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- 震災から10年「アスファルトがトランポリンのように揺れた」 大里桃子が抱く“単なる地元大会以上”の意味
地元大会「KKT杯バンテリンレディス」に出場する大里桃子(おおさと・ももこ)が震災当時を振り返り、大会への思いを語った。
震災当時は高校生…“消えた”地元での試合
2016年4月、当時、熊本国府高校に通う大里桃子は、大きな期待の中にいた。ジュニア選考会を勝ち抜き、地元で開催される「KKT杯バンテリンレディス」(熊本空港カントリークラブ)への出場権を手に入れていたからだ。しかし、開幕前日の14日、前震が大里を襲った。
「寝る直前でした。当時は光の森のあたり(熊本県菊陽町)に住んでいたのですが、突然すぎて状況が把握できない感じ。家の中はぐちゃぐちゃになりました。その後、ゴルフ場へ足を運んだのかどうかの記憶もおぼろげで、楽しみにしていた試合がなくなったのはショックでした。ただ、それよりもこれからどうなるんだという不安が大きかった」

ゴルフ場のグリーンが割れているなどの情報が入り、大会は中止に。試合をサポートしてくれる予定だったメーカー担当者らを空港まで見送ったあとの16日、本震を経験した。当時住んでいたマンションの5階で感じた揺れは凄まじく、今でも目に焼き付いている光景があるという。
「広い駐車場で車中泊をしていたとき、アスファルトの上なのに、地面がトランポリンみたいに揺れるんです。あの感覚は今でも覚えていますね」
震災後、実家のある南関町へ避難。約1週間はゴルフから離れた。練習を再開しても「先が見えない雰囲気」が漂い、小さな余震にさえ恐怖を覚える日々。そんな苦難を乗り越えてプロとなった大里にとって、この大会は単なる地元戦以上の意味を持っている。
昨年の惜敗を糧に 「勝ちたい思いは強くなった」
あれから10年。大里は今やツアーを代表する選手の一人となった。昨年の同大会では、通算9アンダーで首位に肉薄したものの、佐久間朱莉に2打及ばず2位。地元の期待を背負っての惜敗だった。
「去年のこともありますし、余計に(勝ちたいという)思いは強くなりました」と本音を漏らす。しかし、プロとして経験を積んだ現在は、その熱意を冷静にコントロールする術も身につけている。
「それだけ思っていても結果につながるとは限らない。地道に今やるべきことをやるしかない」と、浮足立つことはない。
節目の年に用意された初日のペアリングは、昨季の年間女王・佐久間朱莉、今季メルセデス・ランキング2位につける菅楓華と同組。多くのギャラリーが詰めかけることが予想される注目組だ。
「いい組に入れてもらいました。2人はいいプレーをしてくると思うので、その雰囲気をうまく吸収し、学びながらゴルフができたら」
震災から10年がたち、熊本の街は復興が進んだ。それでも「新阿蘇大橋」を通るたびに当時の傷跡を見て「やっぱりいまもゾッとしますよね。ちょっとしたトラウマみたいなのはやっぱり少し残ってるし、10年経っても忘れられるものではないです」と語る。
一生忘れられない記憶があるからこそ、ゴルフを通じて届けたいメッセージがある。
「私は最後まで諦めずにやるのを徹底しています。結果で勇気づけられたら最高ですが、結果が出なくても、自分の姿勢でみなさんに勇気を届けられたら」
10年前、あの日失われたはずの「熊本での初舞台」。成長した大里桃子が、感謝と覚悟を込めてティーに立つ。(熊本県菊陽町/キム・ミョンウ)
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