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- 吉田鈴はなぜバーディーでも笑わないのか 初優勝でも貫いた“感情を見せない流儀”
国内女子ツアー「ヨネックスレディス」で初優勝を飾った吉田鈴(よしだ・りん)。歓喜の瞬間まで笑顔を見せなかった22歳は、なぜ感情を表に出さないのか。その裏には独自の勝負哲学があった。
「普通の顔をしている方が相手は気持ち悪いと思うから」
◆国内女子プロゴルフ
ヨネックスレディスゴルフトーナメント 6月5~7日 ヨネックスCC(新潟県) 6483ヤード・パー72
プロ2年目の吉田鈴が、国内女子ツアー「ヨネックスレディス」で悲願のツアー初優勝を果たした。
最終日を単独首位で迎え、3バーディー、2ボギーの「71」。通算8アンダーで後続を振り切った。しかし、その勝利の過程で印象的だったのはスコアだけではない。バーディーを奪っても大きなリアクションを見せず、優勝争いの真っただ中でも表情はほとんど変わらなかった。
そして18番パー5。約1メートルのバーディーパットを沈めて優勝を決めた瞬間、ようやく笑顔がこぼれた。
ラウンド後、その理由を問われた吉田は独特の勝負観を明かした。

「プレー中、皆さん言う通り笑顔がないみたいなことを言われますけど、アスリートとして私はあまり一喜一憂したくない」
さらに、そのスタイルには相手への心理的な駆け引きも含まれているという。
「バーディーを決めても普通の顔をしている方が、相手としては気持ち悪いと思うから。ガッツポーズとか笑顔になると『あ、うれしいんだ』って分かっちゃう。だから、それをあえて隠してプレーするのが私のスタイルだと思っています」
ギャラリーへのアピールや感情表現を大切にする選手もいる中で、「それぞれのプレースタイルだと思うので」と話す吉田。そのクールな姿勢は最近身につけたものではなく、「どっちかというと昔からですね」と振り返った。
首位を追われても「気持ちがざわざわすることはなかった」
優勝争いの中でも、その冷静さは際立っていた。
前半を終えた時点で後続との差は縮まり、優勝争いは混戦模様となった。それでも吉田は周囲のスコアに振り回されなかった。
「自分が(スコアを)落としていなかったので、周りがどうというより、自分が良いプレーさえすれば大丈夫だと思っていました」
「気持ちがざわざわしたというのも全然なかったです」
17番でボギーを喫した際には首位に並ばれたと思ったという。それでも「相手のおこぼれ待ちみたいなことはなかった」と話し、自らバーディーを奪いにいく姿勢を崩さなかった。
最終18番では2オンも可能な距離が残ったが、無理をせず刻む選択をした。冷静なマネジメントでバーディーチャンスにつけ、そのまま優勝を決定づけた。
初優勝でも涙なし その視線はすでに次のステージへ
歓喜の瞬間を迎えても、吉田は意外なほど冷静だった。
「思ったより冷静だったなと思っていて。本当にもっといろんなことが込み上げてくるのかなと思ったんですけど、そんなことはなかった」
プロテスト合格まで4度の挑戦を要した苦労人だけに、涙の優勝を想像していたという。しかし実際には、「初優勝じゃなくて、もっと勝ちたいという思いもあって、そういうふうになっているんじゃないかな」と語った。
周囲にはクールな選手として映るかもしれない。しかし、その内側には誰よりも高い向上心がある。
勝利の瞬間に見せた笑顔はほんの一瞬。22歳の新ヒロインは、初優勝の余韻に浸ることなく、すでに次の勝利を見据えている。
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