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ツアー記録“60”山下美夢有のパットで感じる“入る雰囲気”には理由があった!
多くのツアープロのコーチとして活躍している石井忍氏が、“ここはスゴイ”と思った選手やプレーを独自の視点で分析します。今回注目したのは、「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」で優勝した山下美夢有です。
ルーティンには3つの役割がある
9月23日から25日にかけて、利府ゴルフ倶楽部(宮城県)で「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」が開催されました。優勝したのは、初日にツアー新記録の60をマークした山下美夢有選手です。この貯金を生かし、大会レコードの通算18アンダーでフィニッシュ。2位に5打差をつける完全優勝で今季3勝目、ツアー通算4勝目を達成しました。

山下選手の今大会のプレーで印象的だったのがパッティングでした。ライン読みからアドレス、始動までの一連のルーティンを見ていると、「入れてきそうだな」と思わせる雰囲気が漂っていたんです。実際、微妙な距離や難しいラインのパッティングを何度も決めていました。
みなさんも、同伴競技者のパッティングを見ていて、“入りそうな雰囲気”というものを感じたことがあると思います。この“入りそうな雰囲気”は、どうすれば作り出すことができるのでしょうか。
私は、ルーティンには3つの役割があると考えています。1つ目は、毎回同じ仕草をしてアドレスに入ることで、体や心をリラックスさせること。2つ目は、動きの意識付け。例えば、悪いクセがあるなら、そのクセが出ないように確認する作業です。3つ目は、イメージを出すこと。どんなに完璧なアドレス、ストロークでも、ラインとタッチが合っていなければ、カップインさせることはできません。そのために、イメージを作ることが大切なのです。
山下選手は、この3つの要素を一定の時間内に入れ込み、スムーズに行っています。それが “入りそうな雰囲気”につながっているのだと思います。
具体的に彼女のパッティング・ルーティンを見ていきましょう。山下選手はボールの後ろに立ち、カップと正対して素振りを行います。この時、ボール側からカップに向かって視線を移していくのも特徴的です。正対素振りは、ラインを読みながら距離感をイメージすることができ、ボール側からカップに向かって視線を動かしていくことで、ボールが転がるスピードをイメージしやすくなります。
右手素振りで不安定なストロークを抑制
続いて、右手だけで軽く素振りを行った後、アドレスポジションに歩き出します。片手素振りは、両手素振りに比べてヘッドの動きが不安定になるため、胸や背中、みぞおちなど、大きなパーツにフォーカスして体を動かす必要があります。つまり、右手素振りをすることで、手先だけの不安定なストロークを抑制することができるわけです。
スタンスを決めた後は、ターゲットをチラッと確認して、時間をかけずにストロークを開始するというのが山下選手のパッティング・ルーティンです。
このルーティンがすべてのプレーヤーに適しているとはいいませんが、パッティングに悩んでいる人は、山下選手の仕草を真似てみたり、他の選手のルーティンを参考にしてみてはいかがでしょうか。良いと思った仕草を取り入れ、自分なりのルーティンを作ってください。“入る雰囲気”を醸し出せば、結果は自ずとついてくるはずです。
山下 美夢有(やました・みゆう)
2001年生まれ、大阪府出身。2019年のプロテストに合格。昨年の「KKT杯バンテリンレディスオープン」でツアー初勝利。今シーズンは、「ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ』で通算12アンダーをマークし、公式戦初勝利を完全優勝で達成。「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」では初日にツアー新記録の60をマークし、ツアー通算4勝を達成。加賀電子所属。
石井 忍(いしい・しのぶ)
1974年生まれ、千葉県出身。日本大学ゴルフ部を経て1998年プロ転向。その後、コーチとして手腕を発揮し、多くの男女ツアープロを指導。「エースゴルフクラブ」を主宰し、アマチュアにもレッスンを行う。
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