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- “上げる・転がす”はシャフトのトルクで打ち分ける!? 字ヅラは難しいが意外とシンプルなコツと習得ドリルとは?
多くのツアープロのコーチとして活躍している石井忍氏が、“ここはスゴイ”と思った選手やプレーを独自の視点で分析します。今回注目したのは、PGAツアー「ソニーオープンinハワイ」で優勝したニック・テーラーです。
通算5勝目を手にしたニック・テーラー
米国ハワイ州のワイアラエCCで「ソニーオープンinハワイ」が開催されました。日本勢は8選手が出場し、松山英樹選手が通算11アンダーの16位タイで日本勢最上位に入りました。
今シーズンは米下部のコーン・フェリーツアーを主戦場にする予定の平田憲聖選手は、2日目に「63」をマークして3位タイで決勝ラウンドに進むなど存在感を示しました。結果は通算10アンダーの21位タイでしたが、手応えをつかんだのではないでしょうか。

優勝したのはカナダ出身のニック・テーラー選手でした。通算16アンダーで並んだコロンビア出身のニコ・エチャバリア選手とのプレーオフを制し、ツアー通算5勝目を飾っています。
テーラー選手のプレーで特に印象深かったのは終盤のアプローチです。首位に2打差で迎えた最終ホール(パー5)は、2オン狙いのセカンドショットがグリーン奥にこぼれます。ここから約30ヤードのアプローチでチップインイーグルを奪い、プレーオフに持ち込みました。
また、プレーオフ2ホール目のサードショットも見事でした。ピンまで約60ヤードの状況でフェアウェイから打ったショットはピン横1メートルにピタリ。バーディーパットを沈めて勝利をつかみ取りました。
最終ホールとプレーオフ2ホール目の3打目はどちらも見事でしたが、打ち方が全く違ったのが興味深い点です。
前者は足を使う転がしのアプローチ。後者は球をフワっと浮かせてスピンをかけ、傾斜をうまく使ってピン横につけました。
テーラー選手はどのように打ち分けていたのか。ポイントは“シャフトのねじり方”です。転がしのアプローチではフェースが閉じる方向にテンションをかけながらインパクトし、上げるアプローチではフェースが開く方向にテンションをかけながら球をとらえています。
転がしと上げるアプローチ。一般ゴルファーが難しいと感じるのは上げるアプローチではないでしょうか。うまくいかない原因は、バックスイングでフェースを開きながらインに引いているから。このバックスイングではダウンスイングでフェースが閉じる方向にトルクがかかりやすくなり、やわらかい球を打つことができません。
片手アプローチ練習が効果的
バックスイングでは手元とヘッドの関係性を変えず、フェースの向きを変えずにクラブを上げることが大切。この形をキープして切り返すと、フェースは自然にオープン方向に作用し、球を上げるショットが打ちやすくなります。
「シャフトにトルクをかける方法が分からない」という人は、片手でアプローチをしてみるといいでしょう。左手1本で打つと、フェースは閉じる方向に作用しやすくなって低い球になります。一方、右手1本で打つと、フェースが開く方向にテンションがかかって上げる球が打ちやすくなります。
“シャフトのトルク”を意識すると、アプローチの精度がグンとアップします。春のゴルフシーズンに向けて、このフィーリングをマスターしてください。
ニック・テーラー
1988年生まれ、カナダ出身。2010年にプロ転向し、母国ツアーで腕を磨いた後、14年からPGAツアーに参戦。同年11月の「サンダーソンファームズ選手権」でPGAツアー初勝利を飾る。通算3勝目となった23年の「RBCカナディアンオープン」は、カナダ勢として69年ぶりにナショナルオープンを制した。24年は「WMフェニックスオープン」で通算4勝目をマークし、25年「ソニーオープンinハワイ」でツアー通算5勝目を達成した。
【解説】石井 忍(いしい・しのぶ)
1974年生まれ、千葉県出身。日本大学ゴルフ部を経て1998年プロ転向。その後、コーチとして手腕を発揮し、多くの男女ツアープロを指導。「エースゴルフクラブ」を主宰し、アマチュアにもレッスンを行う。
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