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- 悲願の初優勝…石川遼との激戦を制した岩崎亜久竜が“欧州ツアー”参戦で手にしたものとは?
後半は大会初優勝を目指す石川遼と昨年の賞金ランキング3位・岩崎亜久里の一騎打ちとなった今年の日本オープン。通算8アンダーまでスコアを伸ばした岩崎が、2打差で石川を抑え国内ツアー初優勝を飾った。今季は欧州ツアーに参戦していたが、そこで得た経験が見事に形となった。まだ25歳と若いだけに今後の活躍が楽しみだ。
今年の欧州ツアーでは60位タイが最高順位
◆国内男子プロゴルフ〈日本オープンゴルフ選手権 10月12~15日 茨木カンツリー倶楽部 西コース(大阪府) 7315ヤード・パー70〉
“かわいい子には旅をさせよ”というが、岩崎亜久竜にとって今年の欧州ツアーに参戦したことは大きな成長を促した。
米国ツアーと違い、さまざまな国を渡り歩く欧州ツアーは慣れるまでが大変だといわれる。特に参戦1年目はその過酷さをまともに受け、「毎週違う国で戦いますが、芝質も違えば、気候などのコンディションも違います。さらに時差や食事に慣れるのが大変でしたね」。もちろん、コースセッティングも日本とは異なる部分の方が大きく、それも岩崎を戸惑わせた。
「ラフの長さやピンポジションなど本当に厳しいのに、他の選手はドライバーでギリギリのラインを攻めていきます。ミスも出ますが、それをリカバリーする能力を皆持っているんです」。結局、15試合に出場して予選通過したのはわずかに3試合。最高順位は60位タイと苦しんだ。
「最初はもう少しできるという思いもありましたが、途中から自信がなくなってしまいました」。そのまま自分のゴルフを見失い、本来の実力を発揮できずに終わる選手も少なくないが、岩崎は違った。
自分に何が足りないのかを考え、練習方法を変更。ショットの練習量を減らし、アプローチやパッティングの練習量を増やした。その結果、ミスをしてもリカバリーできる力がついてきた。ひと回りもふた回りも成長して迎えたのが今大会だったのだ。
最終日、岩崎は首位と3打差の7位タイからスタート。「混戦だったので、いつも通りに自分のできることをやるしかないと思ってプレーしました」と気負うことはなかった。
それが幸いしたのか、前半のハーフを4バーディー、1ボギーの32で回り、一気に首位タイに躍り出る。8番ではピン左手前約40センチ、9番ではピン手前2メートルに第2打をつけ、後半に向けて勢いがつく試合運びを展開した。
石川遼とのプレーオフは避けたかった
ある意味自分のプレーに集中していた岩崎だが、さすがに終盤になれば“優勝”の2文字がちらついてくる。「残り3ホールから優勝を意識し始めました」。順位や2位以下との差は、スコアボードで把握している。追い上げてくるのは石川遼だったことも知っていた。
17番パー3では岩崎がカラーからパターで寄せようとしてアドレスに入ろうとした瞬間、16番グリーン方向から大歓声が上がる。仕切り直しをしながら、石川がバーディーを奪ったことは容易に推測できた。その17番をパーセーブして、石川と1打差で迎えた18番パー5。岩崎の頭にある考えがよぎった。
「もしも(石川との)プレーオフになれば、自分はアウェーの雰囲気で戦わなければならず、不利な状況になる。だったら、バーディーを奪ってプレーオフに持ち込まなければいい」。2、3打差あればティーショットは刻んだが、バーディー狙いだったので岩崎はドライバーを選択した。
しかし、多少のリキみがあったのか、ボールを右の林に打ち込んでしまう。ただ、幸いにもグリーン方向にはテレビ塔があり、ボールを10ヤード左に移すことができた。それでも、目の前には枝が張り出しているため高いボールは打てない。一度フェアウェイに出すかと思われたが、岩崎にその選択はなかった。
「ピンまで238ヤードでしたが、ボールがラフに浮いていたので4番アイアンで低いフェードを打てばいいかなと。風も左からでしたし、その風に乗せるつもりで打ちました」
グリーンの左サイドには池があり、一つ間違えればスコアを落とす危険があった。インパクトからフォローにかけてフェースを返さないようにクラブを振り抜くと、ボールは池の上から右に曲がり、見事にグリーンをとらえて2オンに成功。10メートルのイーグルパットを30センチに寄せてバーディーを奪い、2打差で逃げ切り優勝を飾った。
「この優勝は自信になりますし、残りの試合で賞金ランキングを少しでも上げたいです」。ツアー初優勝が日本オープンという離れ業を達成した岩崎。5年シードも獲得したが、欧州ツアーでの経験はやはり無駄ではなかったことを自ら証明してみせた。
岩崎 亜久竜(いわさき・あぐり)
1997年12月17日生まれ、静岡県出身。22年の開幕戦「東建ホームメイトカップ」では初めて最終日最終組でプレーし5位に入る。同年の賞金ランキングでは3位に入り、初のシード獲得。23年シーズンは欧州ツアーに参戦。10月の国内メジャー「日本オープン」で悲願のツアー初優勝を手にした。所属はフリー。
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