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- 樋口久子やソレンスタム級の勝負強さ!? 菅沼菜々の4勝目が示す驚異的データ
首位で最終日を迎えた試合は4戦4勝。菅沼菜々が「NTTドコモビジネスレディス」を制し、その勝負強さが改めて際立った。歴代でも限られた選手しか到達していない驚異の記録に迫った。
首位で最終日を迎えた試合は4戦全勝
菅沼菜々が持ち前の勝負強さを発揮して通算4勝目を飾った。2打差首位で迎えた「NTTドコモビジネスレディス」最終日に66をマークしての5打差快勝だった。菅沼は首位(タイを含む)で最終日を迎えた試合は4戦全勝。これは歴史に残るレベルの記録である。
菅沼が初めて首位で最終日に入ったのは2023年の「NEC軽井沢72ゴルフトーナメント」。3打差首位から69で回ったが神谷そらに追いつかれてプレーオフへ。2ホール目でバーディーを奪って初優勝を手にしている。
2回目は同じ2023年の「NOBUTA GROUP マスターズGCレディース」。首位タイから70をマークして3打差で2勝目を挙げた。
3回目は記憶に新しい昨年の「パナソニックオープンレディース」だ。「NTTドコモビジネスレディス」の前身大会で会場は今回と同じ浜野GCである。初めて首位で最終日を迎える仲村果乃と通算7アンダーで並んだ状況から中盤のバーディーラッシュで抜け出して主導権を握る。最後は7位タイから猛追してきた大里桃子に1打差に詰め寄られるが18番でピンチをしのいでパーセーブ。前年、メルセデス・ランキング79位に沈んだ不振からの復活優勝をつかんでいる。

そして今回、またしても首位から勝って通算4勝目。首位または首位タイで最終日に入った場合は4戦4勝で、優勝はすべて逃げ切りだ。
逃げ切って勝つのはそう簡単ではない。国内女子ツアーで、今回の菅沼のように2打差首位だった選手の勝率は「NTTドコモビジネスレディス」前までで49.6%。半数強の選手が苦杯を喫していたわけだ。1打差首位の場合は勝率34.6%。ほぼ3人に1人しか勝てていない。
だから、一度も負けることなく逃げ切り優勝を続けるのは非常に難しい。女子プロトーナメントが始まって今年で60年目になるが、初めて首位(タイを含む)で最終日を迎えてから4戦連続で優勝につなげたのは菅沼でわずか5人目というレアケースだ。
パーオン率は57位→1位へと急上昇
菅沼以外の4人は樋口久子、黄璧洵(台湾)、アニカ・ソレンスタム(スウェーデン)、稲見萌寧という顔ぶれである。
初期の女子プロゴルフ界で絶対的女王に君臨していた樋口は初優勝を逃げ切りで飾って以降、最終日首位から16回連続で勝つというとんでもない記録をつくっている。
世界最強だったソレンスタムは日本でも無類の強さを見せつけ、2001年からの4年間で日米共催の「ミズノクラシック」で4回、「ニチレイカップワールドレディス」で1回の計5回、首位で最終日を迎えてすべて勝っている。
樋口とソレンスタムの2人は別格といっていいだろう。
黄は若いゴルフファンにはあまりなじみがないかもしれないが日本で13勝を挙げた実力者だ。4戦全勝のあと、5回目では敗れている。
稲見は菅沼と同学年。2020-21年シーズンの賞金女王である。稲見は初めての首位で最終日から4連勝を飾った後、2021年「サントリーレディス」で4打差首位から逆転負けを喫して連勝が止まった。
では、他の実力者たちはどうか。最近の選手では山下美夢有や西郷真央、岩井明愛、佐久間朱莉は初の首位で最終日から3連敗後に4回目の挑戦でようやく優勝と苦しんだ。竹田麗央も最初の4回は1勝3敗でしかなかった。結果を残している選手たちにとっても首位から勝つのはそれくらい難しいのだ。
菅沼は同世代の実力者たちに比べると優勝争いをする機会自体が少なかったが、その少ないチャンスを確実にモノにしている勝負強さは見事なものである。
今年の菅沼のデータを見ると、あらゆる面でレベルアップしていることが分かる。ドライビングディスタンスは昨年の34位から14位へと上昇し、昨年57位だったパーオン率は現在堂々の1位である。
成長したのはショットだけではない。パーオンできなかったホールでパーセーブ(チップインバーディーを含む)する確率を示すリカバリー率は昨年の80位から2位へと急浮上。小技も格段にレベルアップし、平均ストロークは64位から5位にまで上がっている。これは年間女王争いに加わってもおかしくないレベル。今回の優勝も単に「うまくいった」だけではなく、実力の底上げに裏打ちされたものであることが分かるデータだ。
文・宮井善一(みやい・ぜんいち)
1965年和歌山県生まれ。スポーツニッポン新聞社ゴルフ担当記者を経て2004年にフリーのゴルフライターに。ゴルフ雑誌などへの執筆のほか日本プロゴルフ殿堂オフィシャルライターとして活動し、現在は日本ゴルフ協会のゴルフ学芸員として日本ゴルフ殿堂、JGAゴルフミュージアムなどに携わっている。元世界ゴルフ殿堂選考委員。
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