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男子ツアー復活の起爆剤か“禁断の果実”か? 三井住友VISA太平洋マスターズの入場無料に賛否
石川遼が約3年ぶりの優勝を遂げた三井住友VISA太平洋マスターズは入場無料で行われました。その甲斐あって多くのギャラリーが詰めかけましたが、これに対して賛否両論が巻き起こっています。
石川遼の優勝コメントを関係者はどう受けとめたか

一昨年は無観客、昨年は3分の1。その差を実感していたのは選手たちです。選手会の副会長でファンプロジェクト担当委員を兼務する中西直人も、JGTOのオフィシャルサイトで「僕らプロゴルファーは試合がなければただの人。ギャラリーさんがいなければやってても楽しめないし、喜んでいただけることが僕らプロゴルファーの喜びですね」と語っていました。
この大会はもともと、地元の小学生たちをトーナメントのバックヤードに招いたり、プレスルームで模擬記者会見を開いたりと、地域に根差したトーナメントづくりをいくつも行ってきています。
開幕前の火曜日には子供たちがプロの練習ラウンドに同行する「プロのすご技体感 夢すくすく特別席」を開催。谷原秀人、中西直人、河本力、中島啓太の4選手が、御殿場市立印野小学校の3、4年生30人をフェアウェイに招き入れ、豪打を目の前で披露。このほか、スナッグゴルフ大会やギャラリープラザで子どもたち向けの縁日が開かれてもいます。
こんな光景に目を細めていた大会関係者も少なくありません。例えば太平洋クラブの経営企画部・西島太一担当部長は少年時代にこの大会を観戦し、ゴルフの魅力を実体験した一人です。
「1980年代の後半だったと思います。大船(神奈川県)に住んでいた私は、父に連れられて、この大会を観戦に来たんです。選手のプレーに感動しましたね。富士山がきれいだったはずなんですが、ギャラリーがものすごくたくさんいて、人の多さにまず感動して(笑い)、外国人のすごい選手がたくさんいたというプレーの記憶ばかりです。その時、出場していたウエイン・レビ選手から、4番を終わって5番に行く橋のところで自分の持ってきた帽子にサインしてもらいました。今でも思い出すんですから、いつまで経っても忘れられない体験なんです。ゴルフ場に実際来ると、迫力も違うし、テレビで見られない感動があります。それを味わってもらいたくて、ティーイングエリアの一角にジュニアシートを設けたりしているわけです」
米ツアー16勝の実力者であるレビ。西島少年が受けた感動は、30年以上経過してトーナメントを運営するスタッフの一員として働くようになった今も色あせていないことが、その言葉からも伝わってきました。
その西島さんが、優勝した石川遼選手の談話を聞いての率直な感想を語ってくれました。
「石川選手が優勝会見で『若手も育ってきて(無料で来たお客さんが)お金を払ってでも観に行きたいと思ってもらえるようなレベルになってきた』というようなコメントをしていたのは印象に残りました。これは裏を返すと、有料でも観たくなると思わせるようなプレーを続けなければ、ツアー選手会もこの先の将来の展望はない、という啓蒙のようにも聞こえました。石川プロはこの多くのギャラリーを前にして、ツアーのあり方を見据えて、冷静に考えていたんだと思います、たまたま今回は無料だから、と来た人に、有料コンテンツになってもまた来たいと思ってもらえるのか。自分たちのプレーでどれだけ人を惹きつけられるのか、ということを言っているんだと思います」
とりあえず、無料で観た方の中には、ゴルフ場の美しさとか、開放感、非日常の世界に感動を覚え、ゴルフを始めてくれる人がいるかもしれません。無料開催を行った理由はここにあったと言えるのでしょう。
日本におけるゴルフトーナメントの生みの親ともいえる大西久光さんは、無料の大会と聞いて、日本シリーズの第1回(1963年)を思い出したといいます。
「第1回の時に入場料を取ろうとしたら『有料なんかにしたらお客が来ないから、無料にしろ』と言われました。するとお客がまったく入らなかった。それで2年目から有料にして、宣伝もしたので一気にお客様が詰めかけたんです。有料のほうがお客さんが入るという現象が起きたんですね。ただ、今回の入場無料というアイデアも、知らない人に開放的なゴルフ場の雰囲気を体験してもらう価値はあると思いますよ」と話していました。
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