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- 今年PGAツアーで生まれた「スピース・ルール」と「フィッツパトリック・ルール」って何? 前者は“お腹が弱い”選手に朗報!?
今年、PGAツアーに2つの新しいルールが誕生しました。生まれるきっかけになった選手の名前から、人呼んで「ジョーダン・スピース・ルール」と「マット・フィッツパトリック・ルール」。果たしてどんなルールなのでしょうか?
「ジョーダン・スピース・ルール」=スコアカード提出後15分以内なら修正可能
「ジョーダン・スピース・ルール」と「マット・フィッツパトリック・ルール」。今年、PGAツアーに2つの新しいルールが誕生しました。もちろん正式名称ではありませんが、ともに今季のトーナメントで起こったアクシデントをきっかけに改訂されたルールです(スピース・ルールは正確にはゴルフ規則ではなく、トーナメント運営の規定)。一般ゴルファーには縁のないルールですが、ご紹介しましょう。
松山英樹が優勝した今年2月の「ジェネシス招待」2日目、ジョーダン・スピースはラウンドの途中で体調を崩し、スコアカード提出所(スコアリングエリア)で急ぎスコアカードを提出するとトイレに駆け込みました。ところが、そのスコアカードに過少申告のホールがあり、スピースは失格になってしまったのです。
彼は、トイレに急いでいたためスコアの確認をしっかり行わなかったと自身の非を認め、「僕は間違ったスコアカードにサインをし、スコアリングエリアから出てしまいました。ルールはルールです。全責任は自分にあります」と、失格の処置を素直に受け入れました。
ジェネラルルールでは、プレーヤーは「スコアカードのホールごとのスコアを証明し(=証明のサインをして)、速やかに委員会にスコアカードを提出しなければならない。その後はスコアカードを変更してはならない」(規則3.3b(2))とあり、続く規則3.3b(3)で、提出したホールのスコアが実際のスコアより少ない場合、そのプレーヤーは失格になると定められています。
しかし、問題はこの「提出」の定義です。
実は、「いつスコアカードを提出したとみなすか」は、ジェネラルルールでは定められておらず、各競技の委員会が規定することになっているのです。そして、PGAツアーは他の世界中の主要なゴルフ競技団体と同様、「プレーヤーのスコアカードは、定められたスコアリングエリアからプレーヤーが出た時点で“提出”されたとみなす」(この件に関連してPGAツアーが発表した文書)としていました。
ところが、PGAツアーはこの一件を重視。「スコアカードの誤記によるペナルティーや失格を最小化するために、全米ゴルフ協会(USGA)やR&A、DPワールドツアー(欧州ツアー)とともに、この規定を修正すべく協議してきた」として、6月にスコアリングエリアから離れても15分以内であれば戻って修正できると競技規定を改めたのです。
同様の規定は、国内ツアーでも導入が検討されたようです。結局、今年の導入は見送られましたが、来年は採用されるかもしれません。“お腹が弱い”選手にはちょっとした朗報になるのかも。
「マット・フィッツパトリック・ルール」=ヘッドやフェース面に亀裂で交換可能
今年8月、PGAツアーの年間王者を決めるプレーオフシリーズの第2戦「BMW選手権」最終日でのこと。
マット・フィッツパトリックはラウンドの途中、ドライバーのパフォーマンスに異変を感じ、ヘッドを確認したところ、フェース面に亀裂(ひび)が走っていることが分かりました。彼の飛距離はいつもより数十ヤードも劣っていたそうです。そこで彼はルールオフィシャルを呼び、規則4.1a(2)「ラウンド中に損傷したクラブの使用、修理、交換」で認められる、「適合クラブがラウンド中に損傷した場合、クラブを乱暴に扱った場合を除き、プレーヤーはそのクラブを修理するか、他のクラブに取り替えることができる」による、クラブの取り替えを申請しました。
ところが、そのオフィシャルはクラブフェースの状態をチェックしたうえで、PGAツアーが採用する「モデル・ローカルルールG-9」が定める、クラブフェースが「壊れた、または著しく損傷した」には当たらないとして、取り替えを認めませんでした。
そのローカルルールに記されたクラブフェースが「壊れた、または著しく損傷した」とは、「インパクトエリアが目に見えて変形している」状態であり、「クラブフェースに傷が入っている、亀裂が入っているだけの場合を除く」とあるからでした。
この裁定には本人はもちろん、ツアー仲間やメディアからも「納得できない」との声が多く上がりました。
そして、これがひとつのきっかけだったのでしょう。R&AとUSGAは「モデル・ローカルルールG-9」を改訂。2025年1月からはクラブフェースやヘッドの亀裂、ヘッド内部から聞こえる“カラカラ音”、シャフトの凹みやねじれなども、新たに「壊れた、または著しく損傷した」に当たるとして、そのクラブの修理や取り替えを認めることになりました。
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