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大衆ゴルフ文化の原点が川底に沈む!? 都心に近く人気の「河川敷コース」が次々に閉鎖・縮小のなぜ?/シリーズ『ゴルフ場減少時代』
多くの著名人にも愛された川越グリーンクロス(埼玉県)が今年いっぱいで58年の歴史にピリオドを打つことが発表されました。国による河川敷の「占用解除」によるものです。
「占用解除」は河川敷ゴルフ場にとって死刑宣告に等しい
「占用解除」。国土交通省からこの言葉が発せられた時、河川敷ゴルフ場は“死刑宣告”を受けたに等しい状態になります。
占用を解除された河川敷の土地は、基本的には国のもの。「これまではずーっと、ゴルフ場の占用を許可してきたけど、解除するから出ていってくださいね~」という意味です。

多くの著名人にも愛された川越グリーンクロス(埼玉県)が今年いっぱいで58年の歴史にピリオドを打つのも、この「占用解除」によるものです。季節ごとに変わる空の色、川面からやってきて頬をなでる風、耳に残る鳥のさえずり……。人生の1ページにここでの思い出を刻んだゴルファーたちからは、切なくも哀しい嘆きの声がもれています。
※ ※ ※
プロ野球やサッカーの実況でおなじみのフリーアナウンサー・師岡正雄さんにとって、川越グリーンクロスは特別な場所です。福岡のKBC朝日放送から東京のニッポン放送へと勤め先を変えて、移り住んだのが奥さんの実家に近い浦和。
「車で15分もあれば行けるこのゴルフ場は義父がメンバーで、よく一緒にラウンドさせてもらいました。クラブハウスから船で川を渡ってコースに行くのがまた、風情があって良かった。各ホールから川まで距離が結構あるので、ラウンド中はむしろ林間コースで回っている気分になるホールもある。その後、娘ともここでプレーするようになりました」
普段はできない、親子の会話。3代続くストーリーはさまざまな記憶に彩られています。「ハーフターンの時に食べる『スタミナ鉄板焼き』がうまいんです。河川敷コースのレストランはカジュアルな雰囲気が良くて、カレーなんかもおいしいところが多い」。のんびり回れる河川敷のゴルフは、初心者にもやさしくて、多くのゴルファーを生み育ててきた場所でもあります。
その川越グリーンクロスの閉場が発表されました。
〈いつも川越グリーンクロスをご愛顧いただき誠にありがとうございます。
荒川整備事業により占用継続可能範囲が縮小され、現行通りのゴルフ場運営を
続ける事が難しい状況となります。
協議の結果、2025年12月31日をもちまして川越グリーンクロスはゴルフ場の運営を終了し閉鎖します事をお知らせ致します。
長年に渡りご愛顧いただき感謝申し上げます。
残りわずかとなりますが、皆様のご来場お待ちしております。〉
(同コースの公式サイトより)
多くのゴルファーに愛されたゴルフ場がまた一つ、消えていくことになりました。
荒川治水事業に関係する他のゴルフ場も余儀なく大幅縮小
総事業費1670億円。荒川の治水事業に関係するこのエリアには、上流から大宮国際カントリークラブ、川越グリーンクロス、大宮カントリークラブ、ノーザンカントリークラブ錦ヶ原ゴルフ場(いずれも埼玉県)と、4つのゴルフ場が連なっています。

例えば大宮国際。45ホール・パー180のこのゴルフ場は、川岸良兼・喜多麻子と両親をプロゴルファーに持つ川岸史果が、ジュニア時代から家族で回ったコースとしても知られています。
2020(令和2)年6月、国交省から占用解除を通告され、24(令和6)年4月から9ホール縮小する事態に直面しましたが、工事の予定が変更され、それはいったん白紙に。この時に「2026(令和8)年3月末に、荒川左岸の官地の占有許可を解除する」との内容に変更され、占有許可は2年延長されました。工事着手が延びたことは朗報でしたが、国有地の返還は避けられない状況にもなったのです。
一方で、このコースの強みは敷地内に民有地があるところ。「それをうまく利用して、コースの存続を図りたい」(関係者)。グリーンクロスのような閉場という最悪のケースは避けられそうですが、約10万人(推定概算値)の入場者を集める45ホールから大幅なホール数の削減が避けられない状況。入場者の大幅減も必至の状況です。
ノーザンCC錦ヶ原G場も、かつて43ホール・パー173で、年間13万~14万人(推定概算値)の来場者を誇る大型ゴルフ場でした。しかし21(令和3)年8月末日に18ホール、23(令和5)年9月末日に9ホールの占用が解除されてしまい、残されたのはわずか16ホールとなってしまいました。そこで、23(令和5)年10月1日から2ホールを増設し、18ホールのゴルフ場に生まれ変わりました。現在も約8万人超(推定概算値)の来場者があり、今後もこの形で営業を続けていくとのことです。
“ミスター・レッズ”としておなじみの福田正博さん(元サッカー日本代表・J1浦和)も、自宅から近いノーザンや浦和GCに足しげく通い、スムーズに100切りをした思い出話を語ってくれています。
「サッカースクールの仕事が夕方から。午前中、もしくは午後1時くらいには終わるように、朝早くから回っていました。この後どんどんゴルフにハマっていって、いろんな人とゴルフを通じてのご縁が広がっていきましたね」
大宮CCもこれまで受難続き。10年(平成22年)に堤防工事で36ホールの営業から27ホールに縮小され、昨年1月、さらに9ホールの占有が解除されて現状は18ホール。「ウチとノーザンさんは(占有解除が)もう終わりました」(関係者)とのことなので、15年前に比べると半分のホール数になってしまったものの、ゴルフ場として存続できることは確かなようです。しかし27ホール当時の約7万人から現在はおよそ5.5万人(いずれも推定概算値)程度まで減ってしまっているはずです。
約8万2000人(推定概算値)を集めていた川越グリーンクロスの27ホールは完全に消滅することが決まっているだけに、首都圏のゴルファーにとって、河川敷で気軽にプレーできる場が激減することは間違いありません。
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