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- 日本オープンを初制覇した今平周吾の新パッティングスタイル 独特の握り方はアマチュアも真似していいの?
多くのツアープロのコーチとして活躍している石井忍氏が、“ここはスゴイ”と思った選手やプレーを独自の視点で分析します。今回は、「日本オープンゴルフ選手権競技」で優勝した今平周吾(いまひら・しゅうご)です。
日本オープンの終盤で生まれた2つの名シーン
「日本オープン」は毎年難セッティングで行われますが、今年は例年以上にタフなセッティングでしたね。パー70で総ヤーデージ数7251ヤードと長く、ラフの長さはなんと200ミリ! 実は大会が行われる数日前に東京ゴルフ倶楽部でラウンドする機会に恵まれたのですが、私が今までの人生で見た“草”の中で一番長かったかもしれません(笑)。

そんなタフなセッティングの中、大会を制したのは今平周吾選手でした。大会に臨むにあたり、今平選手はフェアウェイキープの徹底を心がけていたそうです。ドライバーを使用したのは最終日では1回のみ。4日間では6回だけでした。
今大会は終盤に2つの名シーンが生まれました。一つは最終組の木下稜介選手の17番パー3。ピンまで15ヤードのバンカーショットをカップインさせて通算3アンダーとし、土壇場で今平選手に並びました。
もう一つの名シーンが最終組の一つ前でプレーした今平選手の18番パー4。木下選手がスーパーショットで魅せた直後のプレーです。
残り230ヤードのセカンドショットでグリーンをとらえますが、ピンまでは20メートル。バーディーパットを打つ前の今平選手は「パーで上がってプレーオフに持ち込めたら」と思っていたそうです。
しかし、「タッチも合っていたし、ラインに乗っていた」というこのバーディーパットがカップに吸い込まれ、通算4アンダーでホールアウト。節目となる通算10目を地元・埼玉県狭山市で飾りました。
さて、そんな今平選手は3試合前から左腕を伸ばしてアドレスしてストロークするようにスタイルを変えています。「シャフトと一体じゃないですけど、体の動きだけで動かすようにしたらタッチも方向性も安定しました」とコメントを残しています。
「日本オープン」でのパッティングを見ると、クロスハンドで長いグリップを短く握り、左腕の前腕部分とグリップが平行になるように構えます。ストローク中もグリップと前腕の関係性は変わりません。グリップを左前腕にくっつけて固定するアームロックではありませんが、それに近いスタイルを取り入れています。
ヒジや手首を伸ばして構えてストロークする“メリット”
このスタイルのメリットは、良い意味で手元の動きが鈍感になること。ヒジや手首を伸ばして構えてストロークすると、支点の数が減ってより機械的に打つことができます。プレッシャーがかかる場面でもストロークが乱れにくくなる点は、機械的なスタイルのメリットといえるでしょう。
昔から“パットに型なし”といわれていますが、最近は以前にも増してパットのスタイルが多様化しています。例えば今平選手のようなクロスハンドは今や“スタンダードの握り方”といってもいいくらいです。
ツアープロのスイングをマネするのは難しいですが、パッティングはすぐに取り入れることができます。グリップの長さや太さ、握り方、ストロークなど、パターが苦手な人はツアープロのパッティングを参考にしてみるといいでしょう。
今平 周吾(いまひら・しゅうご)
1992年生まれ、埼玉県出身。2011年、19歳でプロ転向し、14年の下部ツアーで賞金王に。レギュラーツアー初勝利は17年の「関西オープン」。18年、19年は2年連続で賞金王に輝いた。24年は「日本オープン」で節目の通算10勝目を達成。シーズン連続優勝記録を7季に伸ばすとともに、地元・埼玉県狭山市で国内メジャーを初制覇した。ロピア所属。
石井 忍(いしい・しのぶ)
1974年生まれ、千葉県出身。日本大学ゴルフ部を経て1998年プロ転向。その後、コーチとして手腕を発揮し、多くの男女ツアープロを指導。「エースゴルフクラブ」を主宰し、アマチュアにもレッスンを行う。
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