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- 史上5人目のアマチュア優勝!新プリンス誕生か 中島啓太の素顔とこれから
2年ぶりに開催されたパナソニックオープンで、史上5人目となるアマチュア優勝を果たした中島啓太。彼は、どのようなステップでレギュラーツアー優勝にたどり着いたのだろか。
周到な『準備』が勝利の美酒を呼び込んだ
パナソニックオープンは、日体大3年の中島啓太が、永野竜太郎とのプレーオフを1ホール目で制してツアー初優勝。アマチュアでのツアー優勝は、倉本昌弘、石川遼、松山英樹、金谷拓実に続く史上5人目となる。

プレー中は落ち着いて見えた中島だが、祝福のウォーターシャワーに濡れた体をタオルで拭くうちにまぶたを赤く染めた。あふれる涙は、優勝インタビューでも止まらない。
「本当にたくさんの人に応援していただいた。それに応えられてうれしい」と、21歳の初々しさをのぞかせた。
「試合の結果は準備次第」と言うのが、中島の考え方だ。当たり前と言ってしまえばそれまでだが、ゴルフの技術を磨くだけでなく、肉体的にも精神的にも“その時”に備え続ける。
決してゴルフ漬けになるのではなく、ストレスをためないように自分の時間をしっかりと持ちながらする“準備”。大学が休校になったり、試合が失われたり、思うように練習できない期間もあったコロナ禍でもこれを貫いた。
その結果が、2年ぶりに開催された6月の日本アマ優勝だ。だが、満を持して臨んだ8月の全米アマでは、初日に『80』を叩き、マッチプレーにも進めなかった。その悔しさが、その後の“準備”のエネルギーになったのはまちがいない。
ナショナルチームのヘッドコーチ、ガレス・ジョーンズ氏から、コロナ禍の最初のころに「いい準備期間を過ごしていこう」と言われてもいた。
中島の日常は、すべてが“準備”の時間。食事も含めたコンディショニングからトレーニング、練習に費やされる時間は多い。だが、それだけではなく、しっかりと人間らしい時を過ごすことも心掛けている。
「友達とキャッチボールをしたり、サッカーをしたり、走ったり」。まるで小学生のような楽しい時間。これが大切だ。ストレスを排除する大切な精神的“準備”の時間。必要なことはわかっていても、意識してこれを行えるトップアスリートは決して多くない。長い目で人生を考えているからできるのかもしれない。
金谷拓実の存在がアマチュア優勝の原動力
プロの試合でも優勝を狙うことを意識し始めたのは、2019年に三井住友VISA太平洋マスターズで金谷がアマチュアで優勝したのを目のあたりにしてから。

ナショナルチームの先輩で、高い志を持つ姿勢を見せてくれた金谷の快挙に、意識が大きく変わった。予選通過だけで安心していた頃と違い、決勝ラウンドに入っても頂点を狙う。それがあったからこそ、プレーオフまで集中し、勝ち切ることができたのだろう。
ウイニングパットは「心臓の音が聞こえるくらい緊張していたんですけど、自分がやってきたことを信じて打ったパーパットだったと思います」と、振り返った。
優勝により、2023年度までのツアー出場権を獲得。その間なら、いつでもツアーメンバーになることができる。しかし、中島はすぐにプロに転向する気持ちはないと言い切っている。次の目標は11月のアジアパシフィックアマチュア選手権(3~6日、UAEドバイクリークゴルフ&ヨットC)。優勝すればマスターズ出場権が得られる大事な一戦だ。
すでに世界アマチュアランキング1位の資格で来年の全米オープンと全英オープンの出場権は得ている。大会前にプロに転向してしまうと無効になるが、アマチュアとして臨む可能性は極めて高い。
「(いつプロになるかは)とにかく準備次第。その期間はもっと欲しい」と口にしていたのは今年1月のこと。アマチュアでしかできない経験、学生としてしかできない経験を積むことが、人生において大きな財産になるのはまちがいない。
束縛を嫌い、自由を好む中島が、どんな風に“準備”を整え、世界に羽ばたいていくのか。1つ1つのステップも含めてこれからがさらに楽しみだ。
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