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自治体から9500万円で買い戻したゴルフ場を即日4億円でソーラー事業者に転売 宮城の小さな町襲う異常事態の現場へ/シリーズ『ゴルフ場減少時代』
コースの数では世界でも屈指の“ゴルフ大国”である日本。しかし、少子高齢化や若者のゴルフ離れの影響でゴルフ場数は毎年漸減し、最盛期には2500コース近くあったものが、最新のデータでは約2100コースにまでその数を減らしています。閉鎖されたゴルフ場の多くはメガソーラーに転用されていますが、地方の小さな自治体を揺るがす事態も起きています。日本ゴルフジャーナリスト協会会長の小川朗氏が現地を取材しました。
メンテナンス予算の少なさを感じさせるコース状況
町議会は同地での太陽光発電事業の反対決議を7月5日に全会一致で採択。石山敬貴町長もこれを受けて週明けの7月8日に記者会見を行います。席上、太陽光発電所の建設には断固反対し、全庁的な調査を指示したこと、さらに土地の所有権返還を求めるなど、法的措置に向けて準備していることを表明しました。
G7でも問題となっている中国系企業の経済進出による軋轢が、こんなところにも出ているわけです。ゴルフ場を購入し、太陽光発電所へと転換させようとしている「カナディアン・ソーラー」はCEOを務めるショーン・クー氏が清華大学卒で、実際には中国系の会社であることは広く知られるところです。その思惑を明らかにするため、カナディアン・ソーラー・ジャパンに取材を申し込んだところ、コールセンターの担当者から口頭取材には応じていないと断られてしまいました。
再度電話し取材の意図を伝えたところ、ホームページのメールアドレスで質問するように提案されましたが、返ってきたメールは「カナディアンソーラージャパン(原文ママ)株式会社(以下「弊社」という。)では個別の案件に関するご質問を商流外のお客様へご案内することは出来かねます。また弊社では発電所の開発、保守業務は行っておりませんのでご質問いただきました内容はお答えできかねます」という返答。さらに「お手数ですがカナディアンソーラープロジェクト(原文ママ)株式会社様へご相談いただけますでしょうか」と、さらに別の会社に、同様の方法で質問を送るように要求されました。しかしそれでも、2024年7月14日現在、同社からの返信メールは届いていません。

東京での取材が進まないため、並行して現地取材を行うことにしました。実際のところ、現在のやくらいサイズゴルフ倶楽部はどのような状況なのか。7月某日。実際に現地でプレーし、コース関係者や町長や関係者を取材してみることにしました。
土砂降りと言ってもいいほどの激しい雨の中、コースへの進入路を走ると、左右の雑草が伸び放題になっています。しかし、手前のホテルやクラブハウスは、さすがに一大プロジェクトにより巨額の資金が投入されただけあって、雄大な自然に溶け込み、どっしりと落ち着いたムードを醸し出していました。
トップスタートの私たちが、予約した時間の30分前に着くと、玄関には誰もいません。コロナ禍では多くのコースでおなじみになった「マスター室までは自分でクラブを運ぶ」旨が書かれています。こうした扱いにはすでに慣れっこで抵抗感ゼロなのですが、困ったのは土砂降りの雨が降っているというのに、傘立てが玄関ドアの奥にしまい込まれていること。車を駐車場に止めてから、クラブハウスまでの間は50メートル程度とはいえ、コースの傘を借りられなかったため、ずぶ濡れになってしまいました。
2人いたフロントのスタッフの一人に「すみません、傘と傘立てくらいはお願いしますよ」と頼み込むと、クラブ置き場からようやく傘立てが。追い打ちをかけるように「本日はシャワーもお風呂も使えません」と聞かされて、意気消沈のままロッカールームへ。ところが、入ってみると中の照明はすべて消灯中。暗くてロッカーナンバーが見えないため、再びフロントに戻り点灯してもらい、ようやく自分が使うロッカーを確認できました。
雨の平日、トップスタートとあって前には一人もいないだろう、と思いきや、おひとり様プレーの方が6時半から来ていたため、すでにプレー中とのことでした。その意気に感心しながらラウンドを強行してみると、その惨状に息を飲みました。コースは荒れ放題で、特にひどいのはグリーンです。コースメンテナンスに資金を振り分けていないことが、ありありと見て取れました。
関係者に聞いてみると、コース管理のスタッフはわずか5人との答え。18ホールを管理しきれていないことを、コースが物語っています。悪天候ということもあり、この日のスタート表にあったお客様はわずか7人。「週末で天気がいい時は100人くらいは来ますよ」とはいうものの、コースがこの状況ではリピーターを増やすのは望み薄だと感じました。
その反面、バックティーからは7031ヤードのパー72と距離もあり、雨でランが出ないせいかパー4でもフェアウェイウッドやロングアイアンの距離が残ります。各ホールにもアクセントがあり、単調なラウンドにはなりません。メンテナンスさえ行き届けば十分楽しめるコースであることは容易に想像できました。
2010年には国内男子下部のチャレンジトーナメント、「東北やくらいカップ」を開催したこともあります。ホールを消化するにつれ、このまま太陽光発電所になってしまうのはもったいないとの思いが強くなりました。ホールアウトしてコースを見渡すと、今年中に命運が尽きるゴルフ場への涙雨が、絶え間なく降り注いでいました。
果たしてコースは存続できるのでしょうか。次回はキーマンである加美町長の独占インタビューをお届けします。
取材・文/小川朗
日本ゴルフジャーナリスト協会会長。東京スポーツ新聞社「世界一速いゴルフ速報」の海外特派員として男女メジャーなど通算300試合以上を取材。同社で運動部長、文化部長、広告局長を歴任後独立。東京運動記者クラブ会友。新聞、雑誌、ネットメディアに幅広く寄稿。(一社)終活カウンセラー協会の終活認定講師、終活ジャーナリストとしての顔も持つ。日本自殺予防学会会員。(株)清流舎代表取締役。
◆加美町役場関係者の証言を基にした事件の経過◆
・1995(平成7)年に「やくらいゴルフ倶楽部」が営業開始。
・2008(平成20)年に積水化学工業の子会社エスエイチアール仙台が事業から撤退。ダヴィンチ・リアルティに事業を譲渡。
・2010(平成22)年にダヴィンチ・リアルティが撤退し株式会社「やくらいゴルフ倶楽部」へと経営を移管。
・2013(平成25)年に「やくらいゴルフ倶楽部」が経営不振を理由に土地の買い取りを町に打診。町は経営が改善したら同額で買い戻す覚書に基づき9500万円で買い取り。
・2017(平成29)年4月1日に町から土地を貸借して運営していた「やくらいゴルフクラブ」と「チームトレイン」が合併。その後「やくらいゴルフ倶楽部」が解散。「チームトレイン」が事業を継承。
・2019(平成31)年、「チームトレイン」から土地買い戻しの申し入れ。町役場だけでは決められない案件のため議会に内容を説明し、代表者との面談などを行う。
・2021年の4月23日に臨時議会を開催し、同意が得られたため本契約。
・その上で「チームトレイン」に土地を売却。
・「チームトレイン」は同日、太陽光事業「カナディアン・ソーラー」(カナダ)の子会社「ティーダ・パワー110合同会社」と土地・建物を4億円で売却する契約を結んでいた(のちに発覚)。
・2024年7月8日、宮城県加美町議会が石山敬貴町長にメガソーラー計画に反対する決議文を提出。
・これを受けて同日、石山敬貴町長が町役場で記者会見。土地の所有権の返還を求めるなどの法的措置を検討しており、刑事告訴に関しても宮城県警加美署に相談していることを明かした。
※売却の過程でチームトレインは「ゴルフ場を経営するために土地を買い戻す。融資を受けるのに担保となる土地が必要」と説明。町は「ゴルフ場を継続していくために必要な土地の売買契約である」という言葉を信用し、町側は同額の9500万円で買い戻しに応じた。ところがその日の内に、土地は太陽光事業者に転売されていたことが後日発覚した。
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