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- マキロイが行った赤杭の“対岸”からの救済処置 2019年に廃止されたルールなのになぜ可能だった?
PGAツアー競技「ザ・メモリアルトーナメント」の初日、11番パー5でローリー・マキロイが使ったレッドペナルティーエリアからの“対岸”の救済。2019年のルール改定で廃止されたはずですが、なぜこの処置を行うことができたのでしょうか。
レッドペナルティーエリアからの救済には3つの選択肢
PGAツアー競技「ザ・メモリアルトーナメント」の初日、11番パー5でローリー・マキロイが、最近目にしない、とてもレアな救済処置を行い、メディアに取り上げられることになりました。2018年以前の旧ルールに精通したゴルファーには懐かしいかもしれません。マキロイが選択した、レッドペナルティーエリアからの救済とは?
同トーナメントの舞台、ミュアフィールドビレッジの11番パー5(588ヤード)は、ホールの途中までフェアウェイの左側に沿ってレッドペナルティーエリアの小川(クリーク)が流れています。そこでマキロイはティーショットを大きく引っかけ、ボールは小川の左岸の急斜面に落ち、小川に入ってしまいます。
ボールがレッドペナルティーエリアに止まったときの救済はいずれも1罰打で、(1)直前のストロークを打った地点からの打ち直しのほか、レッドペナルティーエリアの縁である赤線を最後に横切った地点(エントリーポイント)を基点に、(2)同基点とホールを結んだ後方線上にドロップ、もしくは(3)同基点からホールに近づかない2クラブレングスの救済エリア内にドロップ。この3つの中から選択しなければなりません。
ところが、このときのマキロイはボールが止まった小川を挟んで、エントリーポイントの反対側=対岸に引かれたレッドペナルティーエリアの縁から2クラブレングスの救済エリア内のフェアウェイにドロップし、次の第3打をプレーしたのです。
「対岸」と聞くと、2018年までの旧ルールを知るゴルファーには少し懐かしく思われるかもしれません。
旧ルールのレッドペナルティーエリアに当たる「ラテラルウォーターハザード」からの救済は、現レッドペナルティーエリアと同様、前記の(1)(2)(3)の救済処置に加えてもう一つ、(3)の対岸のハザードの限界上(赤線上)にある、ホールとエントリーポイントを結んだ距離と等距離の地点を基点に、同じく2クラブレングス内にドロップできる救済処置がありました。
他の救済が不可能なホールでローカルルールを設けられる
しかし、この「対岸の救済」は19年のルール改訂で廃止されました。
その理由を同改訂に先立って日本ゴルフ協会が発表した「解説」には、「対岸での救済は複雑な選択肢で、多くのプレーヤーはその選択肢をよく知らず、めったに使用することがありません」とあります。
つまり、もともと選択される例が少なかったためとしています。
加えて同解説では、「対岸の救済」は後方線上の救済やラテラル救済のどちらも実現可能ではなく、プレーヤーの選択肢が「ストロークと距離の救済」だけになるケースにおいて、追加の選択肢を設けることが目的でしたが、現実には、(2)や(3)の救済が受けられる状況でも、「対岸の救済」が使われることがあり、その結果、ときには有利になり過ぎる、不必要な選択肢になっていました、と説明されています。
つまり、「対岸の救済」はプレーヤーにとって、ときに必要以上に有利な救済になるケースがあったので廃止されたのでした。
ただし、同改訂では、「他の救済の選択肢を受けることが不可能であると考えるホールで対岸での救済を許すローカルルールを採用することもできます」として、ローカルルールで「対岸の救済」を設けることを認めています。
それが「ローカルルールひな型 B-2.1」で、そこには「その球がレッドペナルティーエリアの縁を最後に横切った場合、1罰打の追加の選択肢として、プレーヤーはそのペナルティーエリアの反対側にドロップすることができる」として、エントリーポイントからホールまでの距離と等距離の、反対側のレッドペナルティーエリアの縁の地点を基点に、2クラブレングスの救済エリアにドロップすることができると規定されています。
マキロイが小川に打ち込んだレッドペナルティーエリアが、まさにこのローカルルール適用のエリアだったのです。後方線上にも、エントリーポイントの周辺にも、適当な救済エリアは見当たりません。
結果、マキロイは1罰打で、エントリーポイントとは反対側の小川の右岸に救済エリアを決定し、そのエリア内にあるフェアウェイにドロップ。そして、第3打をプレーしたのでした。
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