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- 渋野日向子“スランプ脱出”を予感させるポイントとは? 月末に国内参戦“しぶこ”のココに注目!
多くのツアープロのコーチとして活躍している石井忍氏が、“ここはスゴイ”と思った選手やプレーを独自の視点で分析します。渋野日向子が今月末の国内ツアーに参戦。スランプを抜け出しつつある“しぶこ”のココに注目!
8月以来のトップ10入りの渋野は「振り切れていた」
10月6日から9日まで米女子ツアー「LPGAメディヒール選手権」(カリフォルニア州・サティコイGC)が開催されました。今大会は日本勢が4人出場し、全員が予選通過を果たしました。
首位と6打差の6位タイで最終日をスタートした笹生優花選手は、1イーグル、6バーディー、2ボギーの66をマークし、通算14アンダー。優勝したジョディ・シャドフ選手と1打差の2位で大会を終えました。
笹生選手と同組でプレーした渋野選手は、5打差の3位からスタートし、2バーディー、1ボギーの71。通算10アンダーの8位タイで、8月の「AIG(全英)女子オープン」3位以来のトップ10フィニッシュでした。そして、上原彩子選手は通算4アンダーの32位タイ、古江彩佳選手は通算2アンダーの52位タイに入っています。
さて、そんな今大会で注目したのは、渋野選手です。9月は5試合に出場して予選突破が1回のみと調子を落としていましたが、この大会では「気持ちよく振り切れていた」という印象を受けました。
彼女のようなコンパクトなスイングは、早い段階でプレーンに乗っていないと曲がりが大きくなってしまいます。調子が悪い時の渋野選手は、切り返しで軸が右に倒れ、クラブが後ろから入りすぎて左に引っかけることがありましたが、この試合ではややインサイドからクラブを下ろし、低いドローボールでフェアウェイをとらえていました。
また、最終日最終ホールのマネジメントも印象的でした。18番は530ヤードのパー5。ティーショットでフェアウェイをキープした渋野選手は、右サイドにピンが切られたグリーンに対し、2打目をグリーン左サイドのラフに運びます。そして、3打目をピンそばに寄せ、バーディーを奪取しました。
グリーンの傾斜やグリーン周りの状況などによって最適なマネジメントは異なりますが、ピンのニアサイドからのアプローチは難しくなるため、ピンと逆サイドから寄せるのがセオリー。同組の笹生選手も渋野選手と同じルートでバーディーを奪ったことを考えると、渋野選手はこのホールを予定通りのマネジメントでプレーしたと考えられます。
左手を左太ももに添えてから構えるルーティンに変化
そして、もう一つ、渋野選手がルーティンを変えていたのも興味深かったです。夏頃までは、アドレス前に左腕をダランと垂らしてからグリップしていましたが、今大会では、左手を左太ももに添えてから構えるスタイルに変更していました。渋野選手は、しばしばルーティンを変える印象がありますが、それも常に進化を求める彼女らしさといえるかもしれません。
そんな渋野選手が5か月ぶりに国内ツアーに出場することが発表されました。今月28日から開催される「樋口久子 三菱電機レディス」にディングチャンピオンとして出場します。「大会連覇なるか!」も見どころですが、彼女のスイングやマネジメント、ルーティンにも注目してみたいと思います。
渋野 日向子(しぶの・ひなこ)
1998年生まれ、岡山県出身。2019年のAIG全英女子オープンでメジャー初制覇。同年は国内ツアーでも4勝をマークし、賞金ランキング2位と躍進した。2020-21シーズンは、スタンレーレディスゴルフトーナメントと樋口久子 三菱電機レディスゴルフトーナメントで勝利。今季は米ツアーを主戦場に戦っている。国内ツアー通算6勝。サントリー所属。
【解説】石井 忍(いしい・しのぶ)
1974年生まれ、千葉県出身。日本大学ゴルフ部を経て1998年プロ転向。その後、コーチとして手腕を発揮し、多くの男女ツアープロを指導。「エースゴルフクラブ」を主宰し、アマチュアにもレッスンを行う。
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