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- 「左がNG」の時「右方向にフォローを出す」は不正解? あえて「左に振り抜く」メリットとは?
多くのツアープロのコーチとして活躍している石井忍氏が、“ここはスゴイ”と思った選手やプレーを独自の視点で分析します。今回注目したのは、今季の米女子メジャー初戦「シェブロン選手権」で優勝したリリア・ヴだ。
“左NG”の状況でクラブを左に振り抜いたリリア・ヴ
2023年シーズンの米女子メジャー初戦「シェブロン選手権」が幕を閉じました。昨年までは米カリフォルニア州のミッションヒルズCCで行われていましたが、今大会からはテキサス州のザ・クラブ・アット・カールストン・ウッズに舞台を移して開催されました。
コースの特徴は、グリーン上やグリーン周りにアンジュレーションがあること。大会期間中はグリーンが硬く仕上げられていたので、落とし所を間違えるとボールがコロコロと転がり落ちてしまう状況でした。しかも、グリーン形状は18ホール中16ホールがグリーンを斜めに配置する「レダン式」か「逆レダン式」。攻略が難しいとされるグリーンの形を採用したコースという点も難易度を上げています。
現代ゴルフは、優勝スコアが通算15~20アンダーになることが多いですが、今大会の優勝スコアは通算10アンダー。この数字を見ても、このコースのタフさが分かります。
さて、そんな今大会を制したのはリリア・ヴ選手でした。通算10アンダーで並んだエンジェル・イン選手とのプレーオフを制し、メジャー初優勝を達成しています。
印象に残っているのは、18番で行われたプレーオフのセカンドショットです。18番は右ドッグレッグのパー5で、セカンドショット地点からグリーン手前にかけて、左サイドに大きな池が配されています。ティーショットでフェアウェイをキープした両選手のアングルからは、池越えのシチュエーションになりました。
“左NG”の状況で、イン選手はクラブを右に振り抜きました。しかし、右に飛び出したボールは、左に大きく曲がってグリーン手前の池へ。一方、ヴ選手はクラブを左に振り抜き、グリーンの奥へボールを運びます。ヴ選手はグリーン奥からパターで寄せ、バーディーを奪ってメジャー初優勝を決めました。
左にミスしたくない時「ターゲットより右方向にフォローを出す」は逆効果
左にミスしたくない状況では、ターゲットより右方向にフォローを出したくなるもの。しかし、この軌道でスイングすると体の回転が止まったり、手元の動きが制限され、フェースローテーションが強くなりすぎることがあります。
ボールをつかまえたい時や飛ばしたい時はプラスに働くことがありますが、左にミスしたくない時は逆効果。“左NG”の状況では、勇気を持って左に振り抜くと、左にミスしにくくなるはずです。
リリア・ヴ
1997年生まれ、米国カリフォルニア州出身。アマチュア時代は、18年のANAインスピレーションでローアマを獲得するなど活躍し、世界アマチュアランキング1位に輝いたことも。19年にプロ転向し、21年の下部ツアーで3勝を挙げて賞金ランキング1位を獲得。今季の「ホンダLPGAタイランド」でツアー初優勝を挙げ、4月の「シェブロン選手権」でメジャー初制覇を達成した。通算2勝。
【解説】石井 忍(いしい・しのぶ)
1974年生まれ、千葉県出身。日本大学ゴルフ部を経て1998年プロ転向。その後、コーチとして手腕を発揮し、多くの男女ツアープロを指導。「エースゴルフクラブ」を主宰し、アマチュアにもレッスンを行う。
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