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1打に“70秒”… オーガスタ女子でスロープレー批判を浴びた21歳が抱える事情 「右手を失うかもしれなかった」
オーガスタナショナル女子アマでの1打約70秒のスロープレーがSNSで拡散し批判が殺到した。だが背景には右腕手術後の後遺症があった。規定40秒との乖離というルール問題と、事情を知らぬ一方的批判の是非が浮き彫りになった。
動画がSNSで出回るやいなや、猛スピードで拡散
毎年マスターズの前週に開催されている「オーガスタナショナル女子アマチュア選手権」は、世界各国からトップレベルの女子アマチュア選手が集結する大会として2019年に創設されて以来、ゴルファーの間では、すっかりおなじみになりつつある。
水曜日と木曜日の予選2日間はオーガスタナショナル近郊のチャンピオンズリトリートGCで、最終日の土曜日は決勝ラウンドがオーガスタナショナルで行われる。
決勝に進む選手も、予選落ちした選手も、誰もが金曜日はオーガスタナショナルを回ることができるところは、この大会ならではの選手への思いやりと言っていい。
初開催だった2019年は米国のジェニファー・カプチョが勝利を挙げ、コロナ禍だった20年大会は開催されなかったが、21年大会では日本の梶谷翼選手が優勝。その後は、米国出身、英国出身、スペイン出身のチャンピオンが誕生した。
そして今年は、コロンビア出身のマリア・ホセ・マリーンが勝利して、大会史上初の南米出身チャンピオンに輝いた。

そんな華々しい展開の陰で、予選ラウンドでは、1人の選手のスロープレーを巡る騒動が起こり、今なお、後味の悪いしこりのようなものが残ってしまっている。
米フロリダ州出身のベイリー・シューメーカーは、USC(南カリフォルニア大学)のゴルフ部に籍を置く21歳。これまでジュニアゴルフ界やアマチュアゴルフ界で数々の勝利を挙げてきた女子トップアマチュアで、オーガスタナショナル女子アマチュア選手権は、今年が5年連続、5度目の出場だった。24年大会では、優勝争いに絡んだ末、2位になった実績もある。
しかし、今年の大会で目にしたシューメーカー選手のプレーぶりは、昨年までとは、すっかり様変わりしていた。
ショットに入る際、構えてから実際に打つまでに、素振りともワッグルともつかない動作を5回、6回、7回と重ね、ようやくショットするという場面が何度も見られ、とにかく時間がかかっていた。
そして、打ちそうでなかなか打たないシューメーカー選手の「1ショット」を捉えた動画がSNSで出回るやいなや、猛スピードで拡散されて、批判の嵐が巻き起こった。
「とんでもないスロープレーだ」「こういう選手がいることで、大会の進行が損なわれる」「ペナルティーを課すべきだ」等々、彼女に向けられた声は辛辣だった。批判が批判を呼び、この動画の再生回数は、あっという間の200万ビュー超えとなり、どんどんエスカレートしていった。
「右手があってゴルフもできることは、それだけですごく幸運」
批判の声は、シューメーカー選手の目にも耳にも入り、彼女の心に鋭く突き刺さり、心を揺さぶられた彼女は73・73で予選落ちという結果になった。
その直後。シューメーカー選手は、数人の米メディアの前で、彼女の「1ショット」が長い時間を要するようになった背景を自ら説明した。
昨年10月に右腕を痛め、激しい痛みを感じた彼女は「神経を含めた手術を受け、その後7カ月間、右腕や右手の感覚がない状態が続いた。その後も思った通りに動かせない日々が続いた」そうだ。
必死のリハビリを経て、感覚が徐々に戻り、動かすこともできるようになっていったが、バックスイングのトップで指がクラブから離れてしまう現象が起こり、そうなっては握り直したり、握り返したりを行ってきた。
その結果、ショットに臨む際はクラブを上げては元に戻す動きを繰り返す形になり、はたから見れば、素振りともワッグルともつかない動作を何度も何度も行っているように見えるのだと彼女は説明した。
「症状や程度は日によって異なる。昨日は酷かったけど、今日はそれほどでもなかった。ラウンド中、この症状がいつどうなるのかは私にも分からないけど、世間の人々は私が日頃どれほど必死にリハビリに取り組んでいるかを知らない。毎日早朝から5時間以上もリハビリして、それからようやくゴルフの練習ができる。なかなかショットできないこの症状の裏側に、どんな理由や事情があるのかを、みんな知らないし、分からない」
悲痛な表情でそう主張したシューメーカー選手だが、最後には前向きにこう言ったそうだ。
「一時は右手を失うかもしれなかった。今、ちゃんと右手があって、体を動かすことができて、ゴルフもできていることは、それだけで、すごく幸運です。だから私は、この出来事をモチベーションに変えて、今まで以上に頑張ります。私は父から『強くあれ』と教えられながら育ちました」
一方的に巻き起こった批判の嵐に一度は心を傷つけられたシューメーカー選手が、それでもめげずに前向きに強く生きていくと言い切ってくれたことは何よりだったが、ゴルフ界には検討すべき課題が残されたと言っていい。
問題はシューメーカー選手の「1ショット」の所要時間が70秒前後だったこと。USGAが定めているペース・オブ・プレーの規則においては、1ショットの所要時間は原則として40秒とされている。このルールに照らせば、彼女の1ショットは、規定をはるかに超えたスロープレーということになる。
手術後の後遺症でスムーズにショットすることができなくなっているという事情は、彼女自身の説明によって明らかになった。だが、だからと言って規定の40秒を大幅に上回る70秒を「仕方がないよ。いいよ、いいよ」と認めてしまったら、同組の他選手にも、後続の選手たちにも、スローペースを強いることになり、ひいては試合全体の進行を遅らせてしまうことになりかねない。
シューメーカー選手の事情を気の毒に思い、ショットに時間を要することは「仕方ないよ」と思うこと、「それでも頑張ってね」と願うことと、試合全体のプレーペースを迅速・良好に保つことは、どちらもそれぞれうなずけるからこそ、ゴルフ界として、大会主催者として、今後の取るべき対応を検討し、明確にする必要がある。
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