。その後、コーチとして手腕を発揮し、多くの男女ツアープロを指導。「エースゴルフクラブ」を主宰し、アマチュアにもレッスンを行う。
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