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- 順位が下位でも関係ない!? 予選会に参加するだけで試合に出場できるカラクリとは?【片山純一フィリピンツアー奮闘記】
世界最高峰のPGAツアーで戦う松山英樹の今シーズン獲得賞金は驚がくの1284万5944ドル(約18億7500万円)だった。そんな天文学的な賞金を手にする選手がいる一方、優勝賞金34万5000ペソ(約90万円)というフィールドで奮闘するプロもいます。日本人にはあまりなじみのない「フィリピンツアー」に参戦する片山純一に、知られざるマイナーツアーの実情について聞きました。
Qスクールに参加しても多くの選手はフィリピンツアーに出ない
みなさんこんにちは、プロゴルファーの片山純一です。僕は今年、フィリピンツアーに参戦しています。
今回は3月に開催されたQスクールについてお話ししようと思います。Qスクールとは日本ツアーでいうQT(クオリファイングトーナメント)のこと。ツアーに出場するための順番を決める予選会です。
日本のQTの場合、下位で終わってしまうと、そのシーズンの試合に出場することがかなり厳しくなります。しかし、フィリピンツアーのQスクールは、予選落ちしても低い順位になったとしても高確率でツアーに出ることができるんです。
それは、「経験の場として」や「試合慣れをしておきたい」という理由でQスクールを受ける選手が多いからです。
アジアには、フィリピンや日本ツアー以外にも、タイツアー、韓国ツアー、オーストラリアツアー、アジアンツアーなどがあります。それぞれのツアーを主戦場にしている選手や各ツアーへの出場権獲得を目指す選手は、練習目的でフィリピンツアーのQスクールに参加しているというわけです。
そういった選手たちにとっては、練習ラウンドが無料という点もフィリピンツアーの魅力の一つです。日本の場合、練習ラウンドでもプレーフィーがかかりますが、フィリピンツアーは指定練習日以外にラウンドする時でもプレーフィーはタダ。
プロゴルファーはキャディフィーとカートフィーだけで練習ラウンドができます。だから僕もQスクールの一週間前から現地に入り、毎日練習ラウンドをしていました。
Qスクールでかかる費用は、エントリーフィの7500ペソ(約2万円)。前回のコラムでもお話ししましたが、他のツアーと比べてとても格安なんです。他に支払ったのは、インシュランス(保険)フィーの100ペソ(約250円)くらいでした。
Qスクール初日、クラブハウスの脇にいた係の女性に100ペソを渡しましたが、これが何の保険代なのか僕もよく分かっていません (笑)。
フィリピン人の次に多かったのは13人参加した日本人
ちなみに、今年のQスクールにはツアープロコーチとして有名な奥嶋誠昭さんも出場していました。奥嶋さんは本業がお忙しいようで、「上位に入ったとしてもツアー参戦はスケジュール的に厳しい」と試合前からおっしゃっていました。
奥嶋さんが教えている安間魁という選手がQスクールに出場するために同行したという理由もあったのですが、「たまには緊張感のある中でゴルフがしたい」、「海外でリフレッシュしたい」というのが参加した主な動機だったようです。
今年のQスクール参加者は100人強でしたが、そのうちフィリピン人は約7割程度。次に多かったのが日本人でした。奥嶋さんや安間選手、僕を含めて13人が参戦していました。
僕たち日本人以外では、韓国、オーストラリア、マレーシア、タイ、アメリカなど、アジアを中心に多くの国の選手がいましたね。
そうそう、Qスクールの順位が下位でもツアーに出場できる理由はもう一つありました。遠征費の問題です。フィリピンは7000以上の島々からなる群島国家。試合場所によっては飛行機で移動しなければいけません。
多くのフィリピン人選手にはその移動費を捻出するのが厳しく、出場を断念せざるを得ません。Qスクールの出場順位がどんどん下りてくるのは、そんな背景もあるんです。
次回はQスクールの開催地だったダバオという街についてお話ししようと思います。
片山 純一(かたやま・じゅんいち)
1989年生まれ、東京都出身。中央学院大卒業。国内ミニツアーで優勝経験有。出身校である日大一中高のゴルフ部のコーチも務める。現在はフィリピンツアーに挑戦しながら国内ツアーの出場権獲得を目指す。ツアープレーヤーとして活躍する傍ら、山田ゴルフ倶楽部(千葉県)・PGM石岡ゴルフクラブ(茨城県)でアマチュア向けにレッスンも行っている。 株式会社TOWA field所属。
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