右がイヤなら右を向け!? 米女子ツアー開幕戦ディフェンディングチャンピオンの技ありアドレス

　米女子ツアーの2024年シーズンがスタートします。開幕戦は、フロリダ州レイクノナG＆CCを舞台に行われる「ヒルトングランドバケーションズ トーナメント・オブ・チャンピオンズ」です。出場者が過去2シーズンの優勝者などに限られる大会ですが、日本勢ではホステスプロの畑岡奈紗選手、22年に米ツアー初勝利を挙げた古江彩佳選手、そして日本で開催された昨年の「TOTOジャパンクラシック」で優勝した稲見萌寧の3人が出場します。

　ところで、昨年大会で印象に残っているシーンがあります。それは、優勝したブルック・ヘンダーソン選手のドライバーショットです。初日から首位を守り、通算16アンダーで完全優勝を達成したヘンダーソン選手は、あるホールで技ありのティーショットを見せてくれました。

　そのホールは距離の短いパー4。右サイドがNGのトリッキーなシチュエーションです。ヘンダーソン選手は、この状況でかなり右を向いてスタンスをとりました。

　ゴルファーの心理としては、右サイドがNGのシチュエーションに遭遇すると、左サイドを向いて構えたくなりますよね。しかし、左を向くとアウトサイド・イン軌道がキツくなって、いわゆるカット打ちに。出球は左方向に出やすくはなりますが、スライス回転がかかり、右方向にボールが曲がりやすくなります。

　右を向いたヘンダーソン選手のティーショットは、ドロー回転がかかり綺麗な放物線を描き飛んでいきました。右サイドに打ちたくないシチュエーションでは、勇気を持ってスタンスを右に向けること。すると、インサイドからクラブが下り、ボールをつかまえやすくなります。

　このセットアップのポイントは、スタンスはターゲットの右方向に向けますが、フェースはターゲット側に向けることです。ただし、フェースを左に向け過ぎると、今度は左のミスが出てしまうので注意してください。

　前述のように、今年の米女子ツアー開幕戦には日本勢は3選手のみが出場します。ですが、2月から3月上旬のアジアシリーズを終え、再びアメリカ本土に舞台を戻すと、出場枠が拡大。歴代メジャーチャンピオンの笹生優花選手や渋野日向子選手、昨シーズンから米女子ツアーで戦っている勝みなみ選手、西村優菜選手、さらに予選会を突破した吉田優利選手や西郷真央選手らも参戦予定です。彼女たちが米女子ツアーでどんなパフォーマンスを見せてくれるのか、大いに期待したいですね。

1997年生まれ、カナダ出身。アマチュア時代は、軽井沢で開催された「世界女子アマチュアチーム選手権」個人戦で優勝などの戦績。プロ転向後、15年に米ツアーで初勝利。翌16年の「KPMG女子PGA選手権」でメジャー初勝利を挙げた。22年は「アムンディ エビアン選手権」でメジャー2勝目を達成。昨シーズンの開幕戦でツアー通算13勝目を挙げている。

1974年生まれ、千葉県出身。日本大学ゴルフ部を経て1998年プロ転向。その後、コーチとして手腕を発揮し、多くの男女ツアープロを指導。「エースゴルフクラブ」を主宰し、アマチュアにもレッスンを行う。