「ベースボール」と「テンフィンガー」の違いとは?
みなさんこんにちは、ゴルフバカイラストレーターの野村タケオです。先日、渋野日向子プロが「宮里藍 サントリーレディスオープン」でいきなりベースボールグリップを採用して話題になりました。
なんと5日前から始めたベースボールグリップをすぐに試合でやっちゃうんですから、本当に驚きです。そのベースボールグリップ、いわゆるテンフィンガーグリップとの違いや、どんな効果がきたいできるのか、興味があったのでラウンドで試してみました。

ベースボールグリップとテンフィンガーグリップの違いってなんでしょうか。
テンフィンガーグリップとは、その名のとおり10本の指全てを使う握り方。オーバーラーラッピンググリップのように指と指が重なる部分がなく、10本の指全部がグリップに触れているわけです。
指が重なっていないこと以外はオーバーラッピングと同じで、左手の親指も伸ばしてグリップの上に置くような形です。ちなみに勝みなみプロはテンフィンガーグリップです。
対してベースボールグリップは、これまたその名のとおり野球のバットを握るようにグリップするわけです。
テンフィンガーグリップのように左手の親指を伸ばさず、両手ともグーをしているように握るため、左右の手は完全に独立している感じになりますね。このグリップも10本の指でグリップしているために、ある意味テンフィンガーと言えるのですが、実際は全く違う握り方なんです。時松隆光プロはこのベースボールグリップですね。

そもそもなぜ渋野プロはベースボールグリップにしたのでしょうか。その理由はゴルファーの職業病ともいわれる「左手親指周りの痛み」が原因だといわれています。どうしても伸ばした左手親指を包むように右手を握るために、練習量が多いとその部分に負担がかかってしまうわけです。丸山茂樹プロも長年この痛みに悩まされていたようです。
そんな理由で渋野プロはベースボールグリップにしたので、一部で報道されているように「テンフィンガーグリップに変えた」というのは、少し間違っているんじゃないかと僕は思います。テンフィンガーなら変える意味がないですからね。
手首の自由度が高くなるが再現性は激減!?
2つのグリップの違いが理解できたところで、さっそくベースボールグリップでラウンドしてみました。
僕は一応野球経験者なので、握り方には特に違和感がありません。しかしこれでゴルフをするとなると、違和感バリバリ。
とにかく手首周りが自由すぎるんです。オーバーラッピングだと多少ロックがかかる感じになりクラブと両手の一体感が増します。色々な方向に自由に動かせない感じがしますが、ベースボールグリップにはそれが全くないです。
そのぶん、自由にクラブを操れるのでフェースを思いっきりターンさせることもできます。アッパーに振ったり、ボールを思いっきりぶっ叩いたり、ってことも自由です。

しかし、自由に動かせるということは、芯でボールを捉えるというのが難しくなります。毎回同じ軌道で、同じようにインパクトするというのが本当に難しいです。
よほどの練習量かセンスがよくないとムリなんじゃないでしょうか。ラウンド中に何度かベースボールグリップでショットを試しましたが、ボールが暴れちゃって、ほとんどまっすぐに飛びませんでした。
ウェッジやショートアイアンならそこそこの球が打てましたが、ドライバーなどの長いクラブは本当に難しいです。たまにうまくタイミングが合って真っすぐ飛ぶこともありましたが、ほぼマグレですね。
ということで、僕にはベースボールグリップはムリという結論になりました。