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- 史上5人目のアマチュア優勝! でも「中島啓太プロ」の誕生は当分先になる理由【パナソニックオープン最終日情報】
パナソニックオープン最終日、日体大3年の中島啓太が68で回り、通算18アンダーでホールアウト。永野竜太郎とのプレーオフに持ち込むと、1ホール目で永野がボギー、中島パーセーブ。ツアー史上5人目のアマチュア優勝を飾った。
間違っていると思ってもドライバーを持ち続けた
永野竜太郎とのプレーオフを制した後、日体大の先輩である河本力やプロ数人からウォーターシャワーを浴びた中島啓太。ビショビショになった頭や顔を大きなタオルで拭いていたが、タオルを濡らしたのは水だけではなかった。何度顔を拭いても優勝の喜びで両目から涙があふれ出た。テレビのインタビューを受けているときも、表彰式に列席していたときも涙は止まらない。ラウンド中は喜怒哀楽を表に出さないクールなプレースタイルを貫き通したが、本来は涙もろい性格だという。

「嬉し涙を流したのは18年のアジア競技大会で金メダルを獲って以来です。それ以降はずっと悔し涙ばかりでした」と中島。今年の東建ホームメイトカップでは尊敬する金谷拓実と優勝を争ったが、1打及ばず敗れ、ホールアウト後はすぐに泣いてしまったという。
世界アマチュアランキング1位だからこそ、その肩にかかる期待も大きく、期待に応えられなかったときに味わう悔しさも大きくなる。
今年の全米アマがまさにそうだった。優勝を期待されながら、初日に80を叩いたことで予選敗退となった。心が折れ、金谷に相談したところ、自分と向き合うことだというアドバイスを受けた。
自分のゴルフには何が足りないのか、それを埋めるためにはどうしたらいいのかと自問自答し、ナショナルチームのガレス・ジョーンズコーチとも相談した。
その答えの一つが、今大会でティーショットを刻まずにドライバーで1日14回打つこと、そして毎日トレーニングをすることだった。3日目までどちらも達成していたが、最終日はさすがにドライバーを持つことに戸惑ったという。
「今日は強風が吹いていたし、ドライバーを持つのは間違っているとは思っていました。特に15、16番はどちらも狭いので刻みたくなりましたが、仮に刻んでバーディを獲っても嬉しくないと思い、ドライバーで打ちました」と中島。
結果はどちらもフェアウェイをしっかりとらえ、15番はバーディにつなげ、16番でもパーオンに成功した。「優勝争いの緊張感がある中でドライバーを振り抜けたことは自身になります」と笑顔を見せた。
将来は世界中から応援されるゴルファーになりたい
結果的に最後まで自分の意志を貫き通したことが通算18アンダーという好スコアにつながったのは間違いない。永野とのプレーオフにもつれ込んでも、自分のスタイルを崩すことはなかった。

永野のプレーよりも「金谷さんだったら絶対に入れるんだろうな」と、バーディパットを入れることだけに集中した。結果的に、バーディパットを外したが、永野もパーパットを外したため、約60センチのパットがウイニングパットとなった。
さすがに、このパットを打つときだけは心臓の音が聞こえるぐらい緊張していたという。
史上5人目となるアマチュアのツアー初優勝を飾った中島。倉本昌弘に始まり、石川遼、松山英樹、金谷と錚々(そうそう)たるメンバーだ。日体大の学生では初となるが、気になるのはツアープロに転向する時期だろう。
決めるまでに2年間の猶予はあるが、「今すぐにプロ転向するつもりは全くありません。来年11月にある大学の試合が終わるまではアマチュアでいたいなと思います」と、中島プロ誕生は当分先のようだ。
もっとも、今年11月のアジアパシフィックアマに優勝し、来年のマスターズ出場権を獲得することを目標として、ドライバーを握り続けてきたわけだから、当然の選択だといえる。
もちろん、ツアープロになることは昔からの目標であり、将来的には「世界中から応援されながらゴルフをしたいです」と、PGAツアーを舞台に大歓声を浴びるような選手になるのが夢でもある。
それが全英オープンだったら最高だというが、その日がくるためにも、自分を高める努力を今後も続けていく。
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