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仙台のゴルフ場では稼働6年でソーラー火災 発生3カ月いまだ原因不明 土砂崩れや水質汚染の心配も/シリーズ『ゴルフ場減少時代』
大きな反響があった記事「自治体から9500万円で買い戻したゴルフ場を即日4億円でソーラー事業者に転売 宮城の小さな町襲う異常事態の現場へ」から始まるシリーズの3回目。団結し白紙撤回を求める加美町(宮城県)住民たちの生の声を日本ゴルフジャーナリスト協会会長の小川朗氏が現地取材しました。
「あんなゴキブリのようなものは、この町にはいりません」
ゴルフ場跡地がメガソーラーになる。この流れに反対する声は、今や大きなうねりとなって全国に広がっています。この連載のスタートで取り上げた「やくらいサイズGC」の問題(経過は別項)を受けて、住民たちも団結し白紙撤回を求める動きを見せています。加美町(宮城県)で何が起きているのか。生の声をお聞きしました。
【シリーズ1回目を読む】自治体から9500万円で買い戻したゴルフ場を即日4億円でソーラー事業者に転売 宮城の小さな町襲う異常事態の現場へ
【シリーズ2回目を読む】メガソーラー火災の不安訴える住民に「水かけますから」…ゴルフ場続ける約束を反故にされた宮城県・加美町長が激白
「あんなゴキブリのようなものは、この町にはいりません」
黒光りするソーラーパネルを思い浮かべ、顔をしかめてそう言ったのは「薬莱(やくらい)の太陽光発電を考える会」の関係者。その顔には、子供の頃から常に視界の中にあった薬莱山の景観が壊されることに対する、強い嫌悪感がにじんでいました。
「ここは地元の人々にとって、憩いの場なんです。薬莱山というのは加美富士と呼ばれ、新幹線からも見える。みんながこの山を小さい時から見て育ち、自分のふるさとの一つに位置付けています。ですから、帰ってきた時にはやっぱりみんな薬莱に行く。親戚が来ても、薬莱を案内する。いろんなものがあるわけではないんですけど、一周する人もいる。やっぱりこの田園地帯にドン、とある加美富士はこの町のシンボルで、町の宝。これからの、次世代の子どもたちにきちんとバトンタッチしたい。それが私たちの願いです。私たちも先祖のおじいさん、おばあさんからバトンタッチされたわけですから。ソーラーにはみんな反対です。『あれは本当にゴキブリよね』と何人もの方がおっしゃっていました」
そう言ってから「これをご覧ください」と出されたのが「CS宮城やくらいGC太陽光発電事業の白紙撤回を求めます」と銘打たれた反対署名の用紙でした。そこには「すでに新聞やTVニュースで報道されていますが、やくらいゴルフ場に巨大な太陽光発電(太陽光モジュール約116,000枚、面積146ヘクタール)を建設する計画が進められています」という説明とともに、4つの問題が指摘されていました。
それは(1)不透明な太陽光発電事業の経緯、(2)災害時の太陽光発電の危険性(火災発生時の消火作業が困難を極め、薬莱山周辺に延焼する懸念、自然災害による有害物質の漏出、廃棄費用の不安)、(3)イヌワシやクマタカなど希少猛禽類への悪影響、(4)縄文時代遺跡群がパネルで覆われてしまう可能性、というもの。こうした問題を提起したうえで、小野田地区など地域住民145人の意見を取りまとめています。
業者に対する不信感
145人のうち、絶対反対の立場を表している住民は36人。まず(1)に挙げられた、ゴルフ事業の継続を明言しながら転売したゴルフ場運営会社と、ゴルフ場をメガソーラーに転用を計画している太陽光事業会社に対する不信感は、マスコミにも大きく取り上げられたことで多くの住民に広がっていました。
【住民の声】
「議会では土地を売却する時、ゴルフ場として活用すると説明しており、だまされたという議員も多くいて大変不信感を強く感じております」
「契約段階から勝手に話が進んでいる。信用できない会社」
「説明会に参加したが、説明内容は十分でなく、質問はメールで受け付けるとのことで、不誠実だと思った。ガイドラインを満たしていない」
「事業について反対。業者が信用できない。自然資源を未来に引き継いでほしい」
「この土地は、リゾート・観光資源として活用すべき土地。売買、名義変更が不自然。中国系資本の会社であることが心配」
「社員の態度から信用できない。だましうちでの土地取得は納得できない」
「ゴルフ場を続けることを条件に町から買い戻したなら、町へ返すべき。環境全体が変わり、気温上昇、生態系を壊す行為です。利益を求める道具として加美の自然と私たちの暮らしを壊す権利はありません」
「町人が知らない間の出来事です。水源、地下水、遺跡のある土地。設置を止めてほしい」
「住民の理解を得られない中で計画を実行していくことに憤りを感じる。断固反対」
「再エネ利権の環境破壊は断固反対です。ろくな公示もせず住民の理解どころか、住民の認知(ほとんど誰も)知らないまま、工事を進めることは違反。加美町は、渡り鳥の聖地、遺跡の宝庫です」
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