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- プロデビュー戦で優勝した米女子ツアー最強ルーキー パッティング前にナゾの動作をする効用とは?
多くのツアープロのコーチとして活躍している石井忍氏が、“ここはスゴイ”と思った選手やプレーを独自の視点で分析します。今回注目したのは、米女子ツアー「みずほアメリカズオープン」で優勝したローズ・チャン(Rose Zhang)です。
世界アマチュアランキング1位を141週維持
6月1~4日のスケジュールで、米女子ツアー「みずほアメリカズオープン」が開催されました。通算9アンダーで並んだジェニファー・カップチョ選手とのプレーオフを制して優勝したのは、前週の5月24日に20歳の誕生日を迎えたローズ・チャン選手です。
誕生日直後の26日にプロ転向したばかりのチャン選手にとって、同大会はプロデビュー戦。米女子ツアーでプロデビュー戦を優勝で飾ったのは、1951年以来、72年ぶりです。また、米女子ツアー初出場・初優勝は19年に全英女子オープンを制した渋野日向子選手以来の快挙でした。
センセーショナルなデビューを飾ったチャン選手は、アマチュア時代の経歴も凄まじいものがあります。19年のオーガスタナショナル女子アマに最年少の15歳で出場し、20年は全米女子アマチュア選手権を制覇。21年は全米ジュニア選手権でも勝利を挙げ、今年4月のオーガスタナショナル女子アマで優勝を飾っています。また、世界女子アマチュアランキングでは史上最長となる141週にわたって1位を守り続けた実績もあります。
そんなチャン選手は、非常にキレイなスイングをしているのが印象的です。バックスイングでは、左腕を外旋方向にテンションをかけながらクラブを上げていきます。そして、下半身リードで切り返し、わずかにループを描きながらダウンスイングに移行。スイング中は左ワキがキュッと締まっており、体からクラブが外れる気配がありません。チャン選手のように手足が長い選手はスイングがルーズになりがちですが、関節をしなやかに使って安定したロングショットを打っています。
ところで、彼女のプレーを見ていて興味深かったのが、ロングパットを打つ前にワッグルを2回していたことです。アドレスポジションに入った後、ヘッドのトウ側を目標方向に向け、フェース面が自分を向いている状態でセット。トウを目標に向けたまま、軌道や方向性を確認するように1回目のワッグルをします。
ヘッドを元の向きに戻してアドレスし直した後、今度は「ヘッドをどこまで上げるか」を確認するようにワッグル。このルーティン後にストロークを始めます。
パターのワッグルで始動がスムーズになるメリットも
ショット前にワッグルをするゴルファーは多いですが、パッティングのワッグルはあまり見かけません。ですが、チャン選手のルーティンは非常に有効だと感じました。
あらかじめ決めているポジションまでパターを上げれば、後はヘッドをストンと落としてインパクトするだけ。「どこまでヘッドを上げようか」「どれくらいの強さで振ろうか」などと悩まず、シンプルにストロークできます。
また、ワッグルをすることでお腹のねじれ具合や背中の動きをチェックでき、始動がスムーズになるメリットもあります。ロングパットの距離感が合わない人は、チャン選手のルーティンを参考にしてみるといいでしょう。
ローズ・チャン(Rose Zhang)
2003年生まれ、米国カリフォルニア州出身。19年のオーガスタナショナル女子アマに最年少の15歳で出場。20年の全米女子アマで優勝し、21年の全米ジュニア選手権も制覇。世界女子アマチュアランキングでは、20年9月から141週にわたって1位に君臨。今年はオーガスタ女子アマで優勝を飾った。プロ転向して迎えたデビュー戦のみずほアメリカオープンで72年ぶりとなる初出場・初優勝を達成。
【解説】石井 忍(いしい・しのぶ)
1974年生まれ、千葉県出身。日本大学ゴルフ部を経て1998年プロ転向。その後、コーチとして手腕を発揮し、多くの男女ツアープロを指導。「エースゴルフクラブ」を主宰し、アマチュアにもレッスンを行う。
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