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- 「速い」とハーフ3時間で「遅い」とクレーム… グリーンスピードとコース運営のジレンマ
「今日はグリーンが速い」「いや、意外と遅い」、ラウンド中によく交わされる会話ですが、その速さはどこまでコントロールできるのでしょうか。ゴルフ場の“グリーン作り”の裏側を聞きました。
グリーンの速さはどこまでコントロールできるのか
コースをラウンドしていると、グリーンの速さは必ずと言っていいほど話題に上ります。下りのパットが大きくオーバーすれば「今日は速いね」となり、上りのパットがショートすれば「遅いね」という会話になります。
ただ、その評価がどこまで正確なのかと考えると、少し迷うところがあります。グリーンの傾斜は上りと下りが単純に見極められるわけではありませんし、同じ距離でもラインの取り方によって必要なタッチは異なります。芯に当たったかどうかでも転がりは変わりますから、「速い」「遅い」という感覚は、必ずしもグリーンそのものだけを表しているとは限りません。
それでも、ゴルフ場ごとにグリーンの速さに違いがあるのは事実ですし、同じコースでも季節や天候によって印象が変わります。グリーンの速さはどのくらいコントロールできるのでしょうか。ゴルフ場関係者に聞いてみました。
「グリーンの速さはある程度、意図的に変えることができます。芝生を短く刈って、刈り高を低くすれば、グリーンは速くなりますし、ローラーをかけて地面を固めるのもグリーンを速くする手っ取り早い方法です」

「あとはグリーンの表面に粒が細かい砂を撒くと、その砂がグリーンの凹凸を埋めてくれるので、さらに速くなります。“トップドレッシング”というんですけど、細かい砂を入れてあげると、芝生の葉っぱが横に寝ないで上に立つんですよ。そういうやり方もあります」
「ゴルフ場として『どういうセッティングにしていこうか』というときに、『グリーンは必ず何フィート以上出すようにしよう』という方針を決めれば、もちろん費用はかかりますが、調整はできます」
「以前、あるゴルフ場で、マスターズ開催週にマスターズと同じ速さにセッティングし、それをウリにしたことがありました」
「1カ月くらい前からグリーンを仕上げていくのですが、それだけ速くすると、お客さんがなかなか上がってきません。平気でハーフ3時間かかります。下りのパットを打った後に、またアプローチしている人を何人も見ました」
「でも、グリーンが速いぶんには、誰も文句を言わないですね。グリーンが遅いと文句を言うお客さんは多いです」
「ただし、お客さんをたくさん入れているゴルフ場でグリーンを速くしたら、回り切れなくなってしまいますから、そのゴルフ場がどういった客層を狙っていくかだと思いますね」
ゴルファーは速いグリーンを好むが進行は遅くなる
ゴルフ場としては、このバランスをどう取るかが重要になります。速いグリーンは一般的に好まれやすく、遅いグリーンは不満が出やすいという側面があります。
しかし、速さを追求しすぎるとプレー時間が長くなり、コース全体の運営に影響が出てしまいます。また、夏場など芝に負担がかかる時期に無理に速さを出そうとすると、グリーンの状態そのものを悪化させるリスクもあります。
こうした事情を踏まえると、グリーンの速さは単に「速いか遅いか」で評価できるものではないことが見えてきます。そこには、自然条件と人の手による調整、そしてプレー進行や芝の保護といった運営上の判断が重なっています。
同じコースであっても、季節や天候、来場者数によって最適なセッティングは変わりますし、ホールごとに微妙な違いも生まれます。1ホールごとにグリーンのロケーションが異なり、日照時間も風通しも水はけも違うので、刈り高を同じにしてもスピードは変わります。
プレーヤーの立場からすると、「今日は速い」「今日は遅い」と感じる場面はどうしても出てきます。ただ、その印象の背景には、単一の要因では説明しきれない複数の条件が重なっています。
グリーンの速さはある程度コントロールされている一方で、完全に思いどおりに作られているわけではありません。その日の状態を見極めてタッチを合わせていくことが、ゴルフの技術の一部であり、楽しみの一つでもあるのでしょう。
文・保井友秀(やすい・ともひで)
1974年生まれ。出版社勤務、ゴルフ雑誌編集部勤務を経て、2015年にフリーライターとしての活動を開始。2015年から2018年までPGAツアー日本語版サイトの原稿執筆および編集を担当。現在はゴルフ雑誌やウェブサイトなどで記事を執筆している。
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