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- マスターズの“消えた面白イベント” 昔は“ミスコン”に“釣り大会”に“YouTuberっぽい挑戦企画”と何でもアリだった!?
マスターズに先立って行われるイベントといえば、現在は「オーガスタナショナル女子アマチュア」や「チャンピオンズディナー」、「パー3コンテスト」が有名ですが、かつては少し風変わりなイベントがいくつか行われていました。
パー3コンテストやチャンピオンズディナーだけじゃなかった
今週はマスターズ・ウイーク。世情はどうあれ、ゴルフファンは今から胸をときめかせていることでしょう。

この“ゴルフの祭典”に先立って行われるイベントといえば、現在は前週開催の「オーガスタナショナル女子アマチュア」と全米のジュニアが集う「ドライブ・チップ&パット」、火曜日の夜の「チャンピオンズディナー」、そして水曜日の「パー3コンテスト」ですが、かつては今の感覚からすると少し風変わりで興味をそそるイベントがいくつか行われていました。
1)ミス・ゴルフ・コンテスト
フェミニズム運動やルッキズム批判から廃止や基準の見直しが進む「ミスコン」、いわゆる「美人コンテスト」。日本でも、往時はあちこちで様々なミスコンが行われていました。そして、マスターズでも1957~67年の間、「ミス・ゴルフ」というタイトルのコンテストが開催されていました。
コンテストはマスターズ・ウイークの初めに実施。優勝者、つまり女王の戴冠式はマスターズ開幕の前夜に行われ、賞金のほか、フットジョイのゴルフシューズなどの賞品が贈られました。
女王はさらに「ミス・ゴルフ」のタスキを着けてマスターズの表彰式に登場。チャンピオンにトロフィーを手渡し、カメラの前で一緒にポーズをとっていました。
地元紙の「オーガスタ・クロニクル」紙は社説で「ミス・ゴルフ・ペイジェント(コンテスト)は、美しいイベントにさらに美しさと興奮を加える、マスターズ・ウイークのハイライトの一つです。ミス・ゴルフの女王はマスターズのチャンピオンとともにこの週の“輝き”であり、今やマスターズトーナメントの主要なサイドアトラクションとなりました」と称賛しています。
2)マスターズ・パレード
メジャーリーグのオールスターゲームでは、ゲームに先立って出場選手たちがオープンカーに乗るなどして開催地をパレードします。同様のパレードがマスターズでも1957~64年まで行われていました。
前述の「ミス・ゴルフ」の女王も参加するパレードは、地元のビジネスマンによって設立された「マスターズ・ウイーク・オブ・オーガスタ」という会社がトーナメントのプロモートと集客を狙って企画したもので、他にも馬のショーや小型飛行船の編隊飛行といったアトラクションが展開されました。
アメリカでは、ニューヨークのマンハッタンで行われる「メイシーズ・サンクスギビングデー・パレード」やカリフォルニア州パサディナで開催される「ローズ・ボウル」(カレッジフットボールのビッグゲーム)の「ローズ・パレード」が有名ですが、オーガスタも街を挙げて、この「マスターズ・パレード」を全米的なイベントにしようと取り組んでいたそうです。
3)ゴルフ・クリニック
第2次大戦中の1943~45年の3年間、トーナメントは中止されました。再開最初の46年、マスターズは大会を成功させるために、月~水曜日の練習ラウンドから有料のパトロン集めに様々なエキシビションを企画しました。
その一つが、ベン・ホーガンやサム・スニードといった名選手による「ゴルフ・クリニック」です。これは好評だったようで、プロのレッスンを大勢のパトロンが見つめる画像が残っています。
期間中には、他にもトリックショットのショーやアイアンショットのコンテスト。さらには、マスターズを一躍有名にした1935年大会におけるジーン・サラゼンの15番パー5でのダブルイーグル(アルバトロス)の再現を選手たちに挑戦させるエキシビションも行われたようです。今ならゴルフ系のYouTuberがやりそうな無茶な挑戦企画です。
これらのイベントは「パー3コンテスト」がスタートする1960年の前年まで開催されていました。マスターズにもパトロン集めに苦心した時期があったのです。
4)ドラコン大会
前述の集客企画のなかで最も人気のエキシビションが「ロングドライブ・コンテスト」、いわゆる「ドラコン」でした。
このコンテストはやや打ち下ろしの1番ホールを舞台に実施され、歴代優勝者にはサム・スニード(1948年、290ヤード)、マイク・スーチャック(1956年、294ヤード)などがいます。1957年大会では、マイク・フェチックが351ヤードという驚異的なドライブを記録しています。
5)バス釣り大会
オーガスタナショナルの池やクリークには、かつては多くの魚が生息していました。
このコースをこよなく愛し、「アイク」の愛称で知られたドワイト・アイゼンハワー(第34代アメリカ大統領)は、ゴルフとともに釣りの愛好家で、彼のために建てられたロッジ「アイクズ・キャビン」(10番ホールの横)に泊まっては、敷地内で釣りを楽しんでいたそうです。
その彼のために造られた池が「アイクズ・ポンド」で、現在はパー3コースの8番、9番ホールの池になっています。
公式なイベントではありませんが、サム・スニードやファジー・ゼラーといった釣り好きたちは、ここでのバス釣りを目的に早めに会場入りし、釣果を競っていたそうです。
※ ※ ※
なんというか牧歌的ですよね。今や世界的な一大イベントとなったマスターズにも、そんなのどかな時代があったのです。
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