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コラム

“クルマ移動必須”部活ゴルフの現状は? 磐越道バス事故で再点検される安全対策 【小川朗 ゴルフ現場主義!】

2026.05.19 小川 朗(日本ゴルフジャーナリスト協会会長)
アマチュア競技 ジュニアゴルフ 小川朗 ゴルフ現場主義!

磐越道で起きた高校ソフトテニス部の痛ましい事故。ゴルフ場に行くためにはクルマが必須のゴルフ部となれば、なおさら心配です。松山英樹の母校から小所帯のゴルフ部まで、部活ゴルフにおける移動の現実を取材しました。

明徳義塾は「旅客事業の基準に準じて校内規則」

 磐越自動車道で北越高校(新潟市)の男子生徒1人が死亡したマイクロバス事故は、高校ゴルフ部の保護者や関係者にも衝撃を与えました。ゴルフ場は郊外にあることが多く、公共交通機関を使うことが難しいからです。

 松山英樹や横峯さくらを輩出した明徳義塾中学・高等学校(高知県須崎市)も、事故の翌日に全体集会で注意喚起をしています。2010年の中四国オープン優勝者でもある同校のゴルフ部監督・高橋(砂入)雅之氏は「校外の練習場に行くときはもちろん、学校のバスを利用して行くということですね。中型や大型免許を持ったクラブ顧問が運転しています」としたうえで、こう続けます。

「うちの学校は全寮制に近いんですが、高知市内からの通学生が10%ぐらいおります。遠征に行く際は、ほぼ私たちのバスに途中で乗車して途中で下車するという形ですので、基本的に遠征バスは一緒です。生徒も試合で遠征に行くと、高速道路を通るときに疲れて寝ている子がいます。寝るのはしょうがないんですが、高速道路や速く走るときは必ずシートベルトを全員つけるようにしましょうという話し合いをしました。疲れていると思いますが、自分の身を守るということで」

やはり教員がマイクロバスを運転して引率というパターンは少なくないようだ(写真はイメージ) 写真:PIXTA
やはり教員がマイクロバスを運転して引率というパターンは少なくないようだ(写真はイメージ) 写真:PIXTA

 別の同校関係者にも今回の北越高校の事故についてたずねると、「もちろん他人事ではありませんので、いま一度襟を正して安全運行に努めていかねばならないという部分は、校長をはじめ先生方と確認したところです」という答えが返ってきました。

 この関係者はさらにこう続けます。「当校が所有しているバス、マイクロバスは、旅客事業の基準に準じて校内規則を設けております。それに準じて先生方が運営されます。また、学校が直接雇用している車両課のドライバーさんが応援に入って運行のサポートに入ることもあります」。

 同校の生徒数は中高合わせて832人。ゴルフ以外のスポーツでも有名選手を輩出している強豪校とあって、バスの台数には驚かされます。「29人乗りのマイクロバス7台、45人乗りの大型バスが3台、55人乗りの路線バス型大型バスが2台、観光バス型の55人乗りと41人乗りのショートサイズが各1台、稼働している車両になります」(同校関係者)。

 バス会社と見まがうような台数を保有し、教員が運営し直接雇用のドライバーもサポートする体制が組まれており、安全対策にも注力していることがうかがえます。ゴルフ部の場合は「そんなに大きなバスはいらない」と前出の高橋監督。

 例えば昨年の「日本ジュニア」(8月22~24日、埼玉県・霞ヶ関CC)と「Sky presents 2025年度 全国高等学校ゴルフ選手権大会」(通称・緑の甲子園、8月27~29日、栃木県・サンヒルズCC)。「去年は日本ジュニアにまず3人が行っていて、その後、団体戦(緑の甲子園)の10名を羽田(空港)で乗せまして、13人で移動しました。ゴルフの場合はキャディーバッグその他のものを全部乗せていくので、中型バスの29人乗りを利用しています」。

 それでも高知のチームとあって、長距離移動となる大都市への遠征には事前の計画作成と準備が必要になります。

「日本ジュニアの場合は(開催地の埼玉まで)高知から800~900キロあるので、1日にわれわれが運転できる(距離の)学校規定に従って1人400キロまでということで、それで行ける範囲であれば1日で行きます。3人体制で運転をしていき、2時間に1回、必ず10分程度の休憩を入れます。2人しかいないか、もしくはバスが2台になった場合になると、教員が4人の場合は800キロまでですので、名古屋近辺で1泊して、次の日に埼玉までまた移動していくという形になります」

「『緑の甲子園』は栃木で、行くと一回、(埼玉県での)日本ジュニアを挟みますので、栃木まで1100キロだとすると埼玉からは300キロもない感じですので、それは問題がないです。当校の特別に頑張ってやっているクラブの担当教員がいまして、毎回行程表を出して、運転できる人が何人いるかを計算します。その人が必ず確認して、例えば500キロを一人で行くときは『先生、これはもうダメです。遠征は無理です』という決断を下すということ。遠征そのものを取りやめですね」

 人が足りずに遠征を断念するというのも切ない話。そこでもう一工夫をするケースもあると言います。

「引率教員がいない場合は、例えばフェリーで行くとか(して、陸路の走行距離を短くする)。ただ、運動部のほうはある程度豊富にクラブ顧問がいますが、文化部の方はなかなか厳しいのも事実です」(高橋監督の話)

大所帯のスポーツ名門校ではないゴルフ部は?

 今回の事故で、最も心を痛めているのは関係者はもとより、高校生の子供を持つ保護者の皆さんです。兵庫県のゴルフ部に在籍している生徒の父・Aさんは「今回の事故のニュースには、本当に胸が痛みました。部活動での移動はどうしても早朝や長距離になることが多く、どの学校でも他人事ではないと強く感じています。安全確保の難しさや責任の重さをあらためて考えさせられました」と語り、さらにこう続けました。

「ゴルフ部では、寮生と通学生で移動手段を分けています。遠征といっても、もっとも遠いのは京都や奈良で、普段の練習コースは兵庫県内を利用しています。1時間未満ですね。 試合当日は朝が早い場合、通学生は保護者による車での送迎、寮生はマイクロバスを利用して移動しています。春高や関西高校決勝などの会場は兵庫県内で行われるため、交通機関を利用しても移動時間は1時間ほどで、特に不便はありません」

 そのうえで、Aさんは監督の運転や学校の安全体制に信頼感を口にしました。「遠征時のマイクロバスは監督が運転してくださっているため、移動に関しては大きな安心感があります。選手の体調やスケジュールを把握している方が同行してくださることで、安全面でも細やかな配慮が行われていると感じています。ただ、(栃木県で開催の)緑の甲子園へ行く時は新幹線で行くことになりますが」

 生徒数500人弱のこの高校。今回の事故を受けて、すでに注意喚起を行っていました。

「運転手に注意はしました。小さいものも含めて本校のスクールバスが7台ありますので、それを使う時もあります。(スクールバスが空いていない時は)例えば保護者が送っていったりとか、各自で、ですね」(同校の関係者)

 ゴルフ部員が5人しかいない関東の某高校の場合も、監督がドライバー役も担っています。

「私たちのゴルフ部自体がバスに乗るような人数もおりませんから、基本的に私が車を動かしています。生徒を7人乗りのワンボックスに乗せて、練習場にも試合会場にも私が送迎する形ですね。助手席には生徒を乗せず、視界が確保できる範囲で荷物を足元からどんどん詰めて、生徒たちは2列目と3列目に座って、足元に自分の荷物を置いています」

 名門校の大所帯とは違い、交代のドライバーはいません。

「今のところ一人で十分まかなえる人数でもあるので、あとは自分に負荷をかけすぎないように、会場で止めた車の中で休憩するなどの配慮はしています」。

 監督とドライバー、引率者の三役をこなすのは大変でしょうが、生徒の命を預かる身とあって、ワンオペは言い訳にできません。十分な休養を取りつつ、細心の注意を払って運転に集中することが最優先であることを強調していました。

「学校側・保護者側・行政の三者で、より現実的な対策を」
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