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コラム

「インチキだ」「ルール違反だ」とブーイング浴びても愛用してきた高反発クラブをやめた理由とは?/木村和久『ゴルフ=レジャー宣言』

2025.04.16 木村和久(コラムニスト)
ゴルフギア ドライバー マナー ルール

「ゴルフはスポーツか? それともレジャーか?」――600万人ともいわれるゴルファーのなかでは見解はさまざまだと思いますが、あなたはどう考えますか? ゴルフを筆頭に、平成~令和の日本を縦横無尽に遊び尽くしてきたコラムニストの木村和久氏が、浅いのか深いのかよく分からないこの問いを考察していきます。

飛ばない系は何でもこっそり買えということですか?

 2010年代後半ぐらいから、「高反発クラブ」なるものがバンバン売り出されました。

 ゴルフ雑誌で仕事をしている関係でたくさん試打をしました。結果、相性の良い「P」というブランドのクラブを選び、しばらく使うことに。

少しでも飛んだほうがゴルフは楽しいという人も多いですが… 写真:PIXTA
少しでも飛んだほうがゴルフは楽しいという人も多いですが… 写真:PIXTA

 飛ぶというけど、どんだけのものか? 試しにと飛距離の実験をしてみます。実際にコースを借りて、10球ぐらいずつ同じところからティーショットを打ってみました。

 高反発クラブは、通常のクラブより平均10ヤード程飛びましたかね。これが今日イチのバカ当たりした時は、20ヤード以上も飛びます。かなり使えるギアと認識しました。

 ところが、優秀なものには落とし穴あります。高反発クラブはR&AとUSGAが定めた正規のレギュレーションをクリアしていません。だからクラブ競技には使えないのです。

 けど、競技は卒業して当分出る予定はなし、プライベートコンペぐらいなら問題ないという意見も多いので、実戦導入することに。使い始めて1~2年は10年前ぐらいの飛距離に戻れて、コンペなどでも大活躍をしました。

 これでバンザイと思うでしょう。けど、高反発クラブを使って目茶苦茶飛ばすと、「インチキだ」「ルール違反だ」「反則だ」とブーイングが多いのです。珍しくドラコンなんか取った日には「反則だ、ドラコンの資格なし」と、半ギレで言われましたからね。

 高反発クラブは、そもそも飛距離の衰えたシニア向けに作っており、60歳を過ぎた自分にはぴったりのクラブだと思ってました。

 でも、堂々と買って堂々と使うものじゃないみたいです。実際、この種のクラブは街のショップより通信販売が強いようですし。これは精力剤やアダルトグッズの販売方法と似ていますね。飛ばない系は、何でもこっそり買えということですか?

 そうやって文句を言われながら、高反発クラブを使っていたのですが、転機が訪れます。

 3年前に茨城の扶桑カントリー倶楽部に入会しました。その時、月例競技Bクラスの場合、レギュラーティーで打てることが分かりました。

 これなら、自分も競技に参加して上位に食い込めるかもしれない。じゃあ、高反発クラブはまずいな。扶桑CCをラウンドする時は、低反発(ルール適合)クラブでラウンドしようとなった次第です。

 そういうわけで、今度はホームコースを低反発クラブ、ほかの付き合いラウンドで高反発クラブを使う、変則ゴルフとなりました。

 そしてある時、低反発クラブと高反発クラブ使用時のスコアを比較してびっくり。スコアはさほど変わらなかったのです。

 そうなると、高反発クラブは卒業しても良いと思い始めました。気になったのは、やはり雑音の多さです。

 高反発クラブを使う日は、いろいろ言われることが多かったです。別にニギッたりスコアを競ったりしているわけではないのですが、チクチク言われます。

藤子A先生やいつかのおじいちゃんみたいなゴルフをしたい

 そして、低反発クラブ1本に絞ろうと決心したのは、漫画界の巨匠とラウンドした時のことを思い出したからです。

 その方は漫画「プロゴルファー猿」でおなじみの藤子不二雄A(正しい表記は円内にA)先生でした。昔、先生に可愛がってもらい、いろいろなゴルフ場に連れていってもらいました。

 東京よみうりカントリークラブでは当時の所属プロを紹介され「この人がプロゴルファー猿のモデルになったんだよ」と言われました。「似てますね~」とも言えず、えらく恐縮したのを覚えています。

 そんな藤子先生とのラウンドですが、先生はさほど飛ぶタイプではないので、パー4だと3打目が80~100ヤードぐらい残るものの、そこをちゃんと高い球で乗せてボギーを取ってきます。

 そうやって、徒歩でシニアティーも使わずラウンド。いつも90台前半のスコアで上がってくる姿を見て、あ~、こういう風にシニアのゴルフをやるべきなんだと思った次第です。

 だから70代まではレギュラーティーで頑張ります。そして80代になったらどうするか? そのヒントはこの体験です。

 85歳ぐらいのおじいちゃんと、一人予約ゴルフで一緒になり、楽しい1日を過ごしました。そのおじいちゃんは、最初はみんなと一緒の白ティーで打っています。球筋は安定しているけど、さすがに飛びません。

 そして途中、長いパー4に遭遇したときです。おじいちゃんは「年寄りなもので……」と言ってシルバーティーの方へ向かうのです。じゃ、毎ホールシルバーティーで打てばいいと思うけど、多分まるまる年寄り扱いされるのが嫌なんでしょう。

 ハーフを上がって食事をするや、前半はなんと42、シルバーティーを3回ぐらい使ったけど、それでも凄くないですか?

 話を聞いたら、毎月2回ぐらいエージシュートを達成しているそうで、その日後半もスコアをまとめ、見事決めていました。

 というわけで、今後、高反発クラブは使わずにレギュラーティーでのラウンドを重ねます。そして80歳を超えたら、時々シニアティーを使いましょうか。

 エージシュートの資格は、日本エージシューター協会が6000ヤード以上のコースでと決めているそうです。

 おじいちゃんになったら、時々シニアティーを使い、全長5000ヤード程のコースでいいから、エージシュートを達成したいなあ。

 そしたらまたズルをしてると言われるでしょう。そんな文句を言う人も、末永くゴルフをやっててほしい。それはそれで励みになりますから。お互いイガミ合う方が長生きできるって言うじゃないですか……って、そういうこと!?

文/木村和久
1959年生まれ、宮城県出身。株式投資から大衆文化まで、さまざまなジャンルで“現代”を切り取るコラムニスト。有名ゴルフ媒体へも長く寄稿してきており、スイング理論やゴルフ場設計にも造詣が深い。近年はマンガ原作者としても活躍。

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