曲がるラインは“線を合わせない”ほうが入る!? 19歳アマ・都 玲華「“動物”を出していきました」の意味 | e!Golf(イーゴルフ)|総合ゴルフ情報サイト

曲がるラインは“線を合わせない”ほうが入る!? 19歳アマ・都 玲華「“動物”を出していきました」の意味

多くのツアープロのコーチとして活躍している石井忍氏が、“ここはスゴイ”と思った選手やプレーを独自の視点で分析します。今回注目したのは、全米女子オープン最終予選(日本会場)に出場した都 玲華です。

アライメント通りに正確に打つことよりも、感性、勘を優先

 5月29日に全米女子オープンゴルフのセクショナルクオリファイング(最終予選)が行われました。最終予選には、プロ76名、アマチュア40名の計116名が出場。1日2ラウンドの戦いの末、全米女子オープンへの切符を手にしたのは、通算10アンダーの岩井明愛選手、8アンダーの佐藤心結選手、7アンダーの木下彩選手。そして、6アンダーで並んだ3人のプレーオフを勝ち抜いた三ヶ島かな選手と脇元華選手の5名です。

 今年の全米女子オープンには、予選を勝ち抜いた5名のほかに、歴代チャンピオンの笹生優花選手をはじめ、米ツアー参戦中の日本選手や国内ツアーからも多くの選手が出場する予定です。

石井忍がコーチを務める都 玲華(写真は2022年ニトリレディス)
石井忍がコーチを務める都 玲華(写真は2022年ニトリレディス)

 この最終予選で、私は昨年からスイングチェックをしている都 玲華選手のキャディーを務めました。都選手は、徳島県出身の19歳。現在、プロテストに挑戦中で、今年のフジサンケイレディスでは36位タイに入り、ローアマを獲得しています。今回は残念ながら通算1アンダーで全米女子オープンの出場権を手にできませんでしたが、プレー中に興味深いやりとりがありました。

 グリーン上で、「1カップ右」などとラインを読んだ後、彼女はボールに描かれているアライメントを打ち出したい方向に丁寧にセットしてからアドレスに入っていました。しかしプレーを進めていくと、あるホールでボールをクルンと回し、アライメントやロゴが入っていない真っ白な面を上に向けてボールをセットしたのです。

 そのホールのプレーを終えた後、「どうした?」と都選手に聞くと、「“動物”を出していきました」と彼女は答えました。アライメント通りに正確に打つことよりも、感性、勘を優先したわけです。このホールを境に、曲がるラインは白い部分を上に向け、曲がり幅が少ない時はアライメントを合わせてセットするようになりました。

 都選手は前半3オーバーでしたが、最終的に1アンダーでフィニッシュ。後半のスコアが伸びたのは、パッティングが良くなり、プレーにリズムが出たことが要因の一つだったように思います。

アライメントを意識しすぎるとラインのイメージが薄れる

 マジックでラインを引いたボールや、もともとラインが描かれているアライメント系ボールを使用しているゴルファーは多いと思います。アライメントを合わせるメリットは「打ちたい方向に真っすぐフェースを合わせやすい」「ボールの回転が分かりやすい」などがあります。しかし、アライメントを意識しすぎると、動きがぎこちなくなったり、ラインのイメージが薄れてしまう場合もあります。

 特に、大きく曲がるラインやスネークラインなどは、アライメント通りに正確に打つことよりも、「あの辺に、これくらいの強さで転がそう」とファジーに考えたほうがスムーズにストロークでき、結果がよくなることがあります。

 アライメントを合わせてうまくいかない人は、何も描かれていない面を上に向けてボールをセットしてみてはどうでしょうか。

都 玲華(みやこ・れいか)

2004年生まれ、徳島県出身。中学2年時に予選会を突破して日本女子アマに出場(17年)。19年には四国ジュニアで優勝し、同年の四国女子アマでは2位の活躍。21年にも日本女子アマに出場した。今シーズンは、フジサンケイレディスに出場してローアマを獲得。現在、プロテストに挑戦中で、ツアーで活躍中の川崎春花や尾関彩美悠らと同じ“ダイヤモンド世代”。

【解説】石井 忍(いしい・しのぶ)

1974年生まれ、千葉県出身。日本大学ゴルフ部を経て1998年プロ転向。その後、コーチとして手腕を発揮し、多くの男女ツアープロを指導。「エースゴルフクラブ」を主宰し、アマチュアにもレッスンを行う。

【写真&動画】石井コーチも参加したタイ合宿の様子や都 玲華の豪快なスイング
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