「最終日最終組とは思えないくらい落ち着いていた」
米国女子プロゴルフ<CMEグループ ツアー選手権 11月16~19日 ティブロンGCゴールドC(フロリダ州) 6556ヤード・パー72>
畑岡奈紗が米ツアー年間女王をあと一歩のところで逃した。
「レース・トゥ・CMEグローブ」と呼ばれるポイント制ランキング60位までの者だけが出場を許された最終戦「CMEグループ ツアー選手権」最終日に、通算21アンダー首位タイで臨んだ畑岡。首位を並走するエイミー・ヤン(韓)と同じ最終組で、手に汗握る優勝争いを繰り広げた。

シーズン中に積み重ねてきたポイントがすべてイーブンに戻り、出場選手が横一線で挑む最終戦は、出場している60人全員に勝てば年間女王のチャンスがある大勝負。1番バーディーの畑岡が単独首位に立ち、3番でヤンがボギー。畑岡は5番バーディーで3打差までリードを広げ、年間女王に大きく近づいた。
しかし、ヤンも7番、8番、10番とバーディーを奪って通算23アンダーと畑岡に並ぶ。11番バーディーで畑岡が再びリードしたが、ヤンは13番の第2打をバックスピンでカップに入れるイーグルを奪取して通算25アンダー。直後に手前から2メートルのバーディーパットを畑岡がはずし、ヤンがこの日初めて単独首位に立つ。
しかし、畑岡も負けてはいない。次の14番バーディーで首位に並び返し、2人のマッチレースは大詰めに突入した。
畑岡が痛恨のボギーを叩いてしまったのはパー3の16番。グリーン右のカラーから5メートルをパターで打ってオーバーし、1メートルの返しも入らない。通算24アンダーとヤンのリードを許してしまう。
するとヤンは17、18番の連続バーディーで畑岡を突き放し、通算27アンダーで3打差優勝。200万ドルのビッグプライズと年間女王の座を獲得した。
畑岡は通算24アンダーでアリソン・リー(米)と並ぶ2位タイ。結果的に優勝のないままシーズンを終えることになった。
「ショットが左右にブレて、なかなかチャンスにつけられなかったのが悔しいですね。ホントに残り(上がり)3ホールだったんじゃないかな。今年課題の100ヤード以内のショートゲームがすごく今週はよかったと思いますし、それをもっと磨いて来年以降勝てるように頑張りたいと思います」
「今日はホントに最終日最終組とは思えないくらい自分でも落ち着いてるなと思ってたんですけど、なかなかプレーはうまくいかなかった。今季最高順位で終われたのはよかったと思います。最後の3試合ですごくいいプレーも多かったと思いますし、すごくいい感覚も得られたので、オフでもっと磨いてもっと強くなって帰ってきたいなと思います」と、7年目のシーズンを悔しさと満足感の入り混じるコメントで締めくくった。
終盤に入って調子を上げ、最終戦進出を決めた西村優菜は、フェアウェイキープ率100%のショットを武器に5つスコアを伸ばして通算14アンダー。22位タイから13位タイに順位を上げてルーキーシーズンを締めくくった。
「序盤は難しい戦いだったけど、ずっとあきらめずに戦えて最後いい形で終われてよかった。まだまだトップとの差は大きいと思いますけど。いいオフを過ごしてもっと強くなって頑張りたい。今年はシード獲得が目標でしたけど、来年は優勝という目標で」と、力強く口にした。
古江彩佳は1番バーディーの後、スコアカード通りのプレーで通算13アンダー16位タイ。「ショットはそこそこよかったのに、パットが入ってくれなかった苦しいラウンド。今年は速かった」と振り返った。
笹生優花は6バーディーを奪いながらダブルボギーも2つと出入りの激しいゴルフで通算12アンダー23位タイ。「いいスタートだったけど、ちょっとミスで……。でもそれがゴルフ。いい勉強になった楽しい1年でした」と笑った。
渋野日向子、勝みなみは出場権を得られず、すでにシーズンを終えている。
畑岡 奈紗(はたおか・なさ)
1999年生まれ、茨城県出身。2016年の日本女子オープンで国内メジャー史上初のアマチュア優勝達成。その後、プロ転向して翌17年から米ツアーに参戦。同ツアーでは18年に初勝利を挙げ、22年シーズンはDIOインプラントLAオープンで米ツアー通算6勝目。日本ツアーでも、19年に日本女子プロゴルフ選手権、日本女子オープンを制するなど、ツアー通算5勝を挙げている。アビームコンサルティング所属。