根拠のないプラス思考はミスの元! プレッシャーがかかる場面で考えるべきことは?

多くのツアープロのコーチとして活躍している石井忍氏が、“ここはスゴイ”と思った選手やプレーを独自の視点で分析します。今回注目したのは、「マイナビネクストヒロインゴルフツアー ファイナル」で優勝した鍋島海良です。

熊本出身の“飛ばし屋”鍋島海良

 11月17、18日の2日間、マイナビネクストヒロインゴルフツアーの最終戦「マイナビネクストヒロインゴルフツアー ファイナル」が開催されました。このツアーは、若手女子ゴルファーたちが経験を積むための場として、2019年にスタート。今年は、第8戦が台風で中止になりましたが、11試合が行われました。

「マイナビネクストヒロインゴルフツアー ファイナル」で優勝した鍋島海良 写真:石井忍氏提供
「マイナビネクストヒロインゴルフツアー ファイナル」で優勝した鍋島海良 写真:石井忍氏提供

 最終戦は、賞金総額1000万円、優勝賞金500万円という規模で開催。年間ポイントランキング30位までと、ワイルドカード(敗者復活戦)で勝ち上がった2人を加えた32名が出場しました。

 優勝したのは、19年の同大会で3位、21年の同大会で2位に入っている鍋島海良選手です。初日の後半ハーフで29の自己ハーフベストを叩き出し、2位に2打差の5アンダーで最終日を迎えた鍋島選手は、4バーディー、ノーボギーでトータル9アンダー。2位に4打差をつける完全勝利を達成しました。

 鍋島選手は、足踏みをしながら体を左右に動かし、体重移動と蹴り上げを使ってスイングする飛ばし屋です。ドライバーの飛距離は250ヤードを越え、今大会では打ち下ろしの3番パー4で、300ヤード近く飛ばすシーンも見られました。

 そんな飛距離が魅力の鍋島選手ですが、開催コースの東千葉カントリークラブ東コースは、狭いホールがいくつもあるため、飛ばし屋の彼女には不向きではないかと思う面もありました。実際、プレー後のインタビューでも、「ドライバーを振るのは怖かった」とコメントをしています。それでも、ほとんどのホールのティーショットでドライバーを握り、果敢に攻めていたのが印象的でした。

 皆さんはプレッシャーがかかるシチュエーションに遭遇したとき、どんな対策をしていますか? 「怖い」という気持ちが芽生えたときは、その気持ちにフタをして、根拠のないプラス思考になっても、良い結果はなかなか得られません。もちろん、怖がるばかりで何も対策せずにショットに挑んでも、うまくいく可能性は低いでしょう。

緊張を受け入れて自分なりの対策法を持つ

実況席で鍋島海良(右端)を称える石井忍氏(右から2人目)。左から2人目はゲスト解説を務めた甲田良美 写真:石井忍氏提供
実況席で鍋島海良(右端)を称える石井忍氏(右から2人目)。左から2人目はゲスト解説を務めた甲田良美 写真:石井忍氏提供

 まずは、緊張している事実を受け入れた上で対策することが大切です。鍋島選手の場合、プレッシャーを感じた時は、「トップまでゆっくり上げること」を意識しているそうです。この方法以外にも、「クラブを短く持つ」「姿勢を良くする」「ボール位置をいつもより内側にする」「スタンスを右に向ける」なども有効な対策法です。

「池絡みのホールだと、いつもミスをする」など、苦手なシチュエーションがある人は、自分なりの対策法を持っておくといいでしょう。緊張を感じながらも、自分のポテンシャルを発揮しやすくなるはずです。

鍋島 海良(なべしま・かいら)

1999年生まれ、熊本県出身。ジュニア時代は、「九州小学生ゴルフ選手権」(11年)、「九州地区中学校ゴルフ選手権」(14年)、「KAB九州ジュニアゴルフ選手権」(15年)、「九州高等学校ゴルフ選手権春季大会」(16年)などで優勝。155センチと小柄ながら250~260ヤードのドライバーの飛距離を武器にする。師匠は男子プロの永野竜太郎。

【解説】石井 忍(いしい・しのぶ)

1974年生まれ、千葉県出身。日本大学ゴルフ部を経て1998年プロ転向。その後、コーチとして手腕を発揮し、多くの男女ツアープロを指導。「エースゴルフクラブ」を主宰し、アマチュアにもレッスンを行う。

【動画】体は小さくても“足踏み”で飛距離を生み出す鍋島海良の豪快スイング
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