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- PGAツアーで起きた奇跡の“バンカー事件” ボール同士がぶつかって止まったらルール処置は?
同じバンカーに2つ以上のボールが入り、「仲良しですね」などと言って同伴者と笑い合う光景はよく見られますが、もし一方の球にもう一方が当たり、すぐそばに並んで止まった場合、どんな処置をすればいいのでしょうか?
マークをしてボールを拾い上げてもらったうえで横に移動してもらう
ゴルフでは確率0.0001%レベルの超レアなハプニングが案外起こるものです。
昨年10月のPGAツアー競技「サンダーソン・ファームズ選手権」の第3ラウンドでのこと。15番ホールでギャリック・ヒゴのティーショットはグリーン右手前のバンカーに入ってしまいます。斜面に落ちたボールは砂の上に軌跡(溝)を作りながら転がって斜面の途中で止まります。
次に打ったエリック・コールのティーショットも同じバンカーへ。そして、あろうことかヒゴのボールが作った軌跡に乗って斜面を転がり、最後はヒゴのボールに当たって止まりました。
当てられたヒゴのボールは、前方に動かされただけでなく、砂の中に押し込まれて“目玉”になってしまいます。

このときの両選手の処置ですが、まず“遠球先打”で先にストロークするヒゴは規則15.3b「プレーの障害になるコース上の球」の規定で、コールに対し、マークをしてボールを拾い上げてもらったうえで、さらにプレーの障害にならないよう横に移動してもらうことができます。ここでは、コールはマークを1クラブレングス横に動かしました。なお、この際にコールはボールをふくことはできません。
次に、ヒゴはボールが元あった箇所にリプレースします(規則上、動かされたボールはリプレースしなければなりません)。
そして、バンカーショット後、ヒゴはライを元の状態に修復。そこにコールはボールをリプレースし、プレーを続けました。
このときのコールは規則8.1d(1)「悪化した状態の復元が認められる場合」に該当し、「出来る限りほぼ同様に元の状態に復元する」ことができたのです。
別の人の行動や外的影響によって変えられた状態の復元が認められるケース
この規則8.1d(1)では、元の状態に復元する過程で合理的必要性があるときは「球の箇所をマークして拾い上げて、ふいて、その球を元の箇所にリプレースする」ことが認められています。
例えば、ガードバンカーとグリーンの間のカラーに止まったボールの上に、他のプレーヤーのバンカーショットで飛ばされた砂が飛び散ったとき、プレーヤーはボール周りやライン上の砂を払いのけるとともに、ボールを拾い上げてふくことができます。
また、全米ゴルフ協会(USGA)が先日SNSにシェアしたルール動画では、次のようなケースが取り上げられています。
プレーヤーのボールはグリーン手前の花道に止まっていました。そこからはパターで転がしてアプローチすることができます。
ところが、次に打った同伴プレーヤーのボールがそのライン上にピッチマークを作ってしまいます。
動画では、このような場合、プレーヤーはライン上に新たにできたピッチマークをならし、元の状態に修復することができると解説されています。
このケースは、R&A発行の「ゴルフ規則オフィシャルガイド」で規則8.1d(1)/1「別の人の行動や外的影響によって変えられた状態をプレーヤーが復元することが認められる例」の中で「プレーヤーのプレーの線が、そのプレーヤーの球が止まった後に誰かがプレーした球が作ったジェネラルエリアのピッチマークによって悪化した」として掲げています。
ただし、その際には、同じライン上でもジェネラルエリアに以前からあったピッチマークなどの不整地を修復することはできません。
「ゴルフ規則オフィシャルガイド」では「復元することが認められる例」として、その他に「プレーヤーのライ、意図するスタンスやスイング区域が、別のプレーヤーのストロークがディボット跡を作ったり、プレーヤーの球の上や周辺に砂、土、芝草、他の物質を堆積させたときに悪化した」場合や、前述のエリック・コールのケースに当たる「(バンカー内で)別のプレーヤーがストロークを行ったときのスタンスやスイングがプレーヤーのストロークに影響する状態を悪化させた」といったケースを例示しています。
しかし、こうした復元については「必ずしもそうする必要はない」ともあります。復元に時間をかけすぎてスロープレーにならないよう注意が必要です。
文・小関洋一
出版社、編集プロダクションを経て83年からフリーランスライターに。テレビ誌・トレンド誌などで主にスポーツに関する記事を執筆。テレビ、ラジオのスポーツ番組の構成も手掛ける。その後はゴルフ誌やネットメディアで内外の最新情報やゴルフ場レポート、ルール解説を執筆。JGAやKGA競技のオフィシャルライターも務める。東京ゴルフ倶楽部や日本ゴルフ協会の年史制作に携わっており、ゴルフ史に関する執筆機会も多い。
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