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- オッサンが若い者にマウントをとるため? 大叩き防止の公式ルールが普及しない謎/木村和久『ゴルフ=レジャー宣言』
「ゴルフはスポーツか? それともレジャーか?」――600万人ともいわれるゴルファーのなかでは見解はさまざまだと思いますが、あなたはどう考えますか? ゴルフを筆頭に、平成~令和の日本を縦横無尽に遊び尽くしてきたコラムニストの木村和久氏が、浅いのか深いのかよく分からないこの問いを考察していきます。
“委員会”は「パーの2倍」など最大ストローク数を設定できる
今回は6年前から大叩き防止の公式ルールが施行されているにもかかわらず、誰もそのルールを使おうとしない不思議な現象をお伝えします。

その話をする前に、まずビギナーがルール通りにゴルフをやると、いかにつらいかという話から書かせていただきます。
ここに初めてコースデビューをする女性がいるとします。最近ゴルフデビュー日を「Xデー」と呼ぶ人もいるようですが、ビギナーにとっては、それほどプレッシャーのかかる大変な日です。
その日の同伴メンバーは、上手な男性ゴルファーの有志たちです。記念すべき第1打、みんなが固唾をのんで彼女を見守ります。バシーン。見事ボールに当たりました。けど、ボールはスライスし斜面を下って崖下へ転がりました。
気の利く同伴メンバーは、ボールの転がった地点に小走りで向います。そしてボールを見つけ、大きく手を広げ「セーフ」と叫び「良かったね。さあ、ここからノーペナで打てるよ」と“優しく”サジェスチョンします。――え~、これが正解なんですか?
コースデビュー1ホール目から、崖下の難易度の高いショットを女性に強いるのは、かなり厳しいように感じます。
こういう時はボールを拾ってフェアウェイに戻し「ノーペナで打って」と言ってあげましょう。デビュー戦は、その後もゴルフをやりたいと思わせることが大事で、伸び伸びラウンドしてもらうべきかと。相手が女性に限らず、若い「ビギナーくん」でも、ある程度年齢のいった「レートビギナーさん」でも同じです。
それをデビュー戦は一生の思い出だからって、「153」とか厳密にスコアを付けなくてもね、血圧じゃないんだから。
そう書くと、「それはゴルフじゃない」「ルールを守れ」「ゴルフへの冒涜だ」と騒ぐ人もいますけどね。
じゃ、せっかくなので、ルールを守った男のデビュー戦の話をします。さるメディア業界人が2~3回練習場に行っただけで、付き合いのコンペに参加しました。その人は1回打つとダフってゴロゴロ、またダフリでゴロゴロでした。
しかもコンペだから誰もプレーを止められず、ルール通りにラウンドし、1ホールで20打ぐらい叩きました。これはもはやハラスメントですね。苦行というかイジメというか、しかも超スロープレーだし。結局、その人は後日ゴルフをやめました。
デビュー戦はどう振る舞うべきか? 何が正解か私も試行錯誤中です。ただビギナーやエンジョイ派を救済できる、魔法のルールがあることだけは伝えておこうと思います。
そのルールは「最大スコアを決められる」というものです。始まったのは2019年で、「グリーン上でピンを挿したままカップインさせてOK」というルールが始まった時期と一緒です。
その時は同時に、OBの場合、日本独特の前進4打に近い処置がローカルルールで設定可能になったり、バンカーは2罰打で外にアンプレヤブルできるなど、画期的なルール改正が施行されました。
それはR&A、USGA及びJGAが、初心者でも楽しめて、かつプレー時間短縮をしよう決めたルールです。その中の一番の目玉が最大スコアの設定です。
ルールブックから要約しますと「委員会が設定した最大ストローク数(例えばパーの2倍)に制限する形式である」(規則21.2)となります。
つまりラウンドを仕切る人が「今日は全ホールをダブルパーカットにする」と決めれば、全ホールでこのルールが適用されます。ショートホールで大叩きしても、パー3の倍の6で打ち止め。叩いた段階でプレーをやめてOK、そして6と書けば、それが正式スコアになります。このルールは主催者が認めれば、ゴルフコンペや月例競技でも適用できます。
ゴルフ場で「当クラブは最大スコアを推奨しています」と張り紙しては?
やった~、これで金輪際大叩きとおさらばじゃん。いくら叩いてもパーの倍だから、最高で144(ダブルパーカットの場合)のスコアを超えることはないですね。
ルール改正以降、みんなが最大スコアを使いだすと思ったのですが、現実は違いました。最大スコアを使っている人を見たことがないのです。
どうやら最大スコアに難色を示す人がいるようです。その人たちは“ちょっと”うまいアマチュアゴルファーです。平均90前後でラウンドする人は、下手な人が最大スコアの採用で叩かなくなると、面白くないのです。気を抜けばこっちが負ける場合がありますから。
もしビギナーがルールブックを楯に最大スコアルールを進言しようものなら、うまい人から「なに眠たいことを言ってんだ、下手がちょろちょろ小細工するな」と説教されかねません。
私も「最大スコアでやろう」と言って、何回も無視されました。どうやら日本人の国民性として、“信賞必罰”が好きみたいです。やった罰は必ず受けるべしと。自分らはちゃんとゴルフをやっているんだから、お前らもズルをせずにやれということです。ルールブックにも記載されているれっきとした競技形式なので、ズルでも何でもないんですけどね。
だから最大スコアを普及させるには、もっとメディアで宣伝したり、ゴルフ場で推奨しないといけません。
メディアで最大スコアの特集を組んだり、ゴルフ場の掲示板に「当クラブは最大スコアを推奨しています」と張り紙して説明すれば良いのです。
一方、最大スコアはR&A、USGAの外圧という面も持っており、日本のゴルフ文化には合わないかも。そういう意見もあります。
この記事を発火点に、最大スコアをどう受け入れるか、考えて頂きたいです。個人的にはビギナーやエンジョイゴルファー、120以上のスコアの人は、最大スコアを活用していいと思いますけど。いかがでしょうか。
文/木村和久
1959年生まれ、宮城県出身。株式投資から大衆文化まで、さまざまなジャンルで“現代”を切り取るコラムニスト。有名ゴルフ媒体へも長く寄稿してきており、スイング理論やゴルフ場設計にも造詣が深い。近年はマンガ原作者としても活躍。
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