過去には畑岡奈紗、原英莉花、勝みなみが優勝
今週の国内女子ツアーは公式競技(メジャー)の「日本女子オープンゴルフ選手権」。大会連覇中の勝みなみは米女子ツアーシード権確保に専念するため残念ながら欠場となったが、同学年の黄金世代にまで枠を広げれば現在大会4連覇中。今年も黄金世代がタイトル防衛を果たすかどうかが注目される。
「日本女子オープン」はプロ、アマ問わず、さらにはプロテスト合格を目指している選手も交えて競う競技である。

出場権(前年のメルセデス・ランキング上位30位など)を有していない選手は予選会から出場を目指す。予選会は地区予選と最終予選の2段階。今年、6会場で実施された地区予選の出場者は約700人。最終予選からの出場権がある選手が約100人おり、合わせて約800人もの選手が予選会に挑んだ。まさに、最大にして最高峰の大会といえるだろう。
この最高峰の大会は1998年度生まれの黄金世代が滅法強い。2016年、当時高校3年生だった畑岡奈紗がアマチュアとして初めて大会を制したのが始まりだった。
翌2017年はプロになった畑岡が申ジエ(韓国)に8打差をつける圧勝。20アンダー、268ストロークは大会新記録だった。
畑岡は3連覇がかかった2018年は全米女子オープン優勝などの実績を誇るユ・ソヨン(韓国)に敗れて2位に甘んじたが、2019年は4打差の快勝で大会3勝目を挙げる。この年は3人の2位タイの中に同じ黄金世代の大里桃子が名を連ねたほか、高橋彩華(5位タイ)、渋野日向子(7位)、田中瑞希(9位タイ)と黄金世代が5人もトップ10に食い込んだ。
2020年は原英莉花と小祝さくらの黄金世代同士の一騎打ちとなり、原が優勝。そして2021、22年と勝が連覇を飾った。過去7年で6勝、さらに現在4連覇中というわけだ。
「日本女子オープン」は今年で56回目という長い歴史を誇るが、同じ学年の日本選手が3人もタイトルを手にしているのは黄金世代だけである。
他の大会と比べても黄金世代と「日本女子オープン」との相性のよさは別格。他の大会で黄金世代の優勝数が最も多いのは「リゾートトラストレディス」、「CAT Ladies」「大王製紙エリエールレディス」の3勝なのだ。
今年も14人の黄金世代が日本女子OP出場
だが、新星が次々に現れ、新陳代謝が激しいのが今の女子ツアー。黄金世代も下の世代からの突き上げに見舞われているのが実情である。
畑岡、渋野、勝という実績のある3人が米女子ツアーを主戦場にしていることも影響しているが、現在メルセデス・ランキング上位につけているのは4位の小祝くらい。今年は吉本ひかると小滝水音が初優勝を果たして世代の層の厚さを改めて示したが、2人とも初優勝以降は好成績を残しているとは言い難い。

原は腰の手術があってシードの当落線上。大里や新垣比菜、河本結、植竹希望ら優勝経験者がシード圏外と苦戦している。
それに昨年、今年と「日本女子オープン」以外のメジャー優勝者は年下の世代ばかり。それだけに、最高峰のタイトルは譲れない最後の一線だ。
今年、出場権を手にしている黄金世代は天本ハルカ、新垣比菜、植竹希望、臼井麗香、木下彩、木村円、小祝さくら、小滝水音、小西瑞穂、高橋彩華、鳴川愛里、原英莉花、土方優花、吉本ひかるの14人(9月24日時点)。うち4人はまだプロテストに合格していない選手である。
昨年の年間女王・山下美夢有や勢いのある岩井ツインズ、米女子ツアーポイントランキング8位につける古江彩佳ら下の世代には強敵が目白押し。史上初のメジャー4冠がかかる申ジエも怖い存在だ。
前評判では劣勢は否めないだろう。それを覆す底力を見せることができるか。タイトル防衛をかけた黄金世代の戦いが始まる。