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- トランプ大統領介入の可能性もあった!? 物議醸したデシャンボーの「ライの改善」2罰打 現場で何が起きていた?
今年の全英オープンで優勝の行方以上に注目を集めたのは、ブライソン・デシャンボーが「ライの改善」で2罰打を課された場面でした。現場でいったい何が起きていたのでしょうか。
ボールの周りを歩く過程でフェスキューを踏み倒したことで「ライの改善」に
ライアン・フォックスが難関の最終18番ホール(第4ラウンドの難易度2位)で劇的なバーディーを奪い、初のメジャータイトルに輝いた今年の全英オープン。とても見ごたえのあるゲームでしたが、期間中、メディアを最もにぎわせたのは、第2ラウンドで起こったブライソン・デシャンボーの「ライの改善」に対する2罰打の裁定でした。改善の意図がなくても罰せられたデシャンボーの行為とそれに対するR&Aの見解を紹介します。
第2ラウンドの5番パー4でのこと。デシャンボーのティーショットはフェアウェイ右の深いラフ(フェスキュー)の中に飛び込んでしまいます。彼はボールを見つけると、その確認やライの見極め、次のプレーの方向やスタンスをとる箇所の決定などでボールの周りを行ったり来たり歩き回りました。その過程で、背の高いフェスキューを踏み倒した行為が規則8.1で禁止されている「ストロークに影響を及ぼす状態の改善」、いわゆる「ライの改善」と判断され、スコアカード提出時にルールオフィシャルから2罰打の付加を通告されたのです。

デシャンボーはこの裁定に納得せず、改善の意図はなかったと反論。オフィシャルとともに現場に戻り、状況を説明するなどしましたが、裁定が覆るはずもなく、彼はXに「裁定には失望しています。私は同意しませんが、仕方ありません」と投稿。さらに、インスタグラムには「週末のラウンドはこうやって歩く」と、自分が現場のフェスキューの上、宙に浮く合成画像をシェアしました。こうすればフェスキューを踏み倒さずに済む、というわけです。
また、R&Aのこの裁定にはファンをはじめ、メディアや仲間のプレーヤーからも異論や彼を擁護する声が多数上がりました(ただし、マキロイを除いて)。
「彼は、ゴルフというスポーツを裏切るような男ではない。R&Aは彼が意図的にやったとは言っていないが、人々が彼に不信感を抱くようになるのが心配だ。今回の処置には納得がいかない」(マックス・ホマ)、「彼はショットを打つ過程で普通にフェスキューを踏んだのだと思う。深いラフからのプレーはタフで、ボールにアドレスするまでに周りをうろうろしなければならない。このペナルティーは厄介な問題だ」(ザンダー・シャウフェレ)
プレーヤーにとって“潜在的に有利”となる改善と判断されて2ペナ
こうした声に対し、R&Aは翌日チーフレフェリーのグラント・モイヤー氏が適用された規則を詳しく説明するステートメントをリリースします。そこには次のようなことが記されています。
「規則8.1は、プレーヤーが本来あるがままにプレーすべき、“ストロークに影響を及ぼす状態”の改善を制限しています」
「この“ストロークに影響を及ぼす状態”には“意図するスイング区域”が含まれ、バックスイングからダウンスイング、そしてフィニッシュに至るまで関係する区域(空間)全体が含まれます」
「また、“改善”とは、ストロークをするうえで“潜在的に有利(アドバンテージを得る可能性)”となるよう状態を変えることで、実際にアドバンテージを得たかどうかは関係ありません」
「プレーヤーがボールにアドレスする際、スタンスするための合理的な行動は認められていますが、周りの状態を変える動きは最小限にとどめなければなりません。通常のスタンスやスイングをする以上のことを行う権利はありません」
「そして、この規則は改善する意図が全くなかった場合でも適用されます」
つまり、プレーヤーに改善の意図はなくても、スイング区域(バックスイングからフィニッシュまでの動きに関係する空間)の状態を変えたことが、結果的にアドバンテージとなった可能性があれば、罰則の対象というわけです。そして、デシャンボーがスタンス後方のフェスキューを踏んで倒した行為は、まさにこれに当たると判断されたのです。
R&Aの裁定に“あの人”が口を挟んでくる可能性も!?
このステートメントで騒ぎは一応収束したのですが、このすぐ後、R&Aのマーク・ダーボンCEOはBBCラジオに出演し、裁定に至った経緯をもう少し詳しく説明しています。
そのなかで番組のインタビュアーと面白い会話があったようです。
デシャンボーはアメリカのトランプ大統領と深い親交があることはよく知られています。そこでダーボンCEOはインタビュアーから「この処分についてトランプ大統領から何か連絡がありましたか?」と質問されたのです。
もちろんこれは、今回のサッカーワールドカップで米国代表のエースストライカー、フォラリン・バログンが課されたレッドカードと1試合出場停止処分に対して、トランプ大統領が国際サッカー連盟のジャンニ・インファンティーノ会長に電話を入れ、暗に撤回を求め、結果的に処分が先送りされた件を受けての質問でした。
これに対するダーボンCEOの答えは、「いいえ。電話はまだありません。今後の展開を見守りたいと思います」というものでした。
実は、後日伝えられた情報ですが、デシャンボーは当日R&Aと協議するなかでトランプ大統領に連絡し、彼らの話し合いに加わってもらうことを提案していたというのです。むろんそれは却下され、大統領の“口出し”は避けられました。
事実であれば、BBCのダーボンCEOへの質問はこの舞台裏情報を知ってことでしょう。
BBCは現在、トランプ大統領から巨額の名誉棄損訴訟を起こされています。質問の背景にはその“裁判沙汰”が関係していたのかもしれません。
小関 洋一(こせき・よういち)
出版社、編集プロダクションを経て83年からフリーランスライターに。テレビ誌・トレンド誌などで主にスポーツに関する記事を執筆。テレビ、ラジオのスポーツ番組の構成も手掛ける。その後はゴルフ誌やネットメディアで内外の最新情報やゴルフ場レポート、ルール解説を執筆。JGAやKGA競技のオフィシャルライターも務める。東京ゴルフ倶楽部や日本ゴルフ協会の年史制作に携わっており、ゴルフ史に関する執筆機会も多い。
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