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廣野GCから旧・岐阜県庁へ!? 「JGAゴルフミュージアム」の移転先に浮上か 【小川朗 ゴルフ現場主義!】
旧・岐阜県庁の利活用についての公募プロポーザルで、ゴルフをはじめとするミュージアムとホテルを含む複合施設の計画を提出した事業者が、優先交渉権を獲得しました。JGAゴルフミュージアムの移転先として有力になるかもしれません。
日本初のゴルフ場・神戸GCを初めてプレーした日本人が岐阜出身
12月26日、岐阜県岐阜市の中心街にホテル付き総合ミュージアムが誕生する計画が明らかになりました。
この施設、今日12月27日に閉館式を行う「JGAゴルフミュージアム」(兵庫県・廣野ゴルフ倶楽部)の移転先として最適な場所にもなりそうです。
プロジェクトの中心人物は岐阜在住の会社経営者である國江仙嗣氏。岐阜県の旧庁舎を保存活用するプロポーザルに申し込むため、今年5月に一般財団法人の「ワールドヘリテージ財団」を設立しています。
800坪ほどの増築をして1階に自動車ミュージアム、ゴルフミュージアム、工芸ミュージアムを展開し、2、3階にホテルを誘致する計画を提出。12月26日、正式に選定されました。岐阜県の旧庁舎をリノベーション。ゴルファーやゴルフ場に負担をかけず、JGAからの出費も最小限に済みそうな施設だけに、今後の成り行き次第では「JGAゴルフミュージアム」移転先の最有力候補として注目を集めそうです。

※ ※ ※
なぜ、岐阜なのか。その疑問について、國江氏は「実は小倉庄太郎・末子兄妹が岐阜の大垣藩出身なんです」と語ります。
小倉兄妹は日本初のゴルフ場である神戸ゴルフ倶楽部を最初にプレーした日本人。1903年、神戸GCが兵庫の六甲山中にオープンした2年後に入会しています。
その小倉兄妹が岐阜の出身。日本ゴルフ史・黎明期におけるキーパーソンのルーツは岐阜にあり、というわけです。こうした日本ゴルフ史の黎明期における事実は、ゴルフミュージアムに所蔵されている『西村貫一コレクション』の1冊に記されています。小倉兄妹にゆかりのある岐阜に、多くの貴重な資料がやってくるというのも、偶然ではないような気がしてきます。
さらに國江氏は、こう続けます。
「私も個人でミュージアムを作ろうということで、5年ほど前に動いて実は建築に取り掛かっていたんです。私の本社にあった古い蔵とか、そういうものを改装して作ろうと思ったんですが、建物をどれだけ設計してもどれだけ工夫しても、やっぱりいいものが作り上げられなかった。でも、この旧庁舎は建物自体がRC(鉄筋コンクリート)建築物の県庁舎では、日本で2番目に古い建物なんですよ。新築の建物では再現できない、時を重ねた独特の歴史価値と美しさを備えているんです」
旧庁舎は1924(大正13)年に竣工。昨年で築100年を迎えた鉄筋コンクリート造りの県庁舎としては日本最初期のモダニズム表現が施された貴重な建築物として位置づけられています。実はJGAの設立年も同じ1924年。昨年、創立100周年を迎えました。「ここにご縁を頂いたと思っています」と、國江さんもしみじみ語ります。
旧庁舎の中で特に注目されるのが、学術的にも価値が高いとされるシカマイヤ(2枚貝の化石=2億5000万年前)の化石。玄関ホールなどの大理石に、その巨大な2枚貝が存在した証拠を見ることができます。ゴルフ史を彩った貴重な資料の数々を収納するにふさわしい建造物であるに違いなさそうです。
「車や工芸品を見にきて、ゴルフの展示にも来てくれるようになれば」
その一方で、築100年の歴史的建造物を次の時代につなごうとすれば、最低限の修復を施しつつ、耐震工事も行わねばなりません。当然莫大な費用がかかるはずなのですが、國江氏はその大半を負担することを明かしています。
同氏はすでにオーガスタナショナルGCのグリーンジャケット(正式にはグリーンコート)を所有するなど、ゴルフ関連の収集家として知られていますが、レース用のワークスカーコレクターとしても著名な人物。現時点で展示物の価値は、ミュージアムとして十分と思えます。

「車や工芸品を見にきて、ゴルフの展示にも来てくれるようになれば」と國江氏。ゴルフのすそ野を広げるためには、一般の方々にゴルフへの興味を持ってもらうのが大事。車や工芸品目当てでも、ゴルフの歴史に触れてもらえれば、その存在に興味が湧いてくる可能性もあるでしょう。
一方で廣野GC内にある現ゴルフミュージアムに、ゴルファー以外の人々が訪れる可能性はゼロに近いのは確か。それは数字にもはっきりと表れています。同ミュージアムの入場者は一昨年が659人、昨年も日本アマチュア選手権が開催されたのにもかかわらず653人と伸び悩んでいます。入場料200円を払ってまで、名門・廣野の門をくぐってやってくる人々を増やす手も打てないまま低迷が続き、ついには今年いっぱいで閉館となってしまいました。
移転先は未定のままですが、今回のプロポーザルで國江氏の案が採用されたことはJGAにとっても朗報に違いありません。ゴルファーから1ラウンド当たり50~100円を徴収し、60億円を捻出する案を検討していたJGAサイドに、資金面でははるかに楽な選択肢が生まれたのは紛れもない事実です。27日の閉館式でJGAの関係者が岐阜移転の可能性についてどう語るのか。注目が集まります。
取材・文/小川朗
日本ゴルフジャーナリスト協会会長。東京スポーツ新聞社「世界一速いゴルフ速報」の海外特派員として男女メジャーなど通算300試合以上を取材。同社で運動部長、文化部長、広告局長を歴任後独立。東京運動記者クラブ会友。新聞、雑誌、ネットメディアに幅広く寄稿。(一社)終活カウンセラー協会の終活認定講師、終活ジャーナリストとしての顔も持つ。日本自殺予防学会会員。(株)清流舎代表取締役。
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