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米男子で予選落ちに終わったレクシー 「あと一歩」と思わせた数字・内容と越えられなかった「高い壁」とは?
レクシー・トンプソンが挑んだ米男子PGAツアーのシュライナーズチルドレンズオープン。男子ゴルフの世界に挑む史上7人目の女子選手となったが、残念ながらカットラインに3打及ばず予選落ちに終わった。しかし、数字的には男子にも見劣りしない内容。それでも越えられなかった高い壁とは?
女子で史上7人目のPGAツアー挑戦となったレクシー・トンプソン
米女子ツアー(LPGA)で通算11勝の実績を持つレクシー・トンプソンが、PGAツアーのシュライナーズチルドレンズオープンに推薦出場した。男子ゴルフの世界に挑む史上7人目の女子選手として、1945年以来の予選通過を目指したビッグチャレンジは、残念ながらカットラインに3打及ばず予選落ち。彼女の挑戦は2日間で終わってしまった。

だが、「あっさり終わった」という印象ではない。むしろ、トンプソンがゴルフ界に残した足跡は、きわめて強く、大きく、ポジティブなものだったと言っていいのではないだろうか。
初日の2オーバーを2日目は2アンダーで巻き返し、通算イーブンパーまで戻した彼女のゴルフには、勢いがあり、魅力もあった。
肝心の大舞台で、たとえ少々出遅れても、諦めず、投げ出さず、1つ1つ取り戻していく。トンプソンのゴルフには、そんなネバーギブアップの精神が溢れ返っていた。
2日目はスタートホールの10番でいきなりボギーを喫し、出鼻をくじかれた。だが、11番、13番、15番でバーディーを奪うと、折り返し後も1番、2番でさらなるバーディーを重ね、カットラインににじり寄っていった。
あと1つ、いや2つほどバーディーを獲得すれば、女子選手による史上78年ぶりの予選通過が達成されるという期待は、トンプソンの胸の中にも、戦いの舞台となったラスベガスのゴルフファンの間にも、どんどん広がり、膨らんでいった。
「最後の数ホールは『あと少しだ』『あと一歩だ』『あと1つ2つバーディーを獲れ! そうすれば予選通過できるぞ』と、僕らはレクシーを応援していた」とは、一緒に回っていた男子選手のマイケル・キムの言。
しかし、5番と8番でボギーを喫したトンプソンは、「あと少し」の壁を打破することはできず、予選落ちとなった。
フェアウェイキープ率は85%超、パーオン率は77%超
ゴルフヒストリーを振り返れば、男子ツアーの大会に初めて挑んだ女子選手はベーブ・ザハリアスだった。
ザハリアスは1938年から通算7回、男子ツアーの大会に挑み、1945年のフェニックスオープンとツーソンオープンの両方で予選通過を果たした。そして、その記録は、これまでも、今回も、破られなかった。
ザハリアス以降は、1952年のリノオープン(現バラクーダ選手権)に出場したシャーリー・スポーク、2003年のコロニアルトーナメントに挑んだアニカ・ソレンスタム、同年のトラベラーズ選手権に出場したスージー・ウェイリーという具合に、女子選手によるチャレンジが続いた。
スポークが出場した大会は予選カットがなかったため、彼女は最終日まで戦って105位になった。ソレンスタムとウェイリーは予選落ちに終わった。
その翌年、「私は男子の世界に挑みたい」と公言しながら颯爽と登場し、世界のゴルフ界を騒然とさせたのが、「天才少女」ミシェル・ウィーだった。
ウィーは14歳で推薦出場した2004年のソニーオープンを皮切りに、2008年のバラクーダ選手権に至るまで、合計8回、PGAツアーの大会に挑んだ。しかし、奮闘むなしく、いずれも予選落ちに終わってしまった。
近年では、ブリタニー・リンシコムが2018年のバーバソル選手権に出場したが、彼女も決勝進出は果たせなかった。
つまり、ザハリアス以外の女子選手は、誰一人、PGAツアーにおける予選カットラインの分厚い壁を越えることができていないということになる。
しかし、ソレンスタムやウィーは、その壁を越えることが「決して無理ではない」ことを示してくれた。
そして今回のトンプソンのゴルフは、女子選手がその壁を越える日が「近づきつつある」ことを、さまざまな形で示してくれたと言っていい。
2日目の彼女のスタッツに目をやれば、フェアウェイキープ率は85%超、GIR(パーオン率)は77%超と高い精度を保っていた。
飛距離面を見れば、女子選手としては屈指のロングヒッターであるトンプソンは、LPGAの大会ではドライバーを握る機会があまり多くはないのだが、男子のPGAツアーの大会では、ほぼ毎ホール、ドライバーを振り、平均飛距離は301ヤード、最大飛距離は316ヤードを記録した。
パー5では「2オン」もやってのけ、2日目の15番パー4では「1オン」してバーディーを奪う見せ場も作り、大観衆を大いに沸かせた。
「これなら、行ける」「彼女なら、やれる」「予選を突破できるかもしれない」。トンプソンは眺めていた人々に、そんな期待を本気で抱かせてくれた。しかし、結果は予選落ちとなった。
男子選手以上の精度と小技が求められる重圧
1945年のザハリアス以来、78年もの間、なぜ女子選手は男子の大会で予選カットラインをクリアすることができないのか。
その疑問に対して、明確に明解に答えることは難しい。きっとトンプソン自身も、ソレンスタムやウィーも、明言することはできないのではないだろうか。いろいろな要素が複雑に絡み合った結果、「今のところは、そうなっている」としか言いようがない。
だが、強いて言うなら、男子と女子の「肉体差」が、さまざまな別の差を生じさせていくことが原因のように感じられる。
たとえば、トンプソンはドライバーで300ヤード前後の飛距離を出すことができ、今大会でも316ヤードをかっ飛ばしたホールがあった。
それは女子選手としては驚異的な数字だが、今大会に出場していた男子選手の中では、彼女の飛距離は116位に過ぎず、この数字は男子の世界においては「飛ばない選手」に位置付けられる。
たとえ非力なショートヒッターに分類されるとしても、精度の高さや小技のうまさでカバーすることは不可能ではない。
しかし、飛距離面の不足を精度や小技で補うことで男子選手たちを抑え込み、予選通過を果たすのだとすれば、女子選手に求められるショット精度と小技のうまさは、男子選手たちのそれの2倍、3倍、いやそれ以上でなければ辻褄が合わない。
ただでさえ精度も高く、小技もうまい男子選手をさらに上回るショット精度と小技のうまさを常に実現しようとすることは、多大なるプレッシャーと戦うことにもなる。そこに最大の難しさがあるのではないだろうか。
とはいえ、PGAツアーでは女子選手による予選通過がなかなか実現しない一方で、欧州のDPワールドツアーでは、欧州女子ツアー(LET)との共催で男女混合大会を開催しており、PGAツアーもシーズンオフの非公式戦では長年の男子のみの大会を男女混合戦に変えている。
男子選手と女子選手の肉体差やパワーの差はあるとしても、双方が理解し合い、同じ土俵で戦う時代は確実に開けつつある。
文・舩越園子
ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学客員教授。東京都出身。百貨店、広告代理店に勤務後、1989年にフリーライターとして独立。1993年に渡米。在米ゴルフジャーナリストとして25年間、現地で取材を続け、日本の数多くのメディアから記事やコラムを発信し続けてきた。2019年から拠点を日本へ移し、執筆活動のほか、講演やTV・ラジオにも活躍の場を広げている。
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