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頭越しの手打ちでノーマンは“用済み”!? PGAツアー・モナハン会長はリブゴルフを生かすも殺すも任された?
世界のゴルフ界に激震を走らせたPGAツアーとリブゴルフ出資者であるPIFの和解。この件が明るみになってから1週間弱、その実態がわずかずつではあるが明らかになってきた。中でも衝撃的だったのは、新組織にリブゴルフを引っ張ってきたグレッグ・ノーマンの居場所はなく、そもそも交渉にもまったく関与させてもらえなかったと見られていることだ。両者の合意は純粋に“ビジネスマン同士”の交渉によるものだった。
「お金が無尽蔵に湧き出るPIFと戦い続けるのは無理」
今後、PIFは「お金は出すが、口は出さない」ことに合意し、モナハン会長は今まで通り、PGAツアーを率いるCEOであり続けながら、さらにはリブゴルフも管轄していく権限を手に入れたということに、おそらくはなる。
とはいえ、今はどのツアーもシーズン真っ只中ゆえ、2023年シーズンの残りはPGAツアーもリブゴルフも当初の予定通りに開催されると見られている。
だが、2024年からは、PGAツアー、DPワールドツアー、リブゴルフの3つのツアーがそれぞれ開催されるのか、それとも3つが融合されたツアーとなるのか、それともモナハン会長がリブゴルフを解散・消滅させるのか。考えられるシナリオは何通りもある。
6月6日の統合合意の発表後、ノーマンCEOはリブゴルフ関係者に向かって「安心してくれ。リブゴルフは、どこへも行かない。24年も25年も続いていく」と豪語したと報じられている。
だが、PIFのルマイヤン会長と「阿吽の呼吸」でコトを動かせるのは、今ではモナハン会長に代わってしまったのだから、もはやノーマンの言葉には威力も信憑性もないということになる。
そして、ノーマンCEO自身、6月6日以降は公の場に姿を現わしたことも公式にコメントしたこともなく、PGAツアーと手を携えたことや今後の見通しをリブゴルフ選手に伝えているのも、ノーマンCEOではなく、ルマイヤン会長とPIFの役員たちだ。
だからこそ、ノーマンの役割は「終わった」「用済みだ」といわれ、解雇の噂も広がるばかり。この一連の騒動で「一番損をした人」「一番報われない人」は、ノーマンなのではないかと思えてくる。
逆に、一番得をしたのは、モナハン会長とルマイヤン会長ではないだろうか。
モナハン会長は、昨年から今年にかけて、リブゴルフとの法廷闘争に5000万ドル、格上げ大会創設に1億ドルを投入したといわれており、「お金が無尽蔵に湧き出るPIFと戦い続けるのは無理なのだ」と、PGAツアーの全従業員を前にして言い切ったそうだ。
しかし、モナハン会長は「PIFとの合意は、お金のためだったと結論づけるのは、コトをかいつまみすぎだ。ゴルフ界が分断されたまま進んでいけば、PGAツアーは価値あるツアーではなくなってしまう。そうしないため、PGAツアーの未来のために、PGAツアーはPIFと手を結んだのだ」と語気を強めたという。
だが、それがPGAツアーの未来のためではなく、「ゴルフ界の中心部にいたい」と願うルマイヤン会長とモナハン会長の満足のためのように感じられている人は、きっと山ほどいるはずである。
PGAツアーに忠誠を誓い、リブゴルフ移籍を拒否してきた現PGAツアー選手たち。リブゴルフが解散・消滅したらペナルティーを払った上でPGAツアーに戻ることになると見られている現リブゴルフ選手たち。力を尽くしてきたのにクビにされるであろうノーマンCEO。そして、ただただ振り回されている世界中のゴルフファン。その誰もが、今、「ああ、良かった」と感じられる状況にあるとは到底思えない。
それでも、この先に本当にゴルフ界の平和が訪れるのだとすれば……。今は、そこに一縷の望みを託すしかない。
文・舩越園子
ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学客員教授。東京都出身。百貨店、広告代理店に勤務後、1989年にフリーライターとして独立。1993年に渡米。在米ゴルフジャーナリストとして25年間、現地で取材を続け、日本の数多くのメディアから記事やコラムを発信し続けてきた。2019年から拠点を日本へ移し、執筆活動のほか、講演やTV・ラジオにも活躍の場を広げている。
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