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簡単そうで奥が深い「空振り」の定義 ワザと球に当たるのを避けたら? スイング中に球がティーから落ちたら?

小関洋一

2023年12月25日

コラム

遠めに同伴プレーヤーのスイングを見ていると、「今のは素振り? 空振り?」と判然としない場合がたまにあります。ルール上、空振りとはどう定義されているのでしょうか。

打つつもりがない「空振り」は「ストローク」にならない

 世界のトッププロでも「空振り」をします。

 2023年の全米オープン(6月15~18日、カリフォルニア州・ロサンゼルスCC)の初日。ローリー・マキロイは18番パー4でグリーン周りの深いラフからのアプローチをスカッ。スコアにカウントされる空振りをしました。結果、このホールはボギー。そして、終わってみれば、大会を制したウインダム・クラークと1打差、通算9アンダーで2位となったのです。まさに、あの空振りがなければ5度目のメジャー制覇、となったかもしれません。

ビギナーでもないのに空振りをしてしまうと、自分にほとほと愛想が尽きます 写真:AC
ビギナーでもないのに空振りをしてしまうと、自分にほとほと愛想が尽きます 写真:AC

 マキロイの空振りは、深いラフの中に浮いているようなライのボールの下をクラブヘッドがくぐった、いわゆる「ダルマ落とし」の空振りでした。

 スコアにカウントされる「空振り」とは、「球に当たらなかったストローク」のこと。そして、その「ストローク」は「球を打つために行われるクラブの前方への動き」と定義されています。

 ですから、プレーヤーに「球を打つ」という意思のないスイングは「ストローク」になりません。ルールブックの「ストローク」の定義には、「ダウンスイングの間に球を打たないことに決めて、クラブヘッドが球に届く前に、そのクラブヘッドを意図的に止めること、または止めることができない場合に意図的に空振りをすること、によって打つことを避けた場合」はストロークを行ったことにならない、と書かれています。

 ストロークにならなかった「空振り」のエピソードで有名なのが、2007年のマスターズでのタイガー・ウッズです。13番パー5でティーショットのダウンスイングに入るか、入らないかの瞬間、上空を飛ぶ鳥の影がタイガーのすぐ後方を横切ったのです。それに驚いたタイガーはとっさにドライバーのヘッドの動きをコントロールし、ショットを避けたのでした。

 このシーンはYouTubeに動画がアップされており、「amazing control」「great control」といった驚嘆の言葉が付されています。

 それを真似て、「いまの空振りは打つつもりはなかったから、ノーカウントね」と言い張るダッファー(下手な人)がいるかもしれません。しかし、打つつもりのスイングか、そうではないかは、間近で見る人にはほぼ100%判別できます。ごまかしは無理ですから、やめておきましょうね。

直前にボールが動いたための「空振り」は「ストローク」としてカウント

 反対に、カウントされる「空振り」の例としては、まずプレーヤーがストロークを始めた後や、ストロークのためにバックスイングを始めた後、止まっていたボールが動き、にもかかわらずストロークを止められないケースです。このときはボールが動いた原因に関係なく、ストロークはカウントされ、ボールはあるがままとなります。

 この「空振り」はティーショットの場合も同じで、規則6.2b「球がティーイングエリア内にある場合」に「(ティーアップした)球が落ちている間や、球が落ちた後にその球にストロークを行った場合、罰はなく、そのストロークはカウントし、その球はインプレーとなる」と規定されています。

 ただし、空振りしたボールが依然、ティーイングエリアにある場合は、規則6.2b(6)「インプレーの球がティーイングエリアにある場合」の規定により、プレーヤーは次の第2打をボールがあるがままストロークすることもできますし、罰なしにボールを拾い上げ、再度ティーアップすることもできます。

 24年は日本シニアツアーでプレーする予定の「虎さん」ことチェ・ホソンは、20年の韓国ツアー競技「釜山慶南オープン」の3日目、最終18番ホールのティーショットでこの空振りを「実演」しています。そして、そのシーンの動画は世界中で再生される人気動画になりました。

 その他、カウントされる「空振り」として、「ゴルフ規則のオフィシャルガイド」のストロークの定義には次のような記載があります。

「クラブヘッドが外的影響(木の枝など)によって方向を変えられたり、止められた」。これはプロのトーナメントでもときどき見られます。

「ダウンスイングの途中でクラブヘッドがシャフトから外れ、そのプレーヤーはそのシャフトだけでダウンスイングを続けた(そのシャフトで球を打ったかどうかは問わない)」。ただし、ダウンスイングではなく、バックスイングの途中でクラブヘッドが外れた場合は、そのままダウンスイングしてもボールを打たなければストロークしたことにならないとも書かれてあります。

 ダウンスイング中にヘッドが外れるなんてことは、周囲に危険なうえ、「空振り」としてカウントされますから、シャフト交換式ヘッドの締め付けはしっかり確認しましょう。

【動画】5センチくらい上振ってるのに風圧でボールがポトリ…チェ・ホソンの豪快な空振り 実際の映像

【図解】間違いやすいレッドペナルティーエリアの正しい処置もチェック/2023年ルール改訂3つの変更点をおさらい

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球がレッドペナルティーエリアにあることが分かっているか、事実上確実で、プレー ヤーが救済を受けたい場合、プレーヤーには3つの選択肢がある。それぞれ1罰打で、 プレーヤーは次のことができる。 (1)直前のストロークを行った場所に基づき救済エリアから球をプレーすることによっ てストロークと距離の救済を受ける。 (2)ホールとX点を結んだ後方線上のペナルティーエリアの外に球をドロップすること によって後方線上の救済を受ける。 (3)ラテラル救済を受ける(レッドペナルティーエリアに限る)。救済を受けるための基点 はX点で、球は2クラブレングスでX点よりホールに近づかない救済エリアの中にド ロップし、その中からプレーしなければならない。(ゴルフ規則 17.1dより抜粋)
1.後方線上の救済は「線の上」にドロップしなければならなくなった
2.救済後、風でボールが再び池に入ったら「無罰でリプレース」
3.間違ってインプレーでない球をリプレースしてパットした「2罰打→1罰打」
ビギナーでもないのに空振りをしてしまうと、自分にほとほと愛想が尽きます 写真:AC
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