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- ヘッドの入り方が一定になる “大小スイング”とは? メジャー初Vを手繰り寄せた桑木志帆の薄芝アプローチ
多くのツアープロのコーチとして活躍している石井忍氏が、“ここはスゴイ”と思った選手やプレーを独自の視点で分析します。今回注目したのは、国内女子ツアー最終戦「JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」で公式戦初勝利、今季3勝目を飾った桑木志帆(くわき・しほ)です。
桑木志帆のアプローチの振り幅に注目
国内女子ツアー最終戦「JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」は、桑木志帆選手が初日から首位を守る完全優勝で幕を閉じました。今シーズンは6月の「資生堂レディス」で初勝利を挙げると、8月の「ニトリレディス」で2勝目をマーク。そして、最終戦で公式戦初制覇を遂げました。今季3勝を挙げた桑木選手は、メルセデス・ランキング6位とキャリアハイの成績を残しています。
さて、桑木選手の最終日のプレーを見ていて思わず唸ったのが17番パー4の3打目でした。
セカンドショットをグリーン奥にこぼした後の10ヤード程度のアプローチ。寒い時期の芝は元気がなく、ペタッと寝ている状態です。苦手意識がある人は多いのではないでしょうか。夏場の生き生きとした芝とは違った難しさがありますよね。しかも、17番3打目のシチュエーションは逆目。難しい要素がもう一つプラスされていたんです。
薄芝、逆目のアプローチは、少しでもヘッドの入れ方を間違えるとチャックリやトップになる可能性があります。それにトーナメントリーダーだった彼女には、優勝争いのプレッシャーもあったはずです。
この難しい状況から、桑木選手はグリーンエッジにボールをキャリーさせて20センチにピタリ。見事に寄せてパーをセーブしました。2打のリードを守って最終ホールを迎えられたことを考えると、このアプローチが公式戦初優勝を大きく手繰り寄せた1打になったといえるでしょう。
私が注目したのは、このアプローチの“振り幅”です。10ヤード程度の短い距離でしたが、桑木選手は腰の高さまでクラブをしっかり上げ、小さいフォローを出す素振りを何度か繰り返していました。そして、そのイメージのまま3打目を打ったんです。
冬芝のアプローチが苦手な人がすべき素振りとは?
ボールへのコンタクトのミスが許されない状況では、バックスイングが小さくなりがちです。しかし振り幅を小さくすると、その分フォローが大きくなってヘッドをかち上げることになります。これではヘッドのコントロールが効かず、打点がブレてしまいます。
ヘッドの入り方を安定させるには、大きいバックスイングでクラブを上げ、クラブと腕の重さを利用しながらダウンスイングをするのが効果的。等速でクラブを振り下ろすことができ、入射角が乱れなくなります。
冬芝のアプローチが苦手な人は、桑木選手のように大きなバックスイングでストンとクラブを落とす素振りをしてから球を打ってみてください。ボール初速やミート率、出球の高さ、スピン量が安定してくるはずです。
桑木 志帆(くわき・しほ)
2003年生まれ、岡山県出身。21年6月実施のプロテストに合格してプロ入り。同年の新人戦「加賀電子カップ」で優勝。昨シーズンは多くの試合で優勝争いを演じ、未勝利ながらメルセデス・ランキング10位と躍進。今シーズンは「資生堂レディス」で涙の初勝利を挙げると、「ニトリレディス」も制覇。最終戦「リコーカップ」では公式戦初勝利を挙げて年間3勝をマークした。大和ハウス工業所属。
【解説】石井 忍(いしい・しのぶ)
1974年生まれ、千葉県出身。日本大学ゴルフ部を経て1998年プロ転向。その後、コーチとして手腕を発揮し、多くの男女ツアープロを指導。「エースゴルフクラブ」を主宰し、アマチュアにもレッスンを行う。
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