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- バントのように持つ“超スプリットハンド素振り”でミート率アップ! 振り遅れとチーピンにも効果
多くのツアープロのコーチとして活躍している石井忍氏が、“ここはスゴイ”と思った選手やプレーを独自の視点で分析します。今回注目したのは、「Hitachi 3Tours Championship」での塚田好宣の素振りです。
塚田好宣のショット前の素振りに注目
12月11日に「Hitachi 3Tours Championship」が千葉県の大栄カントリー倶楽部で行われました。国内のシニアツアー、男子ツアー、女子ツアーの3ツアー対抗団体戦で、毎年恒例となったプロゴルフ界のシーズンを締めくくる大会です。

出場者は、各ツアーのランキング上位者などが6名ずつ。当日は私も会場に足を運びましたが、今シーズンそれぞれのツアーを盛り上げたプレーヤー達が一堂に会しただけに、華々しい雰囲気がありました。
どのチームも豪華な顔ぶれでしたが、中でも男子ツアーは平均年齢24歳と、とてもフレッシュでした。賞金ランキング2位の星野陸也選手以外の5選手は、4勝を挙げて賞金王を獲得した比嘉一貴選手を含め初出場。プロ転向前にアマチュアとして2勝を挙げた蝉川泰果選手や歴代1位のドライビングディスタンス(315・74ヤード)を武器にルーキーイヤー2勝の河本力選手、そして桂川有人選手、大西魁斗選手が出場しました。今大会は、そんな男子チームが女子チームの3連覇を阻止。5年ぶり8度目の優勝を遂げました。
ところで、今大会で私が楽しみの一つにしていたのが、シニアチームの塚田好宣選手でした。私は学生時代、千葉県のゴルフ場でキャディーのアルバイトをしていたのですが、そこで一緒に働いていたのが、海外で腕を磨いて帰国した塚田選手でした。当時は、同じくキャディーをしていた井上信選手と3人でよく練習していて、年上の塚田選手にかわいがってもらっていました。
今大会で久しぶりに塚田選手のスイングを見ましたが、ワイドスタンスで重心を左右に動かして力を出すスイングやパワフルなドローボールは当時のままでした。
そんな塚田選手のプレーで興味深かったのが、ショット前の“超スプリットハンド素振り”です。左手でグリップを握り、右手でシャフトの真ん中辺りを握って、野球のバントのようなクラブの持ち方で素振りをしていたんです。
この素振りには、2つのメリットがあります。一つは手上げの防止。バックスイングの際、右ヒジが曲がりすぎると、体が回らずに腕や手先だけでクラブを上げやすくなります。超スプリットハンドで素振りをすると、右腕が軽く伸び、腕と胸板を同調させて体を回すことができます。
振り遅れや左のミスを防ぐ効果
もう一つが、振り遅れや左のミスの防止です。ダウンスイングで「インから下ろそう」、「タメをつくろう」と意識しすぎると、腕と体の距離が近くなりすぎ、体の回転が止まってしまいます。結果、腕だけで振ることになり、リリースが遅れれば振り遅れ、リリースが早くなればフェースが返りすぎて左のミスが出てしまうわけです。
超スプリットハンド素振りで体と腕の距離を一定に保ってクラブを下ろす意識付けをしておくと、スムーズに体がターンし、ミート率を上げることができます。球がバラつく人は、塚田選手のルーティンを参考にしてみてはいかがでしょうか。
塚田 好宣(つかだ・よしのぶ)
1969年生まれ、千葉県出身。アメリカ、オーストラリアで腕を磨き、1999年の日本のプロテストに合格。05年に国内ツアーで初シードを獲得し、その後はシード落ちも経験したが、13年の「東建ホームメイトカップ」で初優勝を挙げる。16年は下部ツアーで2勝を挙げて賞金王を獲得。19年からシニアツアーに参戦し、21年の「全英シニアオープン」で8位フィニッシュ。22年の「金秀シニア沖縄オープン」で初優勝を飾った。
【解説】石井 忍(いしい・しのぶ)
1974年生まれ、千葉県出身。日本大学ゴルフ部を経て1998年プロ転向。その後、コーチとして手腕を発揮し、多くの男女ツアープロを指導。「エースゴルフクラブ」を主宰し、アマチュアにもレッスンを行う。
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