鬼門の2日目をクリアして上位進出を狙う
◆国内女子プロゴルフ<ニチレイレディス 6月16~18日 袖ヶ浦カンツリークラブ・新袖コース(千葉県) 6621ヤード・パー72>
“好事魔多し”とはまさにパナソニックオープンレディースでの吉田弓美子に当てはまるのではないか。
初日に67をマークして5アンダーで首位タイ発進。36歳の誕生日だったこともあり、一気に注目を浴びたが、翌朝目が覚めてから悲劇が襲う。
腰が痛くて起き上がることができなかったのだ。それでもなんとかコースまでたどり着き、ティーオフはしたが4ホール終了後に泣く泣く棄権することを決断した。

「実は初日の展開が全く一緒なんですよネ」
パナソニックオープンレディースでは最終ホールでチップインバーディーを決めたが、今回も最終ホールでグリーン奥12~13ヤードから58度のウェッジでチップイン、5アンダーでホールアウトした。
唯一異なるのは、首位タイではなく3位タイだったこと。それでも奇妙な一致に不安も募る。まさか腰痛の再発まで重なるのではという不安があるからだ。「私は今怯えています!」と笑顔で語ったものの、間違いなく本音だろう。
ツアー7勝を挙げているものの、18年からはシード権を手放し、ツアーに出場する機会も減っていた吉田。昨年のファイナルQTで30位となり、今季前半戦の出場権を手にした。
「レギュラーツアーに毎週出場するなんてことは久しぶりですが、この権利は自分で獲得したものだから、前半戦の最終戦までは結果にこだわらずに出ると決めています」
その前半戦も今大会で最終となる。現在、吉田の暫定リランキング順位は54位で、後半戦の出場権を得るには20ランクほど上げなければならない。ある意味、ガケっぷちに立ちながらも大逆転劇へ向けてこれ以上ないスタートを切ったわけだ。
ただ、腰痛になったことで、プラスに働いたこともある。
「ドライバーの飛距離が伸びたんですよねえ。10ヤードぐらいは飛んでいると思います」
無理に強く振ろうとせず、軽く振っていることが功を奏したのかもしれない。ただし、軽く振るとスイング自体が緩んでしまうことが多いので、緩まないように体幹だけを意識していることがよかったと分析する。
今のところ腰痛は発生していないが、それも針治療などのケアを欠かさず行っているからでもある。今大会の最終結果がどうあれ、これまでの努力が初日だけでも表れたことに満足感を覚えていた吉田。同時に、改めてツアーに出続けて結果を残している選手がいかにすごいのかも実感したという。
残り2日間あるが、鬼門の2日目をクリアできたなら、そのまま上位を狙うつもりでいる。
「このコースはグリーンが小さく感じますが、ポイントを絞って狙っていけるので集中力が高められます。ダーツのブル(真ん中部分)みたいな感じです」と好意的にとらえている。どちらにしても、まずは2日目をしっかりと完走できるかどうかに注目が集まる。
吉田 弓美子(よしだ・ゆみこ)
1987年4月28日生まれ、神奈川県出身。2009年にプロテスト合格。2012年「NEC軽井沢72ゴルフ」でプロ初優勝。2013年には年間3勝を挙げ賞金ランキング5位に入る。今季はQTランキング30位の資格でツアーに出場、シード復帰を目指す。ツアー通算7勝。アマノ所属。
タイトル・本文を一部修正しました(6月19日11時47分)。